kiske3の絵日記

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過去の選択 最終回

2006年12月11日 | ボスヒコの「恐怖夜話スペシャル」

あの留守番電話の狂人の声を聞いてから、5年が経った。次々と解明されていく
真実。東京の病院で首と両腕を切断されたタカダの遺体が発見される。そのそば
には警官も殺されていた。それに関連ある事件で、あるビルの2階から複数の遺体が
発見される。遺体は身元がわからないぐらい切断されていたが、キヨとヤナギの
遺体は確認された。この事件は、都会での大量殺人事件として世界中を震撼させた。




キヨはタカダの様子がおかしかったのに気づいていたのだと、ワタシは今思う。
それがストーカーなのか、宗教的要素なのかはわからない。ワタシがタカダに
ふられた後、タカダがワタシを狙って(おそらく、誰かの命令で)何かをしよう
とするのを見つけ出し、制止に入って殺されたと考えられる。ワタシは大学の
同級生に連絡をとって真実を聞き出した。タカダとキヨの結婚話は大学の同級生達が
作った悪質なイタズラだった。同級生達はキヨが忘れていった携帯電話を使って、
「今まで黙っていたけど、私はタカダさんとつきあっていました。明日、私達は
結婚します。」とワタシに送信した。その後すぐにワタシを着信拒否して。ワタシに
送ったメール内容を消去した。キヨがあまり大学に来なくなったのを利用して
「結婚して引っ越した」と言う低レベルな嘘を失恋したショックで信じてしまった。

要するにワタシはみんなから嫌われていたのだった。理由はわからないし、知りたく
もない。それから数ヶ月後、キヨが行方不明だとわかり、警察が動き出したが、
ワタシも既に引っ越した後だった。衝動的な引っ越しに誰もワタシの住所は知らない。
失恋と親友の裏切りをまだ引きずっていたワタシは新聞、テレビ、インターネット
などの世間の情報に興味を抱けない状況だった。同級生達は自分達のイタズラを隠す
為に、キヨとアキコは付き合いがなかったと言う情報を作っていた。しかし、その頃
のキヨは家庭内でのトラブルの方が酷く、家出人扱いされていたので、同級生達の
偽情報は警察の捜査にとって、全く必要なく、これで過去の1つの事実が隠された。

ワタシはキヨの事を誤解していた。キヨは良い家庭に育って幸せだと思っていた。
悩んでいるのを一切口にせずに、いつも明るく振る舞っていたキヨの事を思い出す
とワタシは泣きながら自分を恥じた。しかも、自分が殺されたのにも関わらずに
ワタシを助けてくれたキヨ。過去の記憶は自分の選択によって変わって行く。
キヨのお墓に花を添え、感謝の念を込めて手を合わした。その時、携帯電話が鳴る。


「もしもし、アキさん? お疲れ様です~。 ズブロッカが切れてますよ~。
 うちの客はズブロッカ好き多いんスから~、多めに頼んどきましたよ!」


ヤナギの恋人だった彼からの電話だった。彼は今、ワタシの店でバーテン修行中の
身だ。ヤナギを失った傷心の彼は毎日のようにマスターの店に足を運んだ。その
マスターが残してくれた店は、今でもワタシが守り続けている。唯一、ワタシの事を
好きでいてくれたキヨとマスターはこの世にはいない。ジャズが流れる店は彼らの
存在を感じれる、ワタシが一番安心出来る場所となった。彼らがワタシを守ってくれる。


そして、これからはワタシが彼らを守る。


「もしもし、アキさん!? 聞いているんスか~!? アキコマスタ~!?」

「うるさい!!ヤナギ君とキヨに挨拶行ってたんだよ!そして、今からワタシは
 マスターんとこ行ってアンタのサボリを報告しながらバーボン呑むんだよ!」















             終わり












って事で、もう一度、「ボスヒコの恐怖夜話スペシャル」の「泊まり込み」を
読み返してくださいな。         ボスヒコ

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