森かずとしのワイワイ談話室

平和・人権・地球・子育て・教育・くらし・そしてまちを語る

ドイツ視察報告その10 ローザ・ルクセンブルク財団との意見交換3

2012-04-05 12:27:54 | 議員活動
 間隔があいてしまったが、ドイツ視察報告ローザ・ルクセンブルク財団との意見交換その3を掲載する。シュッツルンフ博士のレクチャーの続編から質疑だ。

【現代につながる過去の清算】
 東独出身の左翼は、スターリン主義の支配下にあって、歴史を見ないことを強制されてきた。だから、歴史が悪用されることに敏感になっている。歴史の事実を可能な限り正確に把握していくを重要視している。
 私たちは、テレビや新聞に自らの手段を持ってはいないが、1990年まで出版が許されなかった『アウシュビッツの歴史 囚人医師』を91年に我々が東西両地区において発刊した。ユダヤ人がユダヤ人を殺さねばならなかった事実を表したが、映画化に失敗して誰も観ることができない。これはドイツを理解するには最良の書物だ。では沈黙の期間とは何か。50年代から60年代は共産党員が再び収監された。そして70年代には西ドイツにおける反共主義によるレッドパージが行われた。
 スターリン主義が歴史教育を抑えてきたこと、政治に大きな影響を与えてきたことが私たち自身の能力、活動を制約し、すべての判断に悪い影響を及ぼしている。再度、過去を見直す必要がある。
 1990年代以降、ドイツの左翼にスターリン主義精算に関する書物が広く出版された。例えばスペイン戦争の精算だ。しかし、これも我々の力は失われてしまう。汚れた水を出し尽くし、新たな水を入れないといけない。現時点でも歴史の清算は終わってはいないのだ。

【質疑】
Q:映画『ホロコースト』を批判しているが、ナチスの戦争犯罪を世界に知らしめる大きな役割を果たしたものと思うが、どのような評価なのか。また、「記憶・責任・未来」基金はどうあるべきなのか。こう尋ねるのもドイツで行われてきた戦争を克服する営みに比較して、日本はもっとひどい状況にあるからだ。
A:『ホロコースト』を全否定するものではない。しかし、東独で制作された上質の映画を多く観てきた者からすると、物足りない内容だということだ。また、過去15年間にモニュメント、警告ができたが、残る課題を認識しておくことが必要だ。市民の意識の中にあるものつまり教育、例えば道路上に埋め込まれた標識は、人々に意識を喚起させる。7.20の暗殺事件では、下部の人々の話は出てこない。ヒトラーに対するレジスタンスを銘記しなければならない。これに財団は今後次なる役割を果たすことになるだろう。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。