
■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 超高齢社会を持続可能に 3b15-5430
経営コンサルタントを半世紀にわたってやってきた経験から、すこしでも皆様のご参考になればとお届けしています。
【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】は、皆様から寄せられたり、私が支援したり、見聞したりした企業の事例を紹介していますが、お陰様で、毎回拍手をいただいています。
また、あなたのクライアント・顧問先やお知り合いの会社で、ここで紹介したい企業・団体等がありましたら、是非ご連絡ください。
■ 超高齢社会を持続可能に 3b15-5430
「団塊の世代」という言葉を知っている若い世代は少ないのかもしれない。 戦後間もない1947年~1950年の第1次ベビーブームのころに生まれた世代の ことだ。年間出生数は毎年250万人を超えていた。今の3倍の子供が生まれて いた計算になる。高度成長期が就職時期で、働き盛りの40代にバブル期を経験。 日本の生産や消費、文化を牽引してきた世代だ。
その団塊世代が75歳以上の後期高齢者にさしかかっている。「2025年問題」 といわれ、雇用や医療、福祉など幅広い分野に影響を与えるのではないかと 懸念されている。その15年後には、団塊世代の子供たち、「団塊ジュニア」 世代が65歳以上になる。高齢者人口がピークとなる「2040年問題」が待ち 構えている。
島根県松江市で高齢者施設向け調理済み食品の製造・販売など手掛けるM社は、「2040年問題」に向けて、高齢者の食を支える新たなビジネスモデルの構築にチャレンジしている。働きたい意思のある障がい者を 高齢者施設の厨房スタッフとして働けるようにする取り組みだ。
「障がいを持った人たちは、その時の精神状態によって仕事ができたり、 できなかったりする。その心の動きを『見える化』して、指導員が適切な 指導や対応ができるよう支援する」とN社長は説明する。障がい者就労 支援事業所などと連携し、ビッグデータとITを活用して「障がい者の気持ち 見える化システム」の開発を進めている。
M社では、「真空調理法」で調理したメニューを全国の高齢者施設などに届けている。食材を皿に盛り付け、再加熱するだけで健康に配慮した美味しい料理が食べられる。障がいを持っている人でもしっかり支援をすれば、盛り付けから配膳までワンオペレーションでこなすことができるそうだ。
「高齢者施設の厨房は働き手が少ない分野。一方で、就労支援事業所の 多くは赤字経営といわれている。この取り組みが全国に広がれば、少なくとも 3万人の雇用を生む。自立する障がい者を増やすことができる」とN氏。 高齢者施設の人手不足と障がい者の働く場の確保という2つの社会的課題の 解消への貢献が期待される。
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M社は、先を読んで2040年問題に取り組んでいます。そのときに、「高齢者施設」「食問題」「人手不足」というキーワードを関連付けての経営判断です。
その経営判断により、自社の成長も望めますし、社会が抱える2つの問題解決にも寄与でるビジネスです。
経営というのは「時代対応業」と私の先輩が言っていましたが、時代の先を読んで、M社は、自社の長期戦略に取り組むという、経営の基本を実践しています。
いわば、「あたり前」のことをあたり前に行おうとしているのです。それがやはり経営者にとって必要な思考法の一つといえます。
一方で、同じようなことを考える人がいるでしょうから、その対応策も今から取り組んでいきませんと、「アレッ!想定していたことと少し違うな」という状況に陥りかねませんので、注意が必要です。