■【経営士ブログ】5-4 経営コンサルタントになるには ~ 経営士と中小企業診断士の違い
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日本経営士協会は、戦後復興期に当時の通産省や産業界の勧奨を受け、日本公認会計士協会と母体を同じくする、日本で最初にできた経営コンサルタント団体です。 プロのコンサルタント集団であるとともに、プロのコンサルタントを育成する団体でもあります。 経営やコンサルティングに関する情報はもちろんのこと、その他のジャンルについてもお届けします。 経営やコンサルティングの参考にされたり、話材の一つとしてお使いくださったりしてくださると幸いです。
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「経営士と中小企業診断士は、どのように違うのでしょうか?」という質問をよく受けます。 どちらも経営コンサルタントの資格であることは共通しているのですが、細かく見てゆきますと異なるところが結構あります。 この違いを理解するには、経営コンサルタントについての歴史を振り返ってみることが正しい理解に繋がると考えます。
■ 日本における経営コンサルタントの歴史「経営コンサルタント」という言葉は、戦後日本に上陸したといっても過言ではないのです。戦前は「能率技能師」と呼ばれることもありましたが、普通名詞として一般に通用する言葉ではありませんでした。 第二次大戦も終わり、日本の首都である東京などが焦土と化した中で、いち早い復興を図るための一策として、「アメリカ式の公認会計士制度導入」が検討されました。その制度を学ぶために政府がアメリカにミッションを送りました。その時の団長が黒沢清博士でした。 黒沢先生は、アメリカには公認会計士の制度と共に、産業界で「経営コンサルタント」と呼ばれる経営の専門家がいることを帰国報告に盛り込みました。昭和24年に、経営士(当時はまだ名称は確定していません)を国家資格とする方針で日本経営士協会設立準備が開始されました。これが契機となり、当時の通商産業省や産業界が中心となり、経営コンサルタントの国家資格制度を検討開始し、昭和26年8月に産官学の代表者が協議しました。 このときに中心的な役割を演じたのが、黒沢先生と太田哲三先生です。同年9月10日に「経営士」の制度が確立し、日本経営士協会が発足しました。昭和28年9月10日に一般公募による「経営士第一号」が誕生し、日本で最初の経営コンサルタント資格である「経営士」の資格付与が開始されました。 その誕生に当たっては、公認会計士制度と切り話すことはできません。太田・黒沢両先生が公認会計士制度の推進を進めていましたが、その母体は昭和2年に発足した「計理士」という資格にあるからです。太田先生が、日本経営士協会の中心的な役割を担ったのです。すなわち、経営士は公認会計士とともに、昭和2年に遡るのです。 その後、幾多の問題が絡み、昭和38年に今日の中小企業診断士の制度が発足しました。当初は「中小企業診断員」と呼ばれており、日本経営士協会の先生方がその育成に多大なる協力をした記録が残されています。 ![]() 経営コンサルティング業の歴史 ■ 中小企業診断士と経営士の資格取得上の違い中小企業診断士は、中小企業庁から委託を受けた中小企業診断協会様が実施する試験に合格することにより資格取得をすることができます。試験は、一次試験、二次試験、診断実務(三次試験)に、所定のレベル以上の成績を収めることが求められます。そのほかの中小企業大学校で学ぶなどの方法もあります。 経営士は、既述の通り日本経営士協会が認定団体としてあり、資格付与を行っています。一般的な「士業」団体と異なり、まずは協会に入会し、所定の講習を受講しながら実力を付け、資格取得をしていくのが一般的な方法です。 それ以外に、中小企業診断士の中小企業大学校に相当する受講による資格取得という方法があります。この講座を受講し、所定の成績を収めると科目試験を免除され、書類審査と口頭試験だけで「経営士補」の資格取得ができます。中小企業診断士は、中小企業診断士資格一つですが、経営士の場合には、公認会計士などと同様に「士補」制度があります。アシスタント・コンサルタントの資格です。 一般会員として日本経営士協会に入会した人は、上述のように講習を受け、単位を取得して、所定の単位を取得できた時点で経営士補昇格受験資格が与えられます。所定の試験により経営士補の資格取得ができます。経営士も同様にして資格取得ができます。 中小企業診断士と同様に、受験による資格取得の方法もあります。毎年春に資格試験が実施されます。経営管理、財務会計、人事労務総務、営業・マーケティング、製造・開発・資材、経営情報、経営法務、コンサルティング技術という8科目に60%以上の得点が取れないと合格できません。合格率や過去問が公表されていませんので正確なところはわかりませんが、中小企業診断士よりはるかに難関と言われています。 ■ 経営士・士補資格審査の考え方経営士・士補資格は、中小企業診断士と審査の基準が異なることが、この両資格の最も大きな相違点といえます。 今日、「中小企業診断士の試験が難しくなった」としばしば言われます。難しくなった原因は、幅広い知識、暗記力がないと一次試験に合格することが困難などが挙げられます。二次、三次(実務研修)は、応用力が求められます。 ベテランの経営コンサルタントであっても、少しの準備だけで簡単に資格取得ができないのが現状です。中小企業診断士は、上述の試験方法に苦手意識がない、比較的若い人達に有利な試験といえます。 一方、経営士・士補は、実力・実績に審査重点がありますので、すでにビジネスパーソンとして経験がありますと、比較的短期間に経営士補の資格取得ができます。また、税理士などの国家資格を有して、その専門業務に経営コンサルタント的業務をおこなっている士業専門家は特別推薦という方法により、学科試験の一部または全部の免除で経営士・士補資格取得ができる制度があります。 中小企業診断士にも、日本経営士協会の特別推薦に相当する制度がありますが、大学の教授などで実績のある人が例外的に適用されます。一方、日本経営士協会の特別推薦制度は、上述のような国家資格を有する人や、資格はなくても経営コンサルタント業を永年やっていて実績が認められる人は、特別推薦制度を利用することをお勧めします。 ■ まとめ 非常におおざっぱではありますが、実績・実力のある人には、経営士・士補資格がお薦めです。一方、記憶力・応用力に自信がある人や短期間に資格取得をしたいと望む人には中小企業診断士が適しているといえます。 しかし、だからといって大学生や社会経験の浅い人が経営士・士補資格取得ができないかといいますと、そうでもありません。 日本経営士協会が認定した大学の商学部・経営学部等で所定の成績を収めると経営士補の資格取得ができます。あるいは他学部でも認定された科目の授業で所定の成績以上の結果があれば、学科試験の一部免除という方策もあります 経営関連の大学院修士課程修了者には、経営士補学科試験が免除されますし、博士課程では経営士の学科試験が免除されます。 詳細は、入会相談係にご相談されると適切なアドバイスを得られるでしょう。
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