東京 DOWNTOWN STREET 1980's

東京ダウンタウンストリート1980's
1980年代初頭に撮影した東京の町並み、そして消え去った過去へと思いを馳せる。

「さよなら蔵展&なかだえりの駅弁祭」を見る

2013-05-31 21:06:05 | イベント
先日、朝日新聞デジタルの記事で、足立区千住で古い蔵をアトリエ兼ギャラリーにされているなかだえりさんの「さよなら蔵展&なかだえりの駅弁祭」という展示が行われてるというので、見に行ってみた。場所は北千住駅からそう遠くない、旧街道筋の商店街を行ったところから曲がった横丁だった。


「さよなら蔵展&なかだえりの駅弁祭」
会場:蔵アトリエ 足立区千住5-6-11 展示を行っている時のみの公開。
会期:2013年5月25日(土)~6月2日(日)
時間:13時~17時
入場無料
詳細は、上の画像からなかだえりさんのサイトにリンクを貼ったので、そちらを参照のこと。

築190年になるという蔵はなかなか見応えのある建築だった。太い材木をそのまま丸太を剥いた形で使った梁など、近くで見ると歳月を感じさせられる。家主の意向で立ち退かなければならないと言うことだが、どうなってしまうのか、心配である。最近でも、都内から古建築は失われていく一方で、この間まであったはずの建物がなくなっているというケースは枚挙に暇がない。築190年の蔵が残っていると言うこと自体が、都内ではレアなケースである。震災、戦災を免れている上に、旧街道が荒川放水路によって分断された経緯のある、いわば町ごとタイムカプセル化している千住ならではとも思える。


さて、建物だけではなく、なかだえりさんのイラストについても。一階と二階に展示が別れていて、一階は駅弁のイラストが飾られている。日本全国の駅弁をイラストにしているもので、単純に蓋を開けたところが描かれているものもあれば、断面図で描かれているものもあって、見ているだけでも楽しい。食べたことのある駅弁も色々あるので、見ていると、どんなだったのかを思いだしてくる。そういったイマジネーションに働きかけてくる点では、写真よりもイラストの方が書き手の思いが込められている分、より強さがあるように思える。二階には、駅や列車のマークを描いたイラストもあって、元々は鉄道好きであった私には、これもまた楽しかった。


なかださんのサイトのプロフィールを拝見したところ、陣内秀信氏の研究室を出ておられると言うこと。陣内氏共著の「東京の町を読む~下谷・根岸の歴史的生活環境」は、昭和56年発行の第一刷を持っている。当時、路上観察学会と陣内氏くらいしか、東京の町屋とか看板建築などに重心を置いて研究している人はおられなかったと思う。

とにもかくにも、6月2日の日曜日でこの展示も終わってしまう。そうすると、せっかくのこの蔵の展示というのも見られなくなってしまうわけで、急いで紹介しておきたいというわけである。


千住の町は、江戸四宿中では、もっとも宿場町の雰囲気が残されている町ではないかと思う。わが地元の板橋が、明治の火災や、建て替えの進行もあって、宿場町の面影をほぼ失っていることと比べても羨ましいほどに古い商家など、いくつも残されている。そういった千住の良さを活かして、町興しもされているようで、千住の散策を兼ねて足を運んで見るのも良いと思う。商店街を冷やかして回るだけでも、なかなか楽しい。千住の町の見所が分かるマップなども配布されているので、お薦めである。古い建築の前には、こんな風に案内板も設置されている。


会期末が迫っているので、取り急ぎ。


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