PCに残っていたワープロ原稿から当時を振り返ります。
基本的には、釣り方は全く変わっていません。
ノウハウが詰まっています。
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梅雨空けが近づくと、今年の夏はどうだろうかと夏休みの天気が気になりだすのがボート釣り師です。
しかし今年は5月に台風がやってきて、暑い夏を予想していたのが外れ、6月の冷たい雨が上がらず7月の後半でも梅雨明け宣言がならずの10年ぶりの異常気象に見舞われました。
気になる海の状況はと言うと今年はアコウの当たり年のようで、春先からキビナゴに食いついて来るのも40cm以上の大型釣れ、小アジが釣れだす6月に入ると50cm代が数釣れると言った近年に無い嬉しい情報がホームページの掲示板でも聞かれるようになりました。
今年は飲ませ釣りでこの恩恵に授かったボート釣り師も数が多かったように思います。
飲ませ釣りと言えば、ミニボート釣りの代表的な釣り方で、生きた小アジを餌に小さな根を魚探頼りにコツコツと根の魚を誘い出す釣り方です。
たまに青物や得体の知れないモンスターが5号のハリスをぶっち切ってゆくので、大物と出会うチャンスの大きい釣り方で人気があります。
ミニボート釣りの特権と言えば、この飲ませ釣りと最近我々の仲間で流行っているのが完全フカセの釣りです。
完全フカセと言えば今までは遊漁船での特権だと思っておりました。事実、はるか沖の何とかグリとかミニボートでは行けないポイントでの情報が殆どです。
また遊漁船でもスタン側の二人ぐらいしか糸が出せなく、一人に青物がかかれば、おまつり防止でもう一人は仕掛を上げなくてはなりません。
一人気ままのミニボートでは一本の竿で思う存分釣りが出来る特権があります。
そして問題のポイントも、水深40m前後の瀬を探せばあとは撒き餌で魚を寄せれば良いと言うことが分かり、あとは実戦のみと言う事になりました。
それでは私の完全フカセ釣りを紹介します。
まず私の道具ですが、竿は磯竿の遠投用4号5.3mと中型電動リールに船フカセ用フロロカーボン6号を300m巻いております。
道具立ては皆好きずきがあるので、色分けしたナイロンの道糸をスピニングリールに巻いてやっている人もいれば、竿も長めの船竿を使っている人もあります。
ハリスと道糸はサルカンで繋いだり、これも直結する人もあればバラエテイに富んでます。
潮の流れによっては水中浮きを使って調整する人もいれば、糸の送り方で調整したりで、皆色々自分の経験で糸の送り方を調整しています。
中には船釣り用のPEの糸に水中浮きで代用している人もいるようですが、PEはペタペタ竿に引っ付くので厄介です。
また撒き餌の方法も、潮が速かったら撒く間隔を速くし、また潮が緩かったら巻く間隔を遅くしたりで調整し、大体一回の釣行でに3kgのオキアミを3枚くらい使います。
撒き餌のタイミングと魚を寄せる勘は、昔磯釣りをやっていた経験が役に立ちました。
今年は日本海の鯛のノッコミの時期に仕事で行く事が出来ず、人の釣果を羨ましく見ていた日々が多かったのですが、次にノッコミで来るイサギ狙いで7月22日、日本海を目指しました。
狙いは丹後半島の経ヶ岬沖ですが、ミニボートで行くには細心の注意が必要です。
もろ外洋となるため、天気予報と睨めっこで海峡が50cm波高の時を狙います。
しかし天気と仕事の休みとがなかなか同調してくれなくて、狙い通りの日に行けず中止も多いのがミニボート釣りの宿命です。
仕事から帰りボートを積み込んだのは夜9時でした。
これから餌屋でオキアミ3kgを3枚買い遠路丹後半島を目指します。夜中12時半に現場に到着しボートを組み立て仮眠をします。
ゴム棒や、スパンカや魚探のバッテリーやらで年々ボートの装備がかさむので、ボートの組み立ても一苦労です。
ボートを組上げた所で仮眠をし夜明けを待つ事にしました。夜が明けると駐車場の集金の叔父さんに1000円を支払い5km先のポイント目指してボートを進水させます。
港を出た所で飲ませ釣り用の小アジの確保からします。
テトラの周りを魚探で魚影を追いかけながら探りを入れます。
小アジ釣りは簡単に釣れる時と、なかなか釣れずに貴重な朝の時間をつぶす時があります。
この日はアジが釣れてもタタキサイズで、餌になるのがなかなか来なかったので苦労しました。
生け簀に30匹ばかり確保した所で沖のポイントを目指しました。
7月も後半だと言うのに梅雨空で曇りの中、ベタ凪ぎの海上を気持ちよく滑走して行きます。
20分ほどで現場に着きGPSと魚探頼りに瀬の確認をします。
魚が付いていそうな瀬を見つけると、風の方向と潮の流れを考え潮上に150m位上りアンカーを入れます。
完全フカセの場合、このアンカー入れで殆ど釣果が決まると言っていいほど大事な作業です。
磯場用アンカーを放り込み、ロープを水深の倍近く出します。
ボートが固定されたのを確認して、オキアミの撒き餌開始です。磯釣り同様、まず撒き餌から行います。
ぱらぱらとヒシャクで撒き餌をしながら、潮の流れ方を考え糸の出し方を推理して行き、時々GPSでボートが走錨してないか確認します。
有る程度撒き餌が効いてきた時点で仕掛を放り込みます。
今日は青物対策で、ハリス5号、チヌ針6号の2本仕掛です。
電動リールのスプールを倒しフリーにして初めは手で送り出してやります。
私が使っている電動リールは少し前のタイプで、モーター部とスプールが完全に切り離される為完全にフリーになります。
最近の小型の電動リールの中には、スプール自体がモーターの一部となり電気的にフリーになるタイプがあるので、これはバックラッシュが起こるためフカセ釣りには適しません。
ハリスを海水になじませ、リールから道糸を引き出し潮の流れに乗せて送り出します。
撒き餌も絶え間なく撒いて行きます。カウンターを見ながら20mも出せばあとは自動的に糸が出てゆきます。
この間に胴付きの飲ませの仕掛けを用意し置き竿でボートの真下を狙います。
一端根にかかると糸を切るのに苦労するので、時々電動リールのカウンターを確認し糸を出し過ぎて根掛かりの無いように注意します。
今日は潮が速いため水深50mに対し4倍の200m位が限界とにらみました。
その確認をするには何メーター糸を出した所まで刺餌が残っているかが目安となります。
150m出した時点で一旦リールを巻きます。
電動で1分200mのスピードで巻けるので手返しは抜群です。
刺餌の状態を確認すればまだ餌が残っています。
この間にまたポロポロと撒き餌をします。次は180m糸が出たあたりで巻き上げる事にします。
ジージーと巻き上げるのですが、堅めの磯竿なので難なく巻き上げてきます。
刺餌を確認したらやっと餌取りの登場です。
また撒き餌をやりながら、撒き餌の煙幕に隠れるような感じで刺餌を流します。
200mから220mと限界近くを何回の流しますが、すれ針に付いてきたのは磯ベラでした。
1時間くらい流しても磯ベラらしきアタリしか無いのと、流れが速いのでアンカーを上げ少し岸よりに戻る事にしました。
撒き餌にちょうどブロック1枚半使ってしまったので、場所替えは坊主覚悟となります。
それだけ餌の切れ目が縁の切れ目の釣り方です。
500mほど岸に寄れば水深40mで、潮の流れも先ほどではありません。
スローで走りながら魚探で海底を探ると35m位の駆け上がりを見つけました。
ここにGPSのマークを入れ150m位潮上に上がります。
また最初から撒餌の開始です。
パラパラとオキアミを撒くと先ほどよりはかなり潮の流れがゆっくり流れています。
糸を出しては巻くの繰り返しを1時間位繰り返したでしょうか。
リールからシューと勢いよく糸が出てゆきました。
これが待望の完全フカセのアタリです。
ゆっくり竿を立てリールを巻けばグングンと魚が引いて来ます。
最初にアタリが出たのは80m位糸が出た所でした。
ボート近くまで巻けば35cm以上のイサギがダブルで釣れていました。
餌を切らさ無いように手返しよく撒餌を続けます。
初めのロスで餌が残り少なくなって来たので、小アジを釣った網エビをミックスしました。
こんどは100m位糸が出た所でシューと糸が出て行きました。
完全フカセには型揃いのイサギばかりで今度は40cm近くありました。
撒き餌が良く効いてきたのか入れ食い状態になり、クーラが一片に満タンになりました。
片手間の飲ませの置き竿にもアコウやマトウダイが遊んでくれました。
残り少ない餌で、これで最後やと流した仕掛が今までに無い早さで糸が出て行きました。
ゆっくり竿を立てればグングンと重量感のある引きです。
鯛なら50cmはあるなと思いつつ、満月状態の磯竿で潮に逆らって巻くスリルは何とも言えません。
近くまで巻けば何だか黒い魚体なので、ナンヤチヌかと思ってタモを用意すれば45cmの大きなイサギでした。
餌さえまだ有れば、まだまだ釣れそうな雰囲気でしたが此にて終わりで後ろ髪を引かれる思いで納竿となりました。
この完全フカセに病みつきになり次は7月31日に行ったのですが、天気にまんまと振られ退散で、リベンジは8月4日の越前にと持ち越されました。
この日は本誌でお馴染みの長栄さんと一緒で、彼は長いボートを有効に使った流し釣りで、私は初めから完全フカセをするつもりで道具立てして来ました。
港を出ればやはり保険の小アジを30匹ほどキープしました。
やはり今年は小アジの成長が早いのか、時には30cm位のやつがハリスを切って行きます。
長栄さんと携帯の番号を確認した後、思い思いのポイントにすっ飛んで行きました。
やはりミニボートでは一人気ままな釣りがストレスが無く良い物です。
私はチョットだけ岩場で飲ませをやって見ましたが、越前サイズが入れ食いになるのでリリースし、完全フカセのポイントを探る事にしました。
越前岬から沖は急に深くなっており水深50mから150mに落ちるのに500m位の距離です。
しかし深い所は一発大物が来る面白さはあるのですが、流し釣りで80号でも底が取れない位潮が速いので釣りになりません。
魚探を見ながら30m前後の駆け上がりを探しアンカーを入れます。底は固い岩盤らしく走錨で苦労させられました。
やっとボートが固定出来たと思ったら、岬の影響で潮が反転しているらしく、撒き餌の落ちて行く方向がボートの向きと反対を流れます。
しかた無いのでまたアンカーをあげ50mラインまで沖に移動しアンカーの入れ直しです。
完全フカセは撒き餌と、刺餌が同調して初めて釣りになるので、慎重にならざるおえません。
今度はパラパラと撒いた撒き餌がゆっくりながら、東に流れて行きます。
30分位撒き餌をしながら仕掛を作り釣り開始です。
潮が遅いので30m位は手で出してやります。
後はボートの揺れがトリガになりゆっくりと糸が出て行きました。
60m出た所でシューと糸が出て行きます。
ゆっくり竿を起こし手巻きで道糸をたぐり寄せれば35cm前後の真鯛が来ました。
潮が遅いので一流し10分以上かかるのですが、ダブルで何回か掛かって来だし、食い逃げ無しの入れ食いになりました。
捨て竿の胴つき飲ませの仕掛にも、30弱のメバルが掛かったり忙しい釣りです。
携帯で長栄さんに連絡を入れれば、飲ませ釣りは小型ばかりやとの情報なので、撒き餌が効きだしたのでこっちで流し釣りをしたらと誘いました。
相変わらず潮が遅いので手返しが悪いのですが、鯛の魚影は濃いらしく順調に釣れます。
撒き餌をしながらシューのアタリを待つだけなので、ビール片手にらくちん釣法です。
チダイは底で真鯛はその上で言われるように、先に釣れて来るのは殆ど真鯛です。
2枚半の撒き餌を使い切った頃、シューと今まで以上の早さで糸が出て行きました。
バックラッシュをさせないように、スプールに指をあてブレーキをかけます。
ゆっくり竿を起こせば、グーと竿が満月になり穂先が海面に突っ込んで行きます。
重量感からして青物では無く鯛なら確実に50cm以上はありそうです。
撒き餌で魚も大分浮いて来ているらしく40m糸が出た辺りでアタリが出ました。
慎重に手巻きでたぐり寄せると、タモに無事収まったのは待望の60cm真鯛です。
これで遠い所まで来た甲斐があったという物で、記念写真をパチリと撮り釣りを再開します。
次にシャーと糸を出してくれたのは40cm代の真鯛でした。
前半の時間のロスで撒き餌の消耗が激しく、この後1匹を追加した時点で餌切れ納竿となりました。
長栄さんに携帯で釣果報告をすると、彼も35cm前後の真鯛、チダイを数釣ったそうで満足そうです。
彼のゴムボートはキールがしっかりして、ボート長もあり、スタイルを見ても流し釣りにピッタリのボートです。
泉南の速い潮の中でオオアジをバンバン狙えるのも良く分かりました。
完全フカセの釣りはまだまだ奥が深くマニアックであり、仕掛と撒き餌が同調すれば大物と出会えるチャンスがある理にかなった釣り方でもあります。
魚探で小さな瀬を見つけ、GPSで推理しながら駆け上がりにアンカーさえ入れる事が出来れば、半分は成功した見たいな釣り方です。
しかし餌取りが多かったり、シイラが湧いて来たりして釣りにならず坊主を喰らうリスクもあります。
完全フカセで一匹釣れれば目から鱗で、病みつきになる事間違い無しです。
簡単な道具立てから入門して行き、是非皆さんも一度やって大物をゲットして下さい。
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昔はボート免許で飲酒の事項が無かったですが、夜間の飲酒の防波堤に激突する死亡事故が多くなり、今は飲酒運転禁止です。
丹後半島もこのころからトレーラーが流行り出し、狭い漁港の民家の壁を擦ったやら、トラブルが多くなり始めた頃でした。
ある漁港は岸壁からのヒッチクレーンが禁止になったので、私は数年前からこの地方には行っていません。
漁港の入口で立ち入り禁止の看板が立って、悲しくなります。
当時の田原社長のスタイル、多分SS使用時はゴム棒以外は殆ど変わらぬかと思います。
残念ながら、現在では出船場所は狭き門となっていますので、漁協等で確認して下さい。