打越 さく良
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噛み締めます。
「公平な司法判断が下された。朝鮮人として、女性として、この日本に生まれてよかったと初めて思いました。この4年間は、ほんとうに辛かった。それでも誰かのためになれば、報われるかもしれません」
なぜ彼女は「保守速報」を訴えたのか。ある在日女性の思い
大阪高裁で敗訴したまとめサイト、保守速報。その裁判に至るまでの経緯とは。
2018/07/4 06:01
ネット上での、世代も出自も関係ない出会いは、刺激的だった。
行ったことがない韓国の話を聞いたり、在日同士で家庭ごとの食事の違いを笑いあったり。すべてが新鮮で、自由だった。
そんな和気あいあいとしたネット上が、だんだん息苦しくなってきた。ちょうど日韓W杯が開かれ、北朝鮮による拉致問題が注目されるようになった、2002年のころだ。
「その前後から、2chなどの匿名掲示板で在日を差別するような書き込みが増えていったんです。でもその時は、見たくなければ、見に行かなければよかった。変わった人たちが悪口を書き込んでいるだけだ、と」
「それに、そういう人だけではなかった。拉致問題の時には『在日としてどうしたらいいのか』と書き込んだことがあるけど、当時は『悪いのは北朝鮮という国家で、在日じゃない』と支えてくれる人もいました」
加熱した「ネトウヨ」からの攻撃
SNSの出現をきっかけに、空気は変わった。
mixiを皮切りに国内でもSNSサービスが普及し始めると、ネット上の差別は顕著に、そして直接的になっていったのだ。書店に「マンガ嫌韓流」(2005年発売)などの本が並び始めた頃だった。
「個人のmixiや在日コミュニティなどにも荒らしが来て、『チョン帰れ』などと書き込まれるようになった。ブログをやっていた在日の友達で、荒らしを原因に閉じる人が何人もいました」
「それまでは匿名で掲示板に書かれていた内容が、直接的な嫌がらせになった。一気に激しくなったんです。仲間内のリストに一斉にDMやリプライを飛ばされたこともある」
2011年ごろからTwitterが普及すると、いわゆる「ネトウヨ」からの攻撃はさらに加熱した。
比較的閉鎖性が高いFacebookに逃げ場を求めた人も多かったが、李さんはTwitterでの発信をやめなかった。
「在日であること、そして女性であるということが、私が攻撃を受けることになった一番の理由だと思っています」
朝鮮人差別というのは、ずっとあったのであるが、日韓W杯の前くらいは、半島についても在日についても、無関心の人たちが大勢で、差別を受けてきた在日ついては、同情的といった雰囲気があった。
日韓W杯で、韓国サポーターの露骨な反日的態度・行動をみて、「なんなんだ、あれは!」と驚いた日本人が多かった。
いずれにせよ、在特会を始めとする在日差別は、日本人がみていても醜悪であり、日本の恥。
やめてほしいものだ。