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■【連載小説】竹根好助の経営コンサルタント起業8章 4 糟糠之妻

2025-03-21 08:21:00 | 【連載小説】竹根好助のコンサルタント起業

  ■【連載小説】竹根好助の経営コンサルタント起業8章 4 糟糠之妻 

 
■ 【小説】 竹根好助の経営コンサルタント起業 
 私は、経営コンサルタント業で生涯現役を貫こうと思って、半世紀ほどになります。しかし、近年は心身ともに思う様にならなくなり、創業以来、右腕として私を支えてくれた竹根好助(たけねよしすけ)に、後継者として会社を任せて数年になります。 竹根は、業務報告に毎日のように私を訪れてくれます。二人とも下戸ですので、酒を酌み交わしながらではありませんが、昔話に時間を忘れて陥ってしまいます。
 これからコンサルタントを目指す人の参考になればと、私の友人が、書き下ろしで小説風に文章にしてくれています。 原稿ができた分を、原則として、毎週金曜日に皆様にお届けします。
【これまであらすじ】
 竹根好助は、私の会社の後継者で、ベテランの経営コンサルタントでもあります。
 その竹根が経営コンサルタントに転身する前、どのような状況で、どの様な心情で、なぜ経営コンサルタントとして再スタートを切ったのかというお話です。

 1ドルが360円の時代、すなわち1970年のことでした。入社して、まだ1年半にも満たないときに、福田商事が、アメリカ駐在事務所を開設するという重大発表がありました。
 角菊貿易事業部長の推薦する佐藤ではなく、初代駐在所長に竹根が選ばれました。それを面白く思わない人もいる中で、竹根はニューヨークに赴任します。慣れない市場、おぼつかないビジネス経験の竹根は、日常業務に加え、商社マンの業務の一つであるアテンドというなれない業務もあります。苦闘の連続の竹根には、次々と難問が押し寄せてくるのです。
 日常業務をこなしながら、アテンドという商社マンにつきものの業務を自分なりに見つめ直す竹根です。慣れないニューヨークを中心としたアメリカでのビジネスですが、時として折れそうになってしまいます。そのようなときに、若い竹根の支えとなってくれたのが、本社で竹根をフォローしてくれるかほりでした。彼女の父親は地元の名士ということから、竹根などに娘をやるわけにはいかないと厳しかったのです。かほりと竹根の努力で、結局、父親は折れざるをえず、晴れて結婚が認められました。
 たった一人でニューヨークで苦闘してきた、若者、竹根好助(たけねよしすけ)も5年の任期を終え、東京に戻り、本社勤務に戻りました。5年という歳月で自分の置かれている立場が急激に変化してきたことを実感している竹根です。その最大の変化が、まさか自分の身に降りかかると思ってもみなかったヘッドハンティングです。

◆8章 半歩の踏み込み
 ニューヨークでの5年の任期を終え、東京に戻り、商社マンとして中堅どころに足を踏み入れた竹根です。東京本社勤務が始まったばかりというのに、ヘッドハンティングという、想定だにしなかった話が舞い込みました。
 一方で、竹根の仕事ぶりは、常人とはかけ離れた発想での仕事ぶりでした。
  ※ 直前号をお読みくださるとストーリーが続きます。
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◆8-4 糟糠之妻
 このような、地味な取り組みが、すべて成功するわけではなく、見込み違いの方が多いが、次第に海外営業部の売上増加という結果となって出てくるようになった。また、それが営業担当の成果に繋がるため、竹根の縁の下の力持ちに対する営業担当の評価は高まる。
「竹根先輩、ありがとうございます。おかげで、今期は受注も売上も目標を達成することになりました」
 そう言われることに竹根は快感を覚えるようになった。
 そんなときに、ヘッドハンティングの声をかけてくれた竹之下経営の副社長である小田川の「経営コンサルタントとは、クライアントに『ありがとう』と言われることを楽しみにできる仕事です」という言葉が頭をもたげてきた。
 その言葉が、竹根の頭の中を駆け巡ってくると、「商社の限界」という言葉が連想的にそれに加わってきた。

 帰宅すると相変わらず、かほりと由紗里の笑顔が迎えてくれる。昼間、「ありがとう」「商社の限界」という言葉の渦に巻き込まれそうになって、それに耐えようとする疲れが、一挙に吹き飛んだ。
 しかし、潜在的な疲れは解消できていないのか、夜中にうなされて、かほりに起こされる日々が続いた。
 ある晩のことである。
「あなた、何か悩んでいるのではないですか?私でよかったら、話してみません」
 竹根は逡巡することなく、人生のベターハーフであるかほりに自分の悩みを話し始めた。
 かほりは、また相槌を打ちながら、竹根の言葉を次々と引き出す。竹根は、催眠術にかかったかのように、しゃべり続ける。
「あなたは、福田商事で、やるべきことはやってきたのでしょ」
「すべて、完璧にやったわけではないが、たとえ完璧にやっても、商社は商社、やはりメーカーとは相容れないというか、基本的に体質が異なるので、私が福田商事でできることには限界がある」
「そこまで解ったのであれば、次にあなたがすべきことは、もう考えているのでしょ」
 完全に竹根の気持ちをかほりは見抜いているのである。
「できるかどうかは解らないが、経営コンサルタントの資格に挑戦してみようと思うんだ。それがだめなら、また足元固めからやってみようかと思う」
「私は、努力家のあなたなら、あなたがやりたいことは実現できると信じています。すでに経営コンサルタントをやっている人がいるのですから、他の人にできることを、あなたにできないことはないわ」
「それは、あまりにも俺を買いかぶりすぎているよ。手前味噌というか、身内贔屓というか、俺の実力はそれほど高くはないよ」
「イイエ、私が太鼓判を押します。私が愛した人です。私が信じてついてきた人です」
 竹根はうれしいけど、大きなプレッシャーをかけられたような気がする。でも、背中を押されたことで、――まず半歩進んでみよう。とりあえず、資格取得に挑戦することで、それからまた考えよう。当面は、福田商事海外営業部企画課の仕事と、経営コンサルタント資格取得の二兎を追ってみよう。――
  <続く>

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