Bankの秘密基地

個人日記兼つれづれなるままに

2004年の国内株式市場の回顧

2005年01月03日 | 金融市場
2004年の暦年ベースの株式リターンは2年連続の上昇となった。年末の日経平均終値11,488.76円から計算すると7.6%の上昇になる。インカムゲインを含めると10%には届かないものの極めて穏やかな上昇となった。また日経平均の上昇は2年連続であり、企業業績の改善効果が株価に与えた影響は大きいと判断される。

今年度の全企業の増益率は昨年度と引き続き2桁の増益になり、期中の円高にも関わらず、製造業、非製造業共に大幅な増益となっている。一方で、上下で比較すると上期の大幅増益に比べると下期はだいぶ鈍化しており、これが年度下期の日経平均の上昇を阻害した大きな要因であると判断される。

また株価上昇余地が限定的であると考える根拠は大きく分けて2 つある。第一に、景気低迷が意外に長引くということである。もし、市場のコンセンサス予想通り、日本経済の景気調整は短期に終わり、すぐに景気が良くなるのであれば大型増税が前倒しで実施されよう。実際には、景気悪化により大型増税は直ちには実施されないと予想されている。 第二に、景気のピークアウトと大型増税を目の前に、世界的に割安とはいえない日本株(PER は世界と同水準の17 倍)の上値を誰が買い上げるのか、というてんである。グローバルにバリュエーションの収斂が観測され、トヨタ、ホンダ、日産などの国際優良株のPERが1桁であっても株価が上昇しない。JFE、新日鉄などの素材株の大幅増益にはある程度反応したもののバリュエーションで7-8倍と極めて低い水準に放置されているのは投資家の気迷いがあったからであると考えることができる。リスクとしてあげられたものとして①米国景気失速、②中国バブル崩壊、③円高等が挙げられ、これらに対しての明確な認識が定まらなかったのが2004年の株式市場であったといえよう。

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中古不動産投資とリスク・リターンの実態

2005年01月03日 | 不動産
 理論だけでなく、投資理論の実践は重要である。また実際のリスク・リターンプロファイルを実感することが投資活動にとって極めて重要であるのも確かである。外貨預金、国内株式、外国株式、外国債券、商品先物、国内外REIT等への投資を通じてポートフォリオ理論の実践に努めていたが、不動産投資を行ったのは3年前のことである。

 当時の私は不動産に関しての知識がほとんどなかったものの、さまざまなアセットクラスの投資を行っていることから、普通の人よりもましな投資ができたと考えているが、それでも新築物件への投資は失敗であったといえよう。最初の物件は利回りがグロスで6.9%あり、賃料収入からコスト、税金、元利返済のを差し引いてもプラスが残る形となったので当時の私はうまくいったと判断していた。しかしながら、その後行中古不動産投資と比べるとなんとリスク・リターンプロファイルが貧弱であったかを思い知ることになる。 

 不動産投資でよく見かけるのは利回り5%程度で高利回りを歌ったものがものが多いが、実際には管理費・修繕積立金、固定資産税、都市計画税などのコストを考慮すると実質の利回りは2%を下回ることになる。また、大抵ローンを組むことにより、元利返済が伴うことから実際のキャッシュフローはゼロ近くになることが多い。不動産投資で成功するには利回りは最低でも10%必要で、仮にレバレッジをかけるとすれば15%のグロスリターンがないと経済的な効果は極めて低くなる。

 私が今回投資を実行したのは岡山県にある中古マンションである。場所的には岡山駅からバスで25分、東岡山駅からは徒歩で18分である。これだけを聞くとなんと僻地にと思う方がおられるかもしれないが、実は地方は首都圏と違って車社会であることに注意すべきである。したがって、バスで25分というのは車なら10-15分程度であり不便さはほとんどない。これは実地のフィールドテストを行って実感したものである。

 岡山県のマンションのケースでは賃料57,000円(年間賃料684,000円)、投資額370万円でグロスのリターンは18.48%であった。これだけ見るとかなりの高利回りであるが、管理費・修繕積立金で169,920円、固定資産税、賃貸管理費を差し引くとNOIで405,634になる。これでみると実質利回りは10.96%に低下する。

 債券と異なりキャッシュフローの安定性から言えば当然劣るため、債券とのイールドスプレッドが5%もないような物件、すなわち新築物件は絶対に避けるべきである。岡山のケースでみると上記の実質利回りは空室率が100%の場合である。もし1ヶ月の空室が発生すると利回りは9.5%に低下する。2ヶ月の空室ではさらに8%まで低下する。そして1ヶ月ごとに空室が続くと利回りは150bpずつ低下し空室が半年続くと利回りは2.18%。さらに2ヶ月続くと利回りはマイナスとなるのである。これは固定的経費である管理費・修繕積立金・税などが物件価格の8%程度年間かかるためである。

グロス利回りが18%の物件でさえこうなるのであるから、グロス利回りが5%程度の新築物件の投資リスクは極めて大きいことになる。但し、中古物件との違いは管理費・修繕積立金が中古と比較して安いことが決定的な違いである。これは竣工して日が浅い物件ではかかる管理費が安いこと。また修繕積立金に関しても大規模修繕が近い将来ないことなどから割安に設定されているためである。しかしながら、新築物件では空室率の少しの低下が利回りの劇的な低下を招くことは必至で、3ヶ月程度の空室で実質利回りがマイナスになる可能性は高いといえる。
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