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パンナー師匠のスーパーヒーロー映画『マーキュリーマン』

2007年05月24日 | タイ映画

 トニー・ジャー主演作『マッハ!』や『トム・ヤム・クン!』、そして自身の監督作である『7人のマッハ!』で新しいアクション映画の“才能”として高い評価を受けている(私たちのようなボンクラ限定)パンナー・リットクライ。しかし、ここ最近のパンナー師匠関連作品はどうも「イマイチ」というか「一味足りない」というか何だか分からないけどそんな印象を受ける。パンナー師匠、一体どうしちゃったのよ?!(前回と同じ出だしでゴメンね)

 今回は本格的タイ製スーパーヒーロー映画として一部でその名を知られている『マーキュリーマン』(06)を紹介。『マッハ!』『トム・ヤム・クン!』の監督であるプラッチャヤー・ピンゲーオがプロデューサーで「主人公がムエタイを使うアクション映画シリーズ」の一環として製作された(このシリーズで女性がムエタイを駆使して悪と戦うという『チョコレート』はタイで今夏公開予定)もので、熱血漢の消防隊員が火災現場でテロリストに殺されたときに偶然犯人が使っていた謎の物質・レックライの力により鋼鉄の身体と磁力を操る力を得て、タイを守るマーキュリーマンとして憎きテロ組織と戦うという内容だ。この作品にはアクション指導としてパンナー師匠が参加しており、そのニュースと予告編を観てものすごく興奮していた。自分の脳内では早くも大傑作だったワケですな。しかし、VCDで完成された作品を観てみると…

 ガ~ン、何んじゃこりゃ?!

 メインの俳優さん・女優さんがアクション専門ではないので肝心の格闘シーンはダブルは使いまくり、細かいカットで編集されているので、スピード感あふれるといえば聞こえは良いが実際問題、目がチカチカするという有様。あれ?パンナー師匠こんなにアクション演出ヘタでしたっけ??

 トニー・ジャーといい、ダン・チューポンといった世界的評価の高い作品の主演俳優は元々はパンナー師匠の作品のスタントや絡み役で認められてきたアクションの達人で、彼らのポテンシャルの高い身体能力を撮る際、変に編集なんかで加工せずに固定(フィックス)で撮ったほうが観る側は素直に「凄い!」と感動できるのだが、実際アクション映画を製作する際、そんな都合のいい俳優さんばかりが集められるわけではない。だからこそ彼らを“動けるように見せる”ことの出来る“アクション監督”という役職があるのだが、今まで仲間内の俳優・スタントマンでアクション映画ばかり撮ってきたせいか、イマイチ上手くない。やはりこういった技術は長年の経験がある香港映画のほうが一枚上手のようだ。

                            

 あと、振付けるアクションの質の違いにも影響があるようで、思うに彼の作り出すアクションは危険度が高く、それでいて現実味がある(痛みが伝わる)アクションが真骨頂。この作品はスーパーヒーローが登場するという非現実的な内容で、マーキュリーマンの特殊能力はCGIで描かれており、あとすることといえば「どれだけヒーローをカッコよく振付けられるか?」なのだ。しかしパンナー師匠、こういった題材はあまり経験したことがなく(初挑戦だっだかも)全身タイツのヒーローに『マッハ!』ばりのムエタイアクションを振付けても、素顔と違ってキャラクターの感情が表現しづらいので、観ているこっちも感情移入しにくく何となく「一味足りない」と感じてしまったのかもしれない。これがチン・シウトン監督だったら文句なしにカッコいい画が撮れただろうに…

              

 それでもちゃんと各キャラクターごとに違う型のアクション(主人公:ムエタイ、女テロリスト:マーシャルアーツ、寺でレックライを護っている巫女?:中国武術風、等々)を振付けてあるのは見事だし、パンナー師匠の“名前”さえ意識しなければ十分に満足できるだけのレベルのアクションを楽しむ事が出来る。何よりもアジア発の(アメコミ風)スーパーヒーロー映画というだけで私なんかは興味がそそられて点数が甘くなってしまうのだ、これだけ不満点を挙げておきながら。

 もし、日本で劇場公開もしくはDVD販売されたときは、このタイテイストあふれたスーパーヒーロー・マーキュリーマンの活躍に声援の一つでもかけてやってください。ただし、『マッハ!』や『トム・ヤム・クン!』、それに『7人のマッハ!』を先に観てはダメだよ。それがボクとキミとの約束だ!(こればっか…)

              


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