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■【あたりまえ経営のすすめ】1-3-46 【組織で動く】 「蓄積は力なり」 活用できる”マニュアル”の作り方

2022-08-28 07:49:12 | 【経営・専門業】 あたりまえ経営のすすめ<組織編>

■【あたりまえ経営のすすめ】1-3-46 【組織で動く】 「蓄積は力なり」 活用できる”マニュアル”の作り方

 多様化の時代になり、ホンモノ智恵が求められる昨今です。

 世の中には、「専門家」とか「プロ」と呼ばれる人が多数いらっしゃいます。

 ところが、残念なことに、その大半というのが、「エセ専門家」「エセプロ」なのです。

 それが露呈したのが、東日本大震災の福島原発事故ではないでしょうか。

 その対応においても、事後対応においても、専門家と言われる人達な何もできず、口を閉ざしてしまっだではないですか。

 ホンモノのプロ、要は「“真”のプロ」とは、どの様な人を指すのでしょうか。

 40年余の経営コンサルタント経験から、最善の策ではないにしても、ベターな策を講じるための智恵をご紹介してまいります。

メモ

■ 1-3章 【組織編】 あたり前のように「組織で動く」には

 「組織で動く」「組織的な活動」等々という言葉を、しばしば耳にしたり、口にしたりします。しかし、それには、どうしたらよいのでしょうか。

 頭ではわかっていても、言葉にして、他の人に説明しようとすると困惑してしまいます。そのような、お悩みの参考にしていただければと考え、連載しています。

 また、これまで【第1章 経営編】、【第2章 心 de 経営編】をお届けしています。そちらのバックナンバーも掲載していますので、併せてご覧下さると幸です。

 

■ 1-3-46 【組織で動く】 「蓄積は力なり」 活用できる”マニュアル”の作り方

 

 「マニュアル人間」とか、「マニュアル通りにしかできない」とか、マニュアルのイメージはあまり良くありません。たしかに、その指摘はあたっていることが多いです。

 しかし、一方で、それは、マニュアルに対する認識にずれがあることによる、マニュアル制作や活用法に問題があって、それを、端から見ていますと、マニュアルそのものが悪者に見えるのではないでしょうか。

 ゼロベース思考で、「マニュアル」を見ていただきたいと思います。


 マニュアルとは、「自社のノウハウを整理し、集大成した文書」です。従いまして、企業が成長するにつれて、マニュアルも成長してゆきます。

 一般的には、「わが社としては、最低限、ここまではできて欲しいということを伝える”ものさし”」ですので、それを100%実行し、実効を挙げられるようにする努力目標でもあります。


 しかし、「マニュアル人間になるな」という声を聞いた方も多いでしょう。

 「マニュアル通りやればよいのであって、それよりベターな方法があっても余計なことはせず、マニュアルに従って作業さえしていればそれでよいのだ」、「別のよい方法があって、それを試して失敗するよりは、マニュアル通りにやる方が出世できる」というような、お役所的な、型にはまった人間作りを推進してしまうようなマニュアルの使い方が蔓延してしまうことは問題です。これでは、従業員も企業も成長しません。


 「マニュアル人間になるな」というのは、マニュアルの効果やその価値を否定することではありません。「この様な手順で作業を進めれば、最低限要求される成果物を得ることができる」というのが、マニュアル本来の目的です。

 従いまして、上述とは矛盾するようですが、能力のある人であっても、マニュアル通り作業をするのが「原則」です。

 しかし、「マニュアルの成長が企業の成長の”ものさし”」ですので、マニュアル通りしていては、企業は成長しません。能力ある人やマニュアルの欠点や改善点に気がついた人は、マニュアルの改訂提案を積極的に行うべきです。

 ある企業では、マニュアル改定提案の効果予測をして、それに応じた報奨制度が適用されることにより、社員のモチベーションを高めています。


 一口に、「マニュアル」といいましても、いくつかの種類があります。

 一般的なマニュアルというのは、ここでは「作業手順書」といわれます。マニュアルのオーソドックスな使われ方で、初心者でもわかるように作業を進める手順を詳説したものです。

 「作業手順書」が、「作業従事者は、最低限度これだけは実行してください」ということを主目的としているのに対して、作業を進めるために、ヒントとなるような事項を中心に記述されているのが「作業者支援書」です。

 その代表的なものが「営業マニュアル」です。

 営業マニュアルは、営業活動の結果を基にして記述されます日報などをベースに蓄積したものです。過去の営業活動のノウハウがそこに蓄積されていますので、何か、判断に困ったり、新たな企画を立てたりするときのヒントを得ることができます。

 ここでご紹介しています「温かい管理」を推進しますのに、基本となることの一つが、双方向コミュニケーションです。双方向コミュニケーションを行うときには、管理職は、報告者とは別の視点で、アドバイスをしたり、指示・命令を出したりします。

 その時に、参考にするのが「管理職支援書」、すなわち管理職のためのマニュアルなのです。上述の「作業者支援書」と重複する部分が多いですので、そちらと兼用することもあります。

 本来は、作業者支援書や管理職支援書に記述したいのですが、自社の現状の実力から、その実施はまだ先のことと思われる事項を、いまから蓄積して行くことを目的としているのが「わが社の目指す”目標書”」というマニュアルです。

 新規事業を検討したり、次の経営戦略を立案したりするようなときのヒントとなることです。これらの多くは、日常の業務を通じて、報告書などに記述されていることからの転記でマニュアルの充実が図られます。


 「マニュアルを適切に活用できる企業は成長する」という言葉を覚えておいていただけますと幸いです。

 

 

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■【経営コンサルタントのお勧め図書】1710 トム・ピーターズの「経営革命」を読む

2022-08-28 05:46:00 | 【経営】 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】1710 トム・ピーターズの「経営革命」を読む

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

『「経営革命」〔上〕〔下〕〈Thriving On Chaos Handbook For A Management Revolution〉』

(トム・ピーターズ著 平野勇夫訳 野中侑次郎解説 TBSブリタニカ)

■      トム・ピーターズは何をした人?(はじめに)

 英国エコノミスト誌が、ドラッカー(故人)と共に「現代世界の思想的リーダー」として挙げている、トム・ピーターズとは何をした人でしょう。先ずは、何といっても「マッキンゼーの『7つのS』」を生み出したことでしょう。また、ボブ・ウォータマンと共著で、20世紀ビジネス出版界の大ヒットである「エクセレントカンパニー」を発表したことでも知られています。トム・ピーターズは主張します。『「エクセレントカンパニー」で導き出した8つの教訓(①行動の重視②顧客に密着する③自主性と起業家精神④人を通じての生産性向上⑤実践的価値観に基づく行動⑥基軸から離れない⑦単純な組織、少数精鋭⑧硬軟両面を持つ)は依然有効である。彼が引用した「エクセレントカンパニー」の幾つかが凋落したのは、教訓に従わなかっただけなのだ』と。

 今回の紹介本「経営革命」は、「エクセレントカンパニー」「エクセレントリーダー」に続く三作目で、彼の“三部作の集大成”と言える著書です。

 「世界を変えたビジネス思想家」(編訳 ダイヤモンド社)の中では、ドラッカーを“マネジメントの父”と表現し、トム・ピーターズを“マネジメントの教祖”と表現している事にも興味を覚えました。

 それでは本題に入りましょう。紹介本「経営革命」の原題は「Thriving on Chaos Handbook For A Management Revolution」で、著者は“カオスを当然のものとして受止め、「カオスに栄える」すべを学ぶ”としています。本書は「カオスに栄える」ために、“いついつまでに○○せよ”という命令形の「45項目の処方」として纏め上げています。企業経営の要諦を5つの領域(①顧客に対する対応に執念を燃やす。②企業のあらゆる分野でイノベーションを継続すること。③組織に繋がる全員を、企業活動に参画させ、利益を分かち合うこと。④変化を愛し、人々を奮い立たせるビジョンを行き渡らせ、それを共有するリーダーシップを打ち立てる。⑤今日の環境にふさわしい“まともなこと”を判断する簡素な支援システム(仕組み)を設け、それを活用して経営を管理すること。)に纏め、①~④領域は各10項目、⑤領域は5項目、トータル45項目の処方を提示しています。著者は、この45項目の相互関係を良く理解し、その上で、どの処方から「革命」の手を付けるかを決める『経営管理のハンドブックとして役立ててほしい』と言います。「革命」という言葉を著者が敢えて使うのは、「具体的好事例」に基づき、「既成観念」を捨て、「新たな企業経営の原則・基本」の実践を提言していることです。本書は1989年に初版が発行されました。いわば古典と言ってもいいかもしれません。その古典から、何を読み取るべきかを、次項で見てみたいと思います。

 

■      古典と言ってもよい「経営革命」の“処方”は今も生きている

 「経営革命」は、1987年、東証一部上場企業の時価総額が、ニューヨーク証券取引所の時価総額を抜いて、世界一となった時代に、著者がアメリカの企業に向けて、勢いのある日本企業も競争相手の一つに含め、競争相手に勝つための戦略を書いたものです。著者は、「国際性を志向せよ-処方5-」の中で、「世界で勝つためには、まず日本市場で成功せよ」と言い、日本市場で「経営革命」をして成功したアメリカ企業を紹介しています。日本市場で成功した企業は、自国を含めた世界の持続的成長企業になっているのです。

 しかしモデルの日本は、成功の上に胡坐をかいてしまったのでしょうか。今は、当時のアメリカと日本の立ち位置が逆転しているように思えます。特にアメリカの世界の先端を行くデジタル技術により、立ち位置の差は更に大きくなっていると言えるかもしれません。30年前のアメリカ企業に向けて発信した“処方”が、勿論現在のアメリカ企業に向けても生きていますが、追いかける立場になった日本企業の企業経営論として有用であり、今も生きていると思います。

 ページの関係もあり多くは紹介しませんが、これからの第4次産業革命時代にこそ必要な、大切な企業経営管理の提言と思われる一部をご紹介します。

【専門化してニッチ市場を創出し製品を差別化せよ-処方1-】

 これは「競争戦略ポジショニング(ポーターの3つの基本戦略)」と同じこと表題にしています。しかし違いは、具体的成功事例を多く挙げ、そこから成功するための「革命」的な新たな企業経営戦略の実践の提言に多くのページを割いていることでしょう。“-処方1-”は“処方45”の一部ですが、本書には、この様な、「革命」的な企業経営の原則・基本が多く書かれています。時代・企業環境が変わっても大切にすべき原則・基本は、まさに「ハンドブック」として座右に置いておきたいですね。

【掛け値なしの誠実さを求めよ-処方45-】

 著者は“誠実さ”を当たり前のことと言い、最後を締めくくります。「専門化してニッチ市場を創出し製品を差別化せよ-処方1-」の目標を実現するものが、「現場の尊重・重視」と、それとセットになった「トップの“現場を巻き込んだ”独創的、自己革新的な『ビジョン』と『全員の情熱的行動』」が必要と“処方2~44”で主張します。

 それらを機能させるために、下請け、顧客を含めた全体の相互的“信頼・誠実さ”を生み出す必要がある。その“信頼・誠実さ”がお互いをWIN-WINの関係にし、成功企業に導くと主張します。

 

■      今こそ「経営革命(Thriving on Chaos-カオスの中で成長する‐)」(むすび)

 繰り返しになりますが、第4次産業革命と叫(さけ)ばれている時代に、新しいデジタル革命や、新しい企業環境に目を奪われてしまい、企業経営管理の原則・基本から目が離れがちです。

 今まで築き上げて来た「企業価値」を守り、更に高めていく事と並行して、新しい企業環境(デジタル革命など)に対応する必要があるのではないでしょうか。

 そのような想いで「経営革命」をご紹介させていただきました。紹介本には「革命」の題にふさわしく、“これは是非やってみよう”というものもあれば、“ここまでやるか!”というものもありますが、飽くまでも“ヒント”としてそれぞれの企業に“相応しい形・レベル”で取り入れていくことで、有効に活用できると思います。

 

【酒井 闊プロフィール

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

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