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奈良の魅力を発信

奈良のグルメ情報や史跡・名勝・万葉集・古事記・日本書紀・昔話のゆかりの土地を紹介します
ので、よろしくです!!

古人の都 飛鳥を歩く

2020-06-26 09:46:42 | 地域と文化
~古人都 飛鳥を散策してみよう~
 古人の都と呼ばれた飛鳥は、日本歴史上初の首都となった地で、日本が日本と名乗り、さまざまな文化が誕生した地ですので、古人の営みを感じられる場所や伝説が多く残されていますので、古人を思いながら巡っていきましょう。
~蘇我氏の邸宅跡が絶景~
 明日香村豊浦にある甘樫丘ですが、飛鳥に来たら一度は登っていただきたいのが甘樫丘です。歩いて10分~15分ほどで山頂の展望台に到着し、東の眼下に広がるのが古代飛鳥なのです。また、春夏は美しい緑が、秋には見事な紅葉の風景が目に入ってきます。
ところでこの丘ですが、大化の改新でも有名な蘇我氏の邸宅があったと言われている場所でもあります。
~春とともに神様が~
石舞台古墳から東へ歩いて10分~15分のところに阪田集落があり、阪田集落にはかつて坂田寺がありました。
この坂田寺ですが、持統天皇の時代に建立されたと伝えられ、飛鳥五大寺の一つだった尼寺だったのです。
日本で初めて、11歳で得度(資格)を受けた尼さんの「善信尼(ぜんしんに」」ゆかりのお寺で、奈良時代には、東大寺の大仏の東脇侍である観音菩薩像を寄進しているのです。
また、この辺りには神様がお出になる山「オデヤマ」があり、その麓にある棚田の上方には、飛鳥京・藤原京・平城京の三つの都が見渡せる場所があり、今も春になると神と言われる持統天皇が見ているかも。
~日本の棚田百選にも~
 男綱や飛び石があるのが「稲渕集落」です。稲渕集落には、奥飛鳥の名勝でもあり、日本棚田百選に選ばれている棚田があります。
この棚田は、歩く度に風景が変わり、春は新芽が出てきて山の色が変わり、秋になれば稲穂の色も大きさも変わってくるのです。
植物も季節ごとに変わりますが、鳥の鳴き声も変わります。春は、ウグイスやメジロ、6月になればホトトギス、秋から冬には百舌鳥と楽しませてくれますし、秋が深まるころには渡り蝶の「浅黄斑(あさぎまだら)」に運が良ければ出会えます。
この集落ではこういった自然に癒される場所で、米は人の命を支えてくれますし、景観は人の心を豊かにしてくれます。
~古き良き集落~
稲渕集落を南へ下っていくと栢森(かやのもり)集落があります。
この栢森集落は、故郷の音が古き良き集落で、どことなく幼い頃の記憶が蘇るようなそんな風景です。
栢森という集落は、どこを歩いていても、小川が流れる音が聞こえてくる、とても気持ちのよい所です。
この集落の川ですが、川底が整備されずに。岩肌のままで、昔ながらの風景が残されており、「国の重要文化的景観」にも指定されています。

 



 





弥生時代の風を感じる・体感する

2020-06-24 15:24:01 | 地域と文化
~弥生時代の風を感じる・体感する施設~ 
 田原本町は、奈良盆地のその中央低地部に位置し、豊かな自然環境と歴史的風土に恵まれた町です。
唐古・鍵遺跡をはじめとした史跡や能発祥の地、桃太郎生誕の地でもあります。また、新しく「唐古・鍵遺跡史跡公園」や道の駅「レスティ唐古・鍵」が完成し、ますます街歩きが楽しくなりましたよ。

・・・唐古・鍵遺跡史跡公園・・・
近鉄橿原線石見駅から東へ歩いて20分くらいのところにあるのが、唐古・鍵遺跡です。
唐古・鍵遺跡は、弥生時代を代表する大規模な環濠集落遺跡として、平成11年に国史跡に指定されました。
唐古・鍵遺跡ですが、奈良盆地のほぼ中央で、標高48m~51mの沖積地に立地しています。昭和11年~12年(1936年~1937年)、国道敷設用採土に伴い唐古池底の調査がおこなわれました。この時に出土した土器や木製品等は弥生時代の総合的な認識をもたらし、畿内の土器編年の枠組みを作りました。その後、発掘調査は、昭和52年(1977年)に再開され、平成27年(2015年)9月までに116次に達しています。
集落は、多条環濠を有し、大型建物や高床、竪穴住居、木器貯蔵穴、井戸、区画溝などの遺構で構成されています。
大環濠(内濠)は直径400mの範囲を囲み、外濠を含めた全体では約42万平方メートルの面積を占めています。出土遺物は土器、農工具、容器などの木製品、石鏃や石包丁などの石器、骨角器、ト骨などの祭祀、遺物、炭化米、種子、獣骨類など多種多様な遺物、さらには銅鐸の鋳型などの鋳造関係遺物、褐鉄鉱容器に入った上スイ製勾玉、楼閣が描かれた絵画土器など特殊な遺物も出土しています。これらの遺構・遺物から本遺跡は、近畿地方の盟主的な集落と考えられています。
これを期に、平成30年4月、弥生時代の風景・生活を実感・体験できる「唐古・鍵遺跡史跡公園」が開園されました。
環濠を復元し、弥生時代の植生に則した樹木を植えて当時の林を再現しており、遺構展示情報館やイベントなどができる広場、東屋も設置されています。

      


・・・道の駅「レスティ唐古・鍵」・・・
 唐古・鍵遺跡史跡公園と国道24号線を挟んで向かい側にあるのが、「レスティ唐古・鍵」です。
道の駅「レスティ唐古・鍵」ですが、さまざまな観光サービスを提供する交流施設、道の駅が平成30年4月20日に誕生しました。
駐車場から史跡公園へと向かう主要動線には、唐古・鍵遺跡や町及び県中南和地域の観光案内と地場産品の買い物、食事を提供する「此処でこそのもてなしの場」があり、史跡公園への期待感を高める施設となります。
特長的な寄棟造りの大屋根は、国道24号線を走る車からもよく見えますので、新しい田原本町のランドマークとなり、この大きな寄棟屋根の「道の駅」と、史跡公園の「楼閣」という対峙する2つの建物が、このエリアのシンボルとして特徴的な建物風景を生み出しています。

・・・1階 交流エリア・・・
 地元の旬の野菜や果物、お土産品や特産品のお買い物はもちろん鍵ベーカリーの「黄金の生食パン 極」も販売しており、簡易的な飲食店が並び、賑わいを創出しています。また、観光情報も提供して、田原本町を広くPRしています。

・・・2階 体験エリア・・・
野外テラスと吹き抜け空間に面した飲食店では、カフェの種類豊富な「ドッグサンド」や田原本産野菜を使った「田原本グルメ」も楽しめますし、キッズコーナーなども併設していますので、すべての来訪者が気軽に休憩でき、癒しを感じることができます。また、多目的室では土器作りなど弥生時代の体験学習ができます。

・・・3階 展望エリア・・・
大和青垣・二上山の眺望や史跡公園を一望できる展望エリアです。田原本の豊かな景観を眺めることができます。

      



飛鳥の美味しいもの

2020-06-20 08:14:03 | 地域と文化
飛鳥の美味しいもの発見!
飛鳥の地は、太古のロマンを感じられる場所ですが、古人が都を作ったと同時に食文化も発展してきた場所でもあります。そこで明日香の特産品やグルメなどを巡ってみましょう。

~あすか夢販売所~
 明日香村御園に「あすか夢販売所」がありますが、実は、近鉄吉野線飛鳥駅を下車して国道169号線の向かい側にあるのです。
営業時間は、9時から17時で無休なのですが、年末年始については問い合わせ下さい。(TEL0744-54-5670)
主な販売品ですが、明日香特産のあすかルビーと古都華です。あすかルビーは、大粒でぽってりとした形のイチゴで、一口噛むと果汁たっぷりで「真っ赤な宝石」とも呼ばれています。また古都華(ことか)は、ツヤのある鮮やかな光沢で、糖度と酸味が高く、濃厚な深い味わいです。
この明日香が誇るイチゴはもちろん、新鮮な野菜、果物が毎日出荷されており、出荷者は全員生産履歴記帳を行い、内容を確認しており、エコファーマー認定取得の販売所です。
      

~明日香ビオマルシェ~
 明日香ビオマルシェとは、明日香村直営所「あすか夢の楽市」の駐車場で、毎週金曜日に朝9時から正午まで行われる朝市なのですが、イベント的なマーケットではなく、毎週定時に開催することで、1週間分のお野菜を買ってもらうことが目的なのです。また基本的に、加工品ではなく生鮮品を扱うのがビオのマルシェで、無農薬、オーガニックで本当に良いものを作る生産者が集まっています。
あすか夢の楽市は、奈良県明日香村の生産物直売所で、甘樫丘の雷(いかづち)の丘、天香具山が近くにある風光明媚なところで、飛鳥水楽遺跡のとなりにあります。また、会場となる直売所は、もともと小学校で、木造の趣のある素敵な建物です。
      

       
~明日香村のちいさな珈琲屋さん~
民家を改装したちいさな喫茶店で、近鉄吉野線飛鳥駅より明日香周遊バスで岡橋本バス停すぐのところにあり、近くには橘寺や飛鳥宮跡があります。
自家焙煎珈琲店「さんぽ」は厳選した生豆を仕入れて、良い豆だけ焙煎して、丁寧に抽出したコーヒーを提供してくれますので、まずは砂糖もミルクも入れずに飲んでコーヒー豆独自の味を楽しむのが通です。
コーヒーはハンドドリップで1杯ずつ丁寧に入れてくれますので。少し時間がかかりますがその分味は保証付きですし、お得なランチセットがあり、海南鶏飯か鶏のカレーライスに好きなコーヒーが付いて1.350円で提供してくれます。
また、ペット連れでも利用することができる、テラスがありますが、屋根がありませんので雨や風の強い日は利用することができませんのでご注意下さい。

~古民家のお店でゆったり、まったりと~
 明日香村栢森(かやのもり)という奥明日香にあるのが「さらら」で、奥明日香とは、明日香の南東方向にある稲渕、栢森、入谷の3つの集落を指し、1300年以上も昔、この土地を通って天武・持統天皇が吉野宮滝へ向かったといわれています。
店名の「さらら」ですが、持統天皇の「うののさららのひめみこ」から名付けたとか。古民家を改装したお店でゆったりとした静かな時間の流れを感じることができ、地元で採れた新鮮野菜や山菜を使った、懐かしい故郷の味を楽しむことができますが、この「さらら膳」は予約が必要で、来店前に連絡が必要です。
この「さらら」ですが、食事はもちろんですが喫茶の方も充実しており、コーヒーは自家焙煎から新鮮な豆を取り寄せており、紅茶のオレンジペコ、フレッシュジュース、ケーキはすべて地元の食材や旬の食材を使った手作りです
「さらら」では、メニューに使った黒米や黒米うどん、手作りクッキー(季節により、みかん、イチゴ、たまねぎ、ハーブなど)や佃煮、生芋100%手作りこんにゃくなどを販売されており、どれもこれも、近隣で採れたものが加工されておりますのでお土産に人気があります。(TEL0744-54-5005)
  
    




飛鳥の2大古墳

2020-06-16 16:42:15 | 地域と文化
飛鳥を代表する2大古墳
 飛鳥の地は、古代の時代に日本歴史初の首都となり、日本が日本であると知らしめし、さまざまな文化が生まれ、また朝鮮から新しい文化を取り入れた時代でもあります。このような時代に生まれたのが、飛鳥はもちろんのこと日本を代表する古墳が誕生したのです。
古人の思いを感じながらじっくり見て廻って下さい。
~男・女の群像が素晴らしい高松塚古墳~
高松塚古墳ですが、明日香村平田にあり、近鉄吉野線飛鳥駅から明日香周遊バスで高松塚壁画館下車すぐのところにあります。
昭和47年(1972年)に、発掘調査によって美しい壁画がみいだされ、日本中を驚かせ、飛鳥という地名を全国に知られた出来事でした。
高松塚古墳は、径20mにすぎませんが、粘土と砂を交互に一層ずつつきかためて築くなど飛鳥の古墳に特有の、特殊な構造を備えた終末期の古墳の一つなのです。
造られた年代は7世紀末から8世紀初めと考えられています。石室の天井には星宿(星座)、周囲の壁には日、月,四神と従者を配し、死者が永遠の眠りにつく小宇宙を形成しており、中国思想に基づいて貴人の墓にふさわしく飾っています。
~壁画の調査結果~
高松塚古墳応急保存対策調査会において、早急に石室内の三方の壁と、天井に描かれた壁画の調査をおこないました。
壁画は、男性と女性の人物群像、四神、日、月、星宿なのです。男性・女性の群像は、それぞれ四人一組で、東西の壁に、男子像が南寄りに描かれており、女子像が北寄りに描かれています。また、四神(青龍・朱雀・白虎・玄武)は、南壁を除く各壁の中央部に描かれており、日輪は東壁の青龍、月輪は西壁の白虎の上にそれぞれ描かれ、星宿は天井の中央部にちりばめられています。
扉石の内側には、朱雀が描かれていたと思われますが、漆喰が剥離しており確認が困難だったのです。人物の足の位置は、龍・虎の脚先とほぼ一線上にあり、人物像の高さは約40㎝だったのです。
~高松塚古墳壁画の保存法~
壁画は、石室の内面に塗った漆喰の上に描かれていますので、漆喰の様子や、顔料の成分などを詳しく調べたあと、壁画が傷んだ部分は剥げ落ちるのを防ぐため、合成樹脂をしみこませたのです。
閉じられた石室の内側は、一年を通じて気温11℃~17℃、湿度95%以上と一定した状態で、これが壁画の保存には一番適しているとされ、常にこの状態を保つために空気調製施設がつくられました。
正確な記録を残すために前田青邨を代表者とする日本画家のチームによる精巧な模写も作られました。
現在、修復が終了して、一般公開される予定ですので、詳しくはHPで確認してください。
~特別史跡 キトラ古墳~
高松塚古墳に次ぐ我が国2例目の壁画古墳で、昭和59年(1983年)の調査で石室内に描かれた極彩色壁画が発見されたのです。
キトラ古墳ですが、明日香村阿部山にあり、近鉄吉野線飛鳥駅よりキトラ古墳行きの直通バスがあります。
キトラ古墳は、藤原京の南に広がる古代の皇族・貴族などの墓域に所在する小さな円墳で、7世紀末~8世紀初頃に造られたと考えられます。
~キトラ古墳の規模~
キトラ古墳ですが、東西にのびる丘陵の南斜面に位置し、墳丘は2段築城で、下段の直径が13.8m、上段の直径9.4mであったと復元されています。
墳丘の中央には、凝灰岩の切石を組み上げた石室があります。石室には18個の直方体の切石が使われており、石材は古墳から北西に約14㎞離れた二上山から運ばれたものと推測されています。石室内部の広さは、奥行2.4m、幅1.0m、高さ1.2mで、天井・側壁・床面の全面に漆鳴が塗られており、その白い漆喰面に、四神や十二支、天文図などの極彩色壁画が描かれています。
~重要文化財 キトラ古墳壁画~
キトラ古墳の石室内には、四神、十二支、天文図、日、月の壁画があります。
四神は天の四方を司る神獣で、壁画は対応する方位に合わせて、東壁に青龍、南壁に朱雀、西壁に白虎、北壁に玄武が描かれています。ちなみに高松塚古墳では、盗堀により南壁の朱雀が失われていましたので、我が国で四神の図像全てが揃う古墳壁画はキトラ古墳壁画だけです。 
四神の下には、獣頭人身の十二支が描かれており、北壁中央に子像が描かれ、方位に合わせて各壁に3体ずつ配置されており、現在確認できているものは子・丑・寅・午・戌・亥の6体だけです。
屋根形の蘞り込みのある天井には、東の斜面に金箔で太陽を、西の斜面に銀箔で月を表現されています。天井の平坦面の部分には、円形の中国式の天文図が描かれており、この天文図は、赤道や黄道を示す円を備えており、本格的な中国式星図としては、現存する世界最古の星図なのです。

    


  



 

 

奈良の里山散歩2

2020-06-13 07:43:59 | 地域と文化
奈良の山寺~室生寺~
 奈良県宇陀市室生にある真言宗室生寺派大本山室生寺は、女人高野の名で知られ、和歌山にある高野山が女人禁制なのに対し、古くから女性に開放された名刹です。

奥深い山と渓谷に囲まれた室生の地は、古くから神々の坐ます聖地と仰がれていたパワースポットでもあります。鬱蒼とした山峡に不規則の堂塔が立ち並ぶ大自然に抱かれた室生寺は、日本有数の優雅さと気品に満ちており、女性に大人気のスポットです。

~室生の語源~
室生という地名の語源ですが、神の宿る場所というのが語源で、豊かな森林の「ムロ」「ミムロ」に由来するといいます。

このように古代からの神聖な山であった室生の山には、空海が如意宝珠を埋めたという伝説や京都神泉苑の雨乞いの修法で勧請した善女龍王が舞い降りたとする伝説が残っており、いっそう室生の地を神秘的なものにしております。

室生川の蛇行に合わせて七曲がり八曲がりする道を進み、やがて門前町が見えてくると、山里ののどかな景色に室生川に架かる朱の太鼓橋が目に鮮やかに飛び込んでき、橋の袂の石柱には「別格本山女人高野室生寺」の文字が彫られており、空海の開いた女人禁制の高野山に対し室生寺は、江戸時代五代将軍徳川綱吉の母「桂昌院」の力添えで女性の参詣が許されるようになったのです。

室生寺は、春ともなると女人高野に相応しく優美な山桜や薄墨桜が咲き、いつも味わい深い門ですが、背後に桜があると一段と美しくなり表門の奥にある護摩堂の前には「乙松桜」と呼ばれる紅ヒガンザクラがあり、見応えは十分です。

~弘法大師一夜造りの国宝五重塔~
 階段の果てに優美な五重塔を仰ぐ景色は、室生寺の中で圧巻の景色で、平安時代初期に建立されたとみられ、法隆寺の五重塔に次ぐ古さで、室生寺中最古の建物でもあります。

観光ポスターなどによく掲載される国宝の五重塔は、弘法大師が一夜にして建立したと伝承されており、総高16.1mと屋外のものでは国内最小と言われており、通常の五重塔の三分の一で設計されています。三分の一の大きさで建立されているとはいえ、それがけっして小さく見えない秘密は、石段のせり上がりにありますので遠近法により建物が小さく見えないようになっております。

ところで、桧皮葺の屋根や丹塗りの組物と石段の調和のとれた造形は、たおやかで控えめな佇まいです。

この塔の頂上の九輪の上には、水煙のかわりに受花つきの宝瓶を置きその上に花笠のような八角形の宝蓋が乗っている他に類がない塔ですし、宝瓶には室生の龍神を封じ込めているとされています。

~室生寺参道は疲れを癒してくれる~
室生寺は、大和高原と宇陀山地に囲まれ、東は三重県名張市に接しているほど三重県境に近く、交通はやや不便なところにあり、昔、交通機関のなかったころは、険しい山道を室生寺目指して歩きに歩いた女性がたくさんいました。

現在は、道路も整備され、名阪国道針ICから国道369号線から国道165号線へ入り、県道28号線で約30分の距離にありますし、公共交通機関を利用する場合は、近鉄大阪線室生口大野駅で下車し、室生寺前行きバスで15分くらいで着きますが、1時間に1本程度ですので注意してください。

室生寺の参道には、料理旅館やお土産物屋さんが並んでおり、特に室生寺を訪れた際に外せないのが、五木寛之著の「百寺巡礼」でも紹介された室生名物の「草もち」です。小ぶりの草もちはのど越しもよく、粒あんは甘すぎず薄すぎず程よい甘さで、たっぷりのよもぎを練り込んで風味も最高で、参拝した後の疲れた体をホッとさせてくれますので是非ご賞味下さい。

室生寺は、春の桜や有名なシャクナゲの時期だけでなく、秋には全山紅葉し、冬の雪が金堂や五重塔を純白に飾る景色は水墨画のようで写真家の土門拳氏や入江泰吉氏を魅了した寺で、四季折々の植物も景色も美しく、仏像も素晴らしい日本人のふるさと的な存在ですので是非お越しください。

    


           


奈良の山寺~壷阪寺~

2020-06-11 18:35:53 | 地域と文化
奈良の山寺を散策~壷阪寺~
 南に桜の名所吉野山を控え、北に万葉のふるさと大和三山や奈良盆地を一望におさめる壺阪の山に建っています。
大宝三年(703年)に元興寺の弁基上人がこの山で修行していたところ、愛用の水晶の壺を坂の上の庵に納め、感得した像を刻んでまつったのが始で、その後朝廷より壺阪山南法華寺の正式寺号を賜ったのです。
歴史ある南法華寺ですが、壺阪寺や壺阪観音の名称でよく知られておりますが、壺阪寺の魅力を感じながら境内を歩いてみましょう。

~壺阪山南法華寺(壺阪寺)の縁起~
 近鉄吉野線「壺阪山」駅を下車し、駅前から、奈良交通バス「壺阪寺前」行きに乗車し、終点の「壺阪寺前」で下車し、上り坂を道なり進むと、左手に南法華寺(壺阪寺)に向かって坂を下りる歩道があり、バス停から壺阪寺まで徒歩約10分です。
壺阪山の庵を結んでいた弁基上人は水晶の壺を愛でていたが、大宝3年(703年)、その壺の中に千手観音像を感得したという。弁基上人はその姿を刻み、像を庵に安置したとされており、これがこの寺の創始と伝えられており、壺阪の名もこれに由来しているといわれています。
元正天皇はこれを知り、養老元年(717年)に八角殿を建て、ここに壺と観音像を安置し、南法華寺の名を与えたという。
南法華寺は平安時代に全盛期を迎え、36堂60坊の大伽藍が造営されたと伝えられています。その後、数度の大火に遭遇し諸堂が焼失したのです。現在の諸堂は室町時代に再建されたものが基になっているようです。
壺阪寺の本尊は眼病に霊験のある仏として昔から信仰され、元正天皇、一条天皇、桓武天皇をはじめ眼病平癒を祈願する人は多かったとされていますが、特に、近年壺阪寺が眼病患者を救う観音を祀る寺として有名になったのは、明治時代に失明回復祈願にまつわるお里沢市の夫婦愛を描いた浄瑠璃、壺阪霊験記が世間に共感をよんだことによるといわれています。
~壺阪寺と持統天皇の関係~
 持統天皇は壬申の乱で有名な天武天皇の妻で、夫婦で合葬されており、歴代の天皇の中でもおしどり夫婦でしたが、持統天皇は大宝2年(702年)12月22日に亡くなっております。
天皇や貴族など身分の高い人が亡くなったときはもがりといって1年ほど本葬をする前に、遺骸を納めて祀る期間があり、実際の火葬は1年後の大宝3年(703年)で、この年に壺阪寺が創設されています。
続日本記によれば大宝3年12月17日に飛鳥の村の岡で火葬され、26日に天武天皇陵である大内山陵に合葬されたと記載されています。

  



    


親子で楽しめる宇陀地区の施設

2020-06-10 09:18:07 | 地域と文化
親子で楽しもう!宇陀地区の施設
宇陀は、宇陀松山城や寺・神社・古墳など歴史的資料が多く残っている地区でもあり「古今集」や「日本書紀」「万葉集」などに数多く登場する場所で少し硬いイメージがありますが、宇陀には、歴史マニア以外にも家族で楽しめる施設が多くありますので、休日には親子で楽しんでリフレッシュして下さい。
~動物たちとふれあい、そして学ぶパーク~
 近鉄大阪線榛原駅より「大宇陀」行きのバスに乗り、小附で降りて山手の方に歩いて行くと「うだ・アニマルパーク」があります。
うだ・アニマルパークは、楽しく遊ぶことはもちろんですが、動物たちとふれあい、学ぶことのできる都市公園となっており、毎日開催している「バター作りと乳しぼり体験」や「ポニー乗馬体験」、「やぎ・羊のえさやり体験」「ヤギの橋わたり」に加え、土・日・祝日には犬や猫に関する学習ができるイベント「ワンだふるタイム」を開催しています。このほかにも「羊の毛刈り体験」や「豚まん作り体験」など月替わりで特別イベントも開催しています。 
園内の一部を除いて犬の散歩ができ、登録制(ホームページより登録することができます。)のドッグランも完備しており、愛犬と一緒に楽しむことができます。
         

~うだ・アニマルパークのイベント~
・・・バター作り体験・・・
牛の乳しぼり体験とセットで行われており、生クリームの入ったボトルを振って、バターを作り、できたバターはクラッカーにのせて試食します。バター作り体験が休みの場合は、乳しぼり体験を単独で行っています。
・・・ポニー乗馬体験・・・
3歳以上小学6年生以下、体重50㎏以下のお子様を対象とした乗馬体験で、お子様一人で乗っていただき、スタッフが馬をひいて、パドックを1周します。また、3歳未満のお子様や、動くのが苦手なお子様は、止まっているポニーにまたがり、撮影体験コースがあります。
・・・やぎ・羊のえさやり体験・・・
やぎ・羊舎にて、受付なしで体験することができ、エサ代など無料となっており、入口のスタッフから「えさ」を受け取ったら、好きなやぎ・羊にあげて下さい。
ただし、スタッフから受け取った「えさ」以外は絶対に食べさせないで下さいね。
また、動物にさわった後は、必ず手を洗うようにして下さい。
~木造校舎に囲まれた1200品種のカエデ~
 近鉄榛原駅から菟田野東吉野村役場行きに乗り、古市場水分神社で下車し5分ほど歩くと「奈良カエデの郷ひらら」があります。
ひららですが、昭和10年に建てられた木造の小学校をそのまま利用した施設で木造校舎に囲まれた1200品種のカエデが見事です。
奈良カエデの郷「ひらら」には、国内はもちろんですが、世界各地から集められたカエデ約1200品種、約3000本が植栽されています。この収集量と希少品種の多さは日本一と評されています。
施設は、おしまれながらも役目を終えた小学校の校舎を活用し、教室や家庭料室など当時の面影を残し、カフェやお土産コーナー、ギャラリー、玩槭文庫、多目的和室など備え、NHK朝の連続テレビドラマのロケ地としても利用されました。
カフェでは、季節のパフェや日曜日限定ですが、昔なつかしいシナモンを振り掛けた揚げパン給食などがいただけます。

    


        



古の時代を彩る人たち

2020-06-08 19:29:26 | 地域と文化
古の宇陀を彩った人たち
 宇陀という地域は、「古事記」「日本書紀」といった多くの書物に度々登場し、古い地名や伝承などが数多く残っている地で、宇陀の歴史を彩ったのは何も男性だけでなく、日本初の女帝である推古天皇や女人高野といわれる室生寺を再興させるために人力を尽くした桂昌院など数多くの女性が歴史の舞台に登場してきます。
・・・天照と共にした姫・・・
第11代垂仁(すいにん)天皇の第四皇女の倭姫(やまとひめ)は、天照大神のために安定して神事を続けることができる場所を求め各地を巡ったのです。
御杖代(みつえしろ)として大和国から伊賀・近江・美濃・尾張の諸国を経て伊勢の国に入り、皇大神宮(伊勢神宮内宮)を創建したとされています。
御杖代とは依代(よりしろ)として神に仕える者の意味で、倭姫が伊勢神宮を創建するまでに天照大神の神体を順次祀った場所は「元伊勢」と呼ばれる。

・・・日本初の女帝・・・
聖徳太子の叔母である推古(すいこ)天皇は、日本初の女帝であり、東アジア初の女性君主で、聖徳太子を摂政に、天皇を中心とした国の体制づくりを進めた人物です。
日本書紀に、推古19年(611年)5月条に菟田野で推古天皇一行が薬猟をしたという記載があります。これは史料で確認できるわが国最初の薬猟の記録です。
薬猟とは、宮中行事の一つで、男性は薬効の大きい鹿の角をとり、女性は薬草を摘んだと言われています。

・・・波乱の人生の末・・・
横佩の右大臣藤原豊成卿の息女である中将姫は、継母の讒言(ざんげん)によって14歳で菟田野日張山に追いやられたのですが、武士嘉藤太の情により命を助けられここに草庵を結び、2年6ヶ月の間念仏三昧の生活を送ったのです。
その後、父の豊成公がこの地に遊猟に来た際、偶然に再開し奈良の都へ帰るが、仏道への志強く當麻寺で出家し、當麻曼茶羅を感得した。その後、日張山に建立した堂に手ずから刻んだ自らの影像と嘉藤太夫婦の形像を安置して日張山青蓮寺と名付けられたのです。

・・・仏教再興に力を尽くした女性・・・
徳川家光の側室で、5代将軍・綱吉の生母である桂昌院ですが、女人高野で名高い室生寺に多額の寄進を行い、仏塔を修復するなどして再興に人力を尽くしました。
寺の表門の前にある「女人高野室生寺」と彫られた石碑の上部には、九目結紋という紋が彫られており、これは桂昌院の実家である本庄家の家紋です。また、境内には桂昌院の五輪塔もあり室生寺の堂塔を修繕した功績を讃えています。


奈良の里山散歩

2020-06-07 08:07:24 | 地域と文化
奈良の里山散歩~笠の集落~
 山の辺の道から名阪針インターの方へ行くと、今も残っている懐かしい里山の風景が残っているのが上之郷で、この集落で作られた、そばの実を打ったそばをいただくことができます。

~笠寺の一寺として承継された竹林寺~
 山の辺の道から笠山方面に行くと竹林寺が見えてきます。
竹林寺は、笠寺の一寺として承継されたのですが、明治政府による神仏分離までは、笠山荒神社と一体となっており、今も竹林寺境内に祀られる板面荒神が当時の面影を偲ばせています。
竹林寺の歴史を辿れば、元来は笠寺(加佐寺)と称しており、聖徳太子あるいは良弁僧正の創建と伝わる大寺院で、長谷寺奥之院とも言われ、長谷寺十一面観音の材料であったと楠の霊木の一部を使って薬師如来像を造ったと言われていますが、残念ながら現在は実在していません。
竹林院には、国の重要文化財に指定されている、平安時代初期の薬師如来立像や県の重要文化財に指定されている鎌倉時代の地蔵菩薩立像が寺宝として収められていますし、板面荒神図絵や十一面観音立像なども記されています。

 

~日本三大荒神のひとつ~
 竹林寺から北に登っていくと、日本三荒神の一つとされる笠山荒神社があります。
笠山荒神社は、兵庫県宝塚市の清荒神、奈良県吉野郡野迫川村の立里荒神と共に日本の三大荒神社にその名を連ねていますが、不思議なことに、笠山荒神・清荒神・立里(たてり)荒神といずれも関西地方でこの内の二つが奈良県に鎮まる荒神様となります。
笠山荒神への入口は2ヵ所あり、閼伽井不動・天満神社・竹林寺などに近い表参道と、駐車場やそば処に近い北参道に分かれています。
表参道は歩いて参る道として昔からある道で、車が主流となっている現在では馴染みの薄い参道と言えます。車社会となった現在、車のアクセスを考え、北参道入り口付近が後に整備されました。
笠山荒神社では毎年1月・4月・9月の28日に大祭礼が行われる慣わしで、太鼓が鳴らされ、神前周辺には張り詰めた空気が流れ、拝殿内では神前神楽も奉納され、辺りは厳粛な雰囲気に包まれ周囲の山々と一体となる感じがします。
竹林寺から神興のお渡りがあり、そばの里の集落全体が、いつもにも増して賑わいます。
台所の神様が祀られていることから、笠山荒神は、どの家庭にも縁深いものですので、
荒神様とご縁を持っておけば、ご利益が授かると思います。

~荒神の里・そばの里
 桜井市笠地区で生産された玄そばを使用したそばで、土産物として乾そばがあります。特徴は、少し細めで風味・コシがあり、喉越しよい麺です。
また、自分で作った麺をざるそばでいただくことができますが、そばを打つには予約が必要ですので注意して下さい。
そば打ち体験の他にも、すぐに食べられる食事メニューも充実していますので、是非立ち寄ってご賞味下さい。また、高原野菜の直売所もありますのでご利用下さい。
笠のそばですが、15haの畑地に8月中旬に種を播き、9月中旬頃に白い可憐な花を咲かせる光景は見事です。      

 


店名:笠そば処 (0744-48-8410) 
営業時間:[月・火・木・金・土・日] 10:00〜16:00

公式HP:http://www2.mahoroba.ne.jp/~kasasoba/  


ちょっとしたお散歩コースを紹介

2020-06-06 08:03:33 | 地域と文化
ちょっとお散歩・・・今井町・・・
 今井町は、戦国時代に発展、繁栄した町で「大和の金は今井に七部」と言われた町でした。
今も昔ながらの薬屋さんや造り酒屋など、宿やグルメ、歴史ある町家で国の重要文化財にも指定されている建造物など、ゆったりとその時代の風を感じながら散策してみて下さい。
**散策の前にちょっと寄り道**
 今井町を散策する前に立ち寄っていただきたいのが、今井まちなみ交流センター「花甍(はないらか)」で、和洋折衷の名建築の建造物で、明治36年(1903年)高市郡教育博物館として建設され、昭和4年から今井町役場として使われていました。現在は今井町の情報の発進基地として、今井町に関する文献や建築模型、貴重な展示物・映像など、一歩深く知るための資料が一堂に集められています。
今井町まちなみ交流センターで、今井町の知識を学んで、今井町の街並みを散策と、その前にちょっと一息と思えば、おしゃれカフェ「Hackberry(ハックベリー)」でティータイムはいかがですか。
飛鳥川を渡ったところにある、樹齢約420年の巨大な榎の前にあり、築100年の古民家をリノベーションしたおしゃれなカフェです。
ディナータイム限定ですが、アドカボを用いた「橿原ビビンバ」もおすすめです。ちなみに営業時間は、11:00~23:00で火曜日が定休日となっています。
**造り酒屋で地酒を試飲**
 江戸時代初期、上品寺村から移住し、古くから「上品寺屋」の屋号で酒造業を営んでい
るが、重要文化財にも指定されている「河合酒造」です。
河合酒造では、奈良の銘酒の一つでもある「出世男」の蔵元です。1階の奥には、昔の酒造りに関わる道具も展示しており、店頭にはいろいろな地酒が並んでおり、試飲することもできますし、もちろん販売もしていますので購入することができます。また、1階部分の見学は予約や見学料も不要となっていますが、2階部分の見学には事前予約が必要で有料となっていますのでご注意ください。営業時間は、9:00~17:00となっており、不定休ですので、お問い合わせて下さい。0744-22-2154です。
**散策した後は美味しい料理で**
 歩いて散策しているとお腹が空いてきますよね、そこでおすすめなのが、風情たっぷりの町家茶屋があります。
江戸時代中期の町家をリノベーションした「古伊」というお茶屋さんで、美味しいランチが食できるお店として人気があり、店内には、古民具などがあり当時の雰囲気を楽しむことができます。営業時間は、10:30~17:00で定休日は月曜日(祝日の場合は翌日)となっています。
また本格フレンチという方は、旬の食材を使ったコース料理を食することができるフレンチレストランが「Tama」です。素敵な空間でゆったりとフレンチを楽しむのも旅の醍醐味です。営業時間は、12:00~15:00,18:00~22:00となっていますし、ランチタイムは予約不要ですが、ディナーは前日までに予約が必要です。(TEL0744-24-8868)また、定休日は水曜日となっていますのでご注意ください。