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上級韓国語 - ちょんげぐりの世界

韓国語の勉強もそろそろビジネスクラスへ乗り換えましょう。上級韓国語をめざして,古狸案先生の授業は随時更新中です。

一片の赤い心

2010-03-12 | 動詞
心の熱さを表す言い回しに한 조각 붉은 마음というのがあります。

일편단심〈一片丹心〉というのも同じ意味です。
これは「一片の赤い心」つまり,相手に対する一途な思いのことです。

チョーヨンピル(조용필)の歌に일판단심 민들레というのがあります。
私の好きな歌のひとつです。민들레というのはタンポポのことです。

님주신 밤에 씨뿌렸네
사랑의 물로 꽃을 피웠네
처음 만나 맺은 마음 일편단심 민들레야…

というちょっと意味深長な歌詞です。
ここでも歌われているのは일편단심,変わらぬ愛です。

ちょっとここで脱線しますが,色の話の最後にこんな話をしましょう。
みなさんは時調[시조]という定型詩歌をご存じですか。
日本の俳句のような短い形の歌です。
時調は今から約600年余前に,新羅の時代に全盛を誇った郷歌[향가]がすたれ,新羅に取って代わった高麗時代の末期から朝鮮時代にかけて,社会の支配的地位にあった両班[양반]たちによって始められた詩歌で,当時は相当はやっていたそうです。

この時調というのは時節歌調[시절가조]の略語で, 初章[초장],中章[중장],終章[종장]の3つの章からなる,主に君臣間の忠義,社会への批判・風刺,教訓的な内容などを歌った歌です。
시조 한 수를 읊다(時調を1編詠ずる)といいます。
この時調の中でも有名なものがあるので,ちょっとご紹介しましょう。
それが先ほどの단심가〈丹心歌〉です。

みなさんは朝鮮の太祖[태조]・李成桂[이성계]を知っていますか。
1392年に朝鮮王朝[조선왕조]の初代の王様になった高麗の武将です。

この李成桂が政権を掌握しようと1388年にクーデターを起こし,新しい王朝を立てようと企てた時,それまで彼を支えていた高麗の忠誠な臣下である大学者の鄭夢周[정몽주]が,果たして自分に付いてきてくれるか,李成桂の子である李芳遠[이방원](のちの太宗)をして,その心を試したことがありました。そして酒席で時調を歌いながら,お互いの心境を確認するのです。

まず李芳遠が即座に作った何如歌[하여가]という時調を歌い,鄭夢周が自分たちと意気投合できるかを聞きます。

そのときにこの鄭夢周は,昔の王朝に일편단심〈一片丹心〉を誓い,高麗を裏切らないで忠誠をつくすという一途な思いを丹心歌[단심가]という歌に歌い上げました。

こうして鄭夢周は朝鮮王朝を開こうとする李成桂と対立したため,李芳遠の手により暗殺されてしまったのです。
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