「北の山・じろう」日記

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ドネツク戦線の大きな転換点を作ったクルスク侵攻作戦<ウクライナ紛争2024/09/02

2024-09-02 19:13:34 | 中立の視点で見るウクライナ紛争

中部ドネツクでの急激なロシア軍の進撃は不思議でした。
何故、こんなに簡単に前線崩壊が起きるんだ❓
最初は、トレツクТорецьк~ニューヨルクNiu-York方面で起きました。2km~3kmはある郊外の防衛陣地や塹壕が、せいぜい1週間程度でロシア軍に突破されました。
その後は、いきなり市街戦が始まりました。
郊外の防衛施設を失ったウクライナ軍は、抵抗できず次々に拠点を失い、現在は最後のトレツクТорецькで勝ち目のない防衛線を戦っています。
トレツクТорецькからウクライナ軍が撤退するのは、時間の問題と言えます。

一方でポクロウシクPokrovsk戦線ではウクライナ軍の強力な要塞であるソキルSokilが陥落した後、ウクライナ軍の守備が崩壊しました。
その西にあるプロレスProhresは、今分かってみるとウクライナ軍の最後の防衛ラインです。ここは、ほぼ戦闘なしでロシア軍が制圧しました。その後は信じられないようなスピードでロシア軍が、大きな貯水池(カルリブスケ貯水池)の西側を破竹の勢いで進撃しました。
そして今ロシア軍は、ウクライナ軍の中部ドネツク最後の大拠点のデイミトロフМирноградとポクロウシクPokrovskに総攻撃をかけられる位置まで進撃しました。
この間1か月ぐらいだと思います。
アウデイーイウカからポクロウシクPokrovskまでの距離は約40kmです。今ロシア軍がいる位置は約10km以内です。
30kmのうち15kmをロシア軍は、1か月で進撃したことになります。
ウクライナ軍の守備は崩壊しました。

これらのことを生み出した原因は何か❓
クルスク侵攻作戦です。
クルスク侵攻作戦はウクライナ軍によると数か月前から準備されたようです。
その間、東部戦線の各戦場から戦闘力の強い機甲部隊を中心に部隊の引き抜きを行っていたようです。
そして特に劣勢であった中部ドネツクには代わるりの援軍も送らず放置状態だったようです。
更にはクルスク侵攻作戦のために兵器や砲弾、ミサイル・ドローンなどをクルスク侵攻に優先的に集結していたようです。
東部戦線への供給は絞られ配給制になって、砲弾、ミサイル・ドローンなどの不足が生じていました。

これが中部ドネツク戦線でウクライナ軍の守備が崩壊した理由です。

ウクライナ参謀本部は、クルスク侵攻作戦のために中部ドネツクを捨てたと言えます。
その結果、ポクロウシクPokrovsk戦線では敗北と言える戦況が生まれました。

もうウクライナ軍にこれを挽回することは不可能です。
最後の外郭の防衛ラインを言うべきフロデイフカHrodivka~ノヴォホロデイフカNovohrodivka~セリダブSelydoveでは市街戦が始まりロシア軍が優位な戦いを行っています。
中央のノヴォホロデイフカNovohrodivkaは約3日の戦闘ののち、ロシア軍が既に制圧しました。

後は、むき出しのデイミトロフМирноградとポクロウシクPokrovskが残るだけで防衛戦を戦っても長くは、もたないと思います。

こういった意味でクルスク侵攻作戦は、ポクロウシクPokrovsk方面をウクライナ軍が失うという意味でドネツク戦線の大きな転機になりました。
ウクライナ軍の挽回不可能な不利を招いたという意味です。

ポクロウシクPokrovsk方面をウクライナ軍が失うということは、ドネツク州へのウクライナ軍への補給(兵站)を失うのと同じです。
一番大きな不利益を受けるのが南ドネツクです。
ポクロウシクPokrovskからの補給を失います。
今、市街戦が起きているセリダブSelydoveをロシア軍が制圧すると完全に補給(兵站)を失います。
今後は、南ドネツクのウクライナ軍は補給なしで戦え!と言っているのと同じです。
戦えるわけがないでしょう❓
だから今の時点でロシア軍が南ドネツクを制圧するのは決定的と言えます。

これでやがてはウクライナ軍は、中部ドネツクと南部ドネツクを失います。
北部ドネツクのことは、今回省きます。

これで終わりではありません。
デイミトロフМирноградとポクロウシクPokrovskはドネツク州西部の最後の防衛拠点です。
ここを抜かれると西隣のドニプロペトロウシク州を守るべき防衛ラインも拠点になりそうな地形も集落もありません。背後には平原があるだけです。

ポクロウシクPokrovskの先にあるドニプロペトロウシク州の大きな都市は、約80km先のパブログラードПавлоградです。
『ポクロウシクPokrovskが、何故ウクライナにとって重要なのか❓<ウクライナ紛争2024/08/22』
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/d3cf126433a80a743e6c4eb30f2d59ef

ドネツク州を大体占領したロシア軍が西に進撃し始めるとドニプロ川手前30kmくらいのパブログラードПавлоградまで防衛拠点になりそうなウクライナの都市はありません。

ポクロウシクPokrovskでロシア軍を止めないと、その西はフリーウエイです。
しかもここまでロシア軍が進出してしまえば、ポクロウシクPokrovskを仮に守ったとしても、その脇からロシア軍は簡単に進撃できます。
今の段階でロシア軍がドニプロペトロウシク州に進撃するのを阻止するのは、事実上不可能と言えます。

クルスク侵攻作戦の代償としてウクライナ軍が招き寄せたのは、以上のような状況です。
ドネツク州でのウクライナ軍の敗北は、ほぼ決定的です。加えてドニプロペトロウシク州への進撃路もロシア軍に与えました。ドニプロ川まで行くと思います。

信じられないようなウクライナ参謀本部の、ロシア軍!
ナイス・アシスト!です。
さっさと戦争に負けようと考えたのでしょうかね❓
それなら意味が分かりますが❓


※関連記事目次
「中立の視点で見るウクライナ紛争」の目次⑥
https://blog.goo.ne.jp/kitanoyamajirou/e/e2c67e9b59ec09731a1b86a632f91b27



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