アキコ元気? 今度、そっちへ行く用事が出来たから、また、会って遊ぼうよ。
これは確かにキヨからの最後のメールだった。その当時は何も気づかなかったが、
知らぬ間に保存をかけていた。そのメールをコピーして、自分の携帯電話から自分
へと送っていたのだ。自分にはその記憶はないが、誰かがイタズラでやったとも
思えない。その時刻は自分1人だったし、一瞬たりとも携帯電話を手放した事が
ない。モリが言うには、キヨの霊がアキコにそうさせたのだと言う。にわかに
信じがたい事実。真実は誰にもわからない。しかし、モリはまだ疑っている
ワタシに追い打ちをかけるように、もう1つ事実を付け加えた。
「全てのキヨの受信時刻を確認しろ。」
4時36分。キヨのメールの受信時刻が2回とも4時36分だった。それにモリが答えた。
「それがキヨの殺された時刻だ。」
その時、店内のジャズの有線放送がまた早送りになっていった。今度は音量も大きくなり、
グラスやボトルが震え出す。「お、おいおい!!どうなったんだ!?」マスターが急いで
有線放送の電源を切りにカウンターを出た。バーの電話のモリの声が怒鳴る。「逃げろ!!」
その言葉の後、モリが何かを叫んでいる。通話状態が悪くなったのか、とぎれとぎれに
聞こえる。「もしもし!もしもし!モリさん!?何!?」モリの声が途切れ、一瞬静まった
後、ハッキリ聞こえた一言は聞き覚えのある声。それはワタシの親友のキヨの声だった。
……………………に げ て……………………
バーのドアががたがたと鳴る。それは心霊現象ではなく、人がドアのノブを回す音。
鍵を閉めた記憶が無い。ドアをノックする音。直感でタカダが来た事がわかった。
現状を把握したマスターはワタシを裏口の方へと導く。ワタシは泣きながら、外へ
飛び出して行った。その場でタクシーを拾い、マンションにも帰らずに、出来るだけ
この場所から離れた。タクシーに乗って1分も経たない内に携帯電話が鳴った。その
相手はヤナギからだった。一瞬、ワタシの留守番電話に気づいて電話をかけてきて
くれたんだと思った。本来なら助けを求めれる相手のはずなのに、全身に鳥肌が走り、
脳内に危険信号を出している本能が身体を硬直させた。そして、留守番電話に変わった。
「只今、電話に出る事が出来ません。発信音の後に、メッセージを録音してください。」
ピィーーーー
「………………おい!…………おい!!おおおおおおいいいいいい!!ぼけええええ!
でろや!でろやああああああああ!!!!おおおおおおおおおおおおいい!!!!!
にげてもむだじゃあああああああ!!このぼけがあああああああああああああ!!!」
聞いた事があります、この声。ふごっ!ふごっ! ボスヒコ
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