森かずとしのワイワイ談話室

平和・人権・地球・子育て・教育・くらし・そしてまちを語る

市民協働の質を想う 世田谷のパートナーシップ

2012-11-16 23:53:02 | 議員活動
 昨夜東京から戻り、今日は輪島へ飛んだ。もちろん、総選挙対策だ。殺人的なスケジュールになっていく。今の内に世田谷を振り返っておきたい。

 南相馬市の桜井市長が『闘う市長』を出版したことを真似たわけではないと冗談を飛ばした保坂展人区長は、集英社新書で『闘う区長』を出版した。着任早々から、議会とのせめぎ合い、節電や電力料金値上げ問題を巡って東電とバトル。それは、新規参入電力会社からの買電へと突き進む。全国初の脱原発首長の誕生は、上原公子さんらと共に、全国脱原発首長会議へと発展を続けている。
 熱烈な応援の反面、手厳しい市民との丁々発止のボールの投げ合い。しかし、意見の違いは丁寧に傾聴し、合意形成には時間を厭わない。それでいて、発想はいつも斬新大胆で、決断は思い切りが良い。保坂さん曰く、「すべては、3.11から始まった。」
 そうなのだ、情報の歪曲統制と「安全神話」によって成り立つ上からの支配は、崩壊したはずだ。それに変わる人生の価値観と社会のしくみ・ルールを市民の側から創造しようとするのが、保坂流の市民主義、市民協働の真骨頂なのだ。同じ「市民協働」を謳っても、よくあるような装いに過ぎない「協働」騙りはポピュリズムの中にあふれかえっている。これに怒っている金沢市民も少なくない。聞く耳を持たないまま、漁具漁網を受け入れようとする市長もはき違えがあるのではないか。

 さて、世田谷の視察は予定通りだった。
 まずは、松原ふれあいの家。京王線明大前駅からほど近い住宅街松原地区に北沢地区社会福祉協議会が「ふれあいの家」を開設している。と言っても、施設管理と財政支援であって、事業の運営はご近所の女性たち有志がグループを作って回している。こうした地域支え合い活動は、ふれあい・いきいきサロン、子育てサロン、支え合いディからなっていて、23の地域拠点施設で700もの自主グループが運営主体になって動いている。私が訪れた昨日は、なでしこ会が運営し、昼食をつくり、語らう活動が「ミニディ」として行われていた。トイレットペーパー入れが貯金箱になっていたり、アクリルたわしづくりにもとりくんでいた。92才の女性は、近所に住まいし、夫に先立たれてからは、この集いに身を置いているだけで幸せになるとにこやかに語った。

 午後は、ユニークな「地域共生の家」。オーナー自身の意思で地域の公益的かつ非営利なまちづくり活動の場として、地域の絆を育み開放性のある活用がなされている私有の建物と説明されている。人々がつながる拠点を地域につくる事業だ。
 その中の「ルツの家」は同じ松原にあって、今年2月に他界した家主が子育てを応援する何かに役立てたいと一階部分を区に開放したことがきっかけだという。現在は、区のお出かけひろば事業として支援し、子育て支援グループ「amigo」が、運営している。ルールはほとんどない。利用する親子が自然に集い、友だちになる中で、自然にルールが生まれてくればいい。人が切り離された現代社会で子育てに孤独化し不安を抱える若い母親がママともを見いだせる。遊び盛りの未入園幼児が、目の届くところで夢中に鳴って遊ぶ。こんな空間が市民協働で確保されている。「地域共生の家」は一軒家、マンションの一室、改修した車庫、倉庫・・・と多様だ。なにより自由な発想が認められて、集う人々が生き生きと活動できているという。自ら子育て世代でもある「amigo」の代表石山恭子さんは、キラキラとした眼差しで、子どもひろば事業の意義と可能性について滔々と語ってくれた。上から指導するというのでなく、同じ目線で一緒に過ごし、そこから相談や経験交流されて、子育てに自信をつけていく。若い世代も自分を生かせる機会を見いだして、どんどん変わっていく。金沢でも子育て広場事業が官民で行われているが、保育とは違う価値観と理念を持つ広場事業の持ち味を生かし切れない状況が続いていると聞く。このまったりとした空間の感触に、本来の子育て広場の有り様を見る思いがした。

 昼食前に世田谷桜丘区民センターに立ち寄った。都市復興プログラム実践訓練。初めて見る名だ。大地震によって破壊されたまちをどう再建し、生活を復興させていくのか。これを区職員がチームをつくって模擬的計画をつくり、地区住民参加でプレゼンテーションをやって住民の意見を聴く。その実戦訓練の場を見せてもらった。これもユニークだ。金沢でも町会の自主防災委員が参加する災害頭上訓練が始まっているが、世田谷では、まちの復興ビジョンを住民参加で作り上げようとするとりくみにまで進んでいる。

 これらは、保坂区長以前からの市民参画のまちづくり施策だ。保坂区政とは、伝統ある世田谷の市民自治を土台に、よりラジカルな基礎自治体の主体性をもって、中央集権から地域主権へと踏み込んでいこうとしている。「地方政府」の姿を私は追い求めている。保坂区政にその糸口を幾つも見いだした思いだ。

 保坂区長、区長室の皆様、環境対策室の皆様、受け入れて下さった社会福祉協議会、なでしこ会、「amigo」の皆様に感謝の気持ちを申し上げたい。ありがとうございました。



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