kiske3の絵日記

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春風亭昇太独演会 オレスタイルVol.7

2006年12月16日 | カノリンヌの「落語っておもしろい!」

「時そば」
「伊予吉幽霊」
 中入
「明烏」

今回も「携帯電話撲滅キャンペーン」のムービーで始まった昇太師匠の独演会。毎回、携帯電話に対するミニコントを作られているのですが、今回は林家たい平さんがゲスト。会話してる最中なのに携帯に出るたい平さんが師匠の逆鱗に触れて殺されておりました。そんな笑えるオープニングムービーが終わると、いよいよ師匠の登場です。

今回は古典を3つされたのですが、どれも良かった。特に『伊予吉幽霊』には泣きました。落語で泣くってどないだと思われるかも知れませんが、私、結構落語で泣くんです。泣ける話があるんですよ、意外に。

<船に乗る仕事をしていた伊予吉が遭難して死んだあと、自分の母親が心配で成仏できずに友人の所に化けて出る。仕方なく友人は、伊予吉を連れて母親の所に行く。母親は、これからしばらく旅に出ると嘘をつく伊予吉にお金を渡し、送り出す。しかし母親は息子が死んでいる事が分かっていて「今度は三途の川の渡し船が転覆すれば良いのにねぇ、そしたらまた帰って来られるかも知れない」と言う。>

って、これを打ってる時点で思い出したら泣けて来た。だって昇太師匠が、いつものハイテンションとは違った、少し静かな感じでしんみりとこの演目をやるもんだから、たまらんのですよ。落語の人情話は、ドラマよりも泣けます!

『時そば』は、上方落語のお話をアレンジしたもの(上方だと「そば」が「うどん」になります)誰もが知っているお話なのですが、師匠がやると、ちょっと『壷算』っぽいアホさ加減で笑えました。アホな人を演じるのがまたお上手で、実際師匠も上方の変な人をやるのがお好きなのだとか。上方冥利に尽きるっつーか、変な人(=アホな人)と言われて悪い気がしないのは大阪人くらいのもので、そこがまた変な人と言われる所以なのかも知れません。

最後の『明烏』は「こんな可愛いおっちゃん、見た事無い」って言うくらい、師匠のかわいらしさが満載の演目でした。いつも師匠が演じる女の人っていうのは、それが何歳の設定であっても色っぽくてエエわぁと思っていたのですが、今回のおいらんは可愛らし過ぎ。ちょっと、何?あれ!?くそー。女である自分ですら、あんな可愛らしい有り様になった事がないので、正直ジェラシーがメラッとしました。

真面目な若旦那にも萌えました。子パンダがコロコロしてる様な、そんなかわいらしさ。いや師匠自体が子パンダっぽいのか。いかんせん、師匠は子パンダではなく47歳のおっちゃんだと言うのが驚くべきところです。憎い。でも、あんなぬいぐるみがあったら欲しい。

今回の独演会は、演目は渋いところをやって、その合間のまくら部分で爆笑をとる、といったスタイルでした。特に師匠が話す、柳昇師匠や弟弟子のエピソードは笑えます。あー、昇太師匠は本当に落語と柳昇師匠の事を愛してるのだなと、ほのぼのしたりして。

今回も、演目の合間に高座で生着替えをやってくれました。男の人が着替えてる場面なんて珍しくはないのだけれど、着物となると滅多にない事ですからね。その着替えの時に、舞台の袖から羽織が飛んで来たのですよ。しかも、何度も。なんだろうと思っていたら、桂 文珍師匠がいたずらしてたんです。遊びにいらしていたようで、ちょっとだけ舞台にも顔を出していました。たまに笑い声とかも聞こえて来たりして。

今年のシメにふさわしい、和気あいあいとしたとても楽しい独演会でした。もう次が待ち遠しいです。

Richard Galliano / Piazzolla Forever