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上級韓国語 - ちょんげぐりの世界

韓国語の勉強もそろそろビジネスクラスへ乗り換えましょう。上級韓国語をめざして,古狸案先生の授業は随時更新中です。

을씨년스럽다の語源は?(おもしろ語彙の世界)

2025-03-02 | 語源
韓国の,たいていの国語の参考書にはこの을씨년스럽다の語源について書いてある。この을씨년스럽다という,あまり聞き慣れない単語の意味は何だろうか。例文を見てみよう。

①오늘 날씨가 을씨년스러워서 외출하고 싶은 마음이 들지 않는다.
〔今日は肌寒いので,外出する気が起きない〕

②폐허가 된 집은 을씨년스러움이 감도는 분위기를 자아낸다.
〔廃墟となった家は不気味な雰囲気を醸し出している〕

③그 영화는 을씨년스러운 배경음악이 인상 깊었다.
〔その映画はおどろおどろしいBGMが印象深かった〕

④오래된 산책로는 을씨년스러워서 밤에 혼자 걷기 무서울 것 같다.
〔古い遊歩道は陰鬱で,夜に一人で歩くのは怖いと思う〕

을씨년스럽다は,「陰鬱だ」「肌寒い」「不気味だ」「鬱蒼としている」という意味の形容詞だが,このことばは을사년(乙巳年)に由来するといわれている。을사년が을씨년と変化して今の形の을씨년스럽다になった。

1905年に日本が韓国を保護国とする을사보호조약(乙巳保護条約)が締結され,この条約により,韓国は外交権や関税自主権を失い,事実上日本の植民地となった。을この悲惨な出来事から,「을씨년스럽다」は「陰鬱だ」「荒涼として寂しい」「不気味だ」「鬱蒼としている」などの意味を持つ形容詞として使われるようになったといわれる。北朝鮮では「ぞっとするほど嫌いだったり,非常にうんざりするようなところがある」という意味でも使われることがある。
2025年3月2日 改訂

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三千浦に抜けてしまう!

2010-03-29 | 語源
この写真は去年の夏に釜山の해운대〈海雲臺〉海水浴場に行ったとき撮ったものです。해운대といえば大ヒットした「津波」映画の題名でもありますが,みなさんはもうご覧になりましたか。

さて,この韓国の南の端,慶尚道は慶州と尚州の頭文字を取って付けた名前です。慶尚道はまたの名を「嶺南」地方と言いますが,これは조령〈鳥嶺〉と죽령〈竹嶺〉の南を意味します。

慶尚道の四文字キャッチフレーズは태산교악〈泰山喬嶽〉です。高い山脈のようにどっしりと落ち着いてみえるという意味ですね。よく慶尚道人は自尊心が強く,物事に動じないで果敢に行動するといわれています。남남북녀〈南男北女〉といいますが,慶尚道の男性は人気がありますね。

慶尚道といえば,韓国の人であればだれでもが知っている慶尚道の地名が入った言い回しがあります。

話が脱線してしまったり,物事が順調に運んでいる途中で変な方向に行ってしまうことを잘 나가다가 삼천포로 빠진다,つまり「うまく行っているのに三千浦に抜ける"と言う表現をします。

三千浦は慶尚南道[경상남도]南海岸の景勝地・閑麗水道[한려수도]のほぼ中央に位置する漁港として知られ,釜山と麗水[여수]を結ぶ水中翼船も入港し,海釣り目的の釣り客や観光客が多く訪れるところです。

この言葉の由来に関しては,朝鮮末期に高城[고성]に住んでいた人が,晋州[진주]の親戚に行く途中で道を間違えて,途中の三叉路で三千浦方向に行ってしまったとか,1965年12月に開通した釜山 - 晋州を結ぶ気動車3両のうち最後の1両が晋州の手前で別れて三千浦に行くのを間違えて乗ったしまい,目的地と違った三千浦に行ってしまったとか諸説さまざまです。

良くない結末や,試行錯誤した結果,うまくいかないなどのあまりいい意味を持たないことに比喩されるこの잘 나가다가 삼천포로 빠진다という表現は,三千浦地域の住民たちにあまりよくは響かなかったようです。

しかし三千浦に行く鉄道・晋三線[진삼선]はすでに廃止されて現在は残っていません。この三千浦市という地名も1995年に周辺の町との合併により消え,現在は泗川市[사천시]になってしまいました。

合併の一番の問題は新しい行政区域の名称です。日本でも「平成の大合併」で由緒ある地名がたくさん消えていきました。合併前の名前を残すのかどうかで,合併がご破算になるケースや,奇妙な名前の市が誕生したり,日本でも地図がかなり塗り替えられてしまいました。

「市の合併」のことは韓国語では통합〈統合〉という言葉を使っています。この慶尚南道では창원〈昌原〉,마산〈馬山〉,진해〈鎭海〉の3市が통합を予定しています。そしてこのほど新しい市の名前は창원に決まったそうです。

しかし一方では京畿道の성남〈城南〉,광주〈廣州〉,하남〈河南〉の3市のように,合併後の名称問題でああでもない,こうでもないともめたところがあります。

今年の7月に合併を予定している3市は,李氏朝鮮時代に漢城政府に従属していた都市であったため,住民のアンケートでも40%以上の人が한성〈漢城〉を希望したのですが,この名前についてソウル市から「待った!」がかかったのです。

3市が合併すれば面積は首都であるソウル特別市を超え,また人口は韓国で5番目の134万人の大都市になります。

ソウルはご存じのように漢字表記がありません。しかし中国ではソウルのことを勝手に「漢城」と表記してきました。このためソウル市では2005年に中国語圏の人向けにソウルの漢字表記を「首爾」とすると決定し,広報活動をしてきました。

ですから今度生まれる新しい市の名前を한성〈漢城〉とすると,中国語圏を中心に国際的な混乱を招く可能性があるとして反対の声をあげたのです。

そして,議論の末,結局は3つの市の頭文字を取って성광하〈城廣河〉という奇妙な名前に決まったそうです。


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もう少し肉の話を…

2010-02-11 | 語源
もう少し肉の話を続けましょう。

イノシシは韓国語では「山ブタ」ですね。
멧돼지と言います。
山の古語である뫼と돼지が合わさって멧돼지になったのですね。

日本ではまたの名を「山鯨」と言うんですが,知っていましたか。
これは肉が一般的には禁止されていた時代に隠語として使われたんですね。
つまり山の鯨だから肉ではないという論理なんですよ。

ウサギを1羽,2羽と数えていたのも,耳を羽に見立てて「これは鳥ですよ,動物ではないよ」ということの名残です。

きょうは「肉」にまつわる笑い話をご披露しましょう。
これはかなり昔にはやったナンセンスユーモア・식인종シリーズの中の一つです

식인종が何か分からない方は,辞書を引いてください。

식인종 가족이 남자 시체 하나를 얻었다.
몸통은 할아버지, 다리는 아빠, 팔은 엄마 먹고, 가운데 물건은 아이에게 주었다.
아이가 자기 것을 제일 적다고 투덜거렸다.
엄마가 하는 말, “얘! 그건 주물러서 먹는 거야.”
“….”
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かわいそうな魚「トルムク」

2010-01-29 | 語源
初級文法の話は一段落しました。
また後で中級文法についてお話ししますが,今日からしばらくはリラックスして語源の話をしましょう。

まず初めは魚にまつわる語源の話です。

みなさん「トルムク」という魚を知っていますか?
도루묵と書きます。

李朝時代の1636年,中国・清の軍が朝鮮に侵略した丙子胡乱[병자호란]のとき,清の軍隊に囲まれた時の王である仁祖[인조]は,ソウルの南にある南漢山城に避難して毎日を過ごすことになりました。

ある日の朝食に家来が不思議な魚を差し上げると,王様は「ムッチャうまい魚だな,この魚の名前は何かな?」とお聞きになりました。

聞かれた臣下は,当時その魚が묵と呼ばれていたので「ムクと言います」と答えました。

王様は「ムクねえ,あまりいい名前じゃないなぁ。こんなにうまくて形もいい魚をムクとはね。きょうからこれを銀魚[은어]と呼びなさい」と臣下に命令しました。

銀白色の腹を持つ魚だったのでそう名付けられたのです。このようにして王様の意によって묵という名前の魚は,違う名前に変えられてしまいました。

やがて清の国との和解によって丙子胡乱は終わり,再びお城に帰ってきて国事を司るようになった王様は,ある日,急に避難地の南漢山城で食べたその魚の味を思い出したのです。そして例の은어を出すようにと命令したのです。

しかし王様の命で食卓に出されたその은어が避難地で食べたその味と全然違う味だったのです。

こういうことってよくあることですよね。
昔食べた味というのは,そのころの環境とか,そんなものに左右されて美化されやすいんです。
この王様の宮廷の豪華な食事に慣れた舌は,避難先の貧しい食卓の中で食べた味を忘れさせてしまったんですね。

「これが,本当にその은어という魚だな」
「はい,間違いございません」
「前に은어と言った,その魚に違いないかな」
「はい,確かにそうでございます」
「しかし,どうして,こんなにまずいのかな。前に山城で食べたあの味とは全然違う」…

そんなやりとりのあげく,王様は「それにしても은어という名前は,味から見ても適当ではない。元の名前の묵という名前に戻しなさい」とまたまた命じました。

こうしてこの魚は「元のムク」と言う意味の도로묵と呼ばれるようになりました。
今では도루묵という名前で標準語になっています。

この도루묵は日本語では秋田特産のしょっつるという魚醤油の原料にもなっているハタハタです。
全長約25センチで,背は黄褐色で黒褐色の斑紋があり,腹は銀白色をしています。
昔は大衆魚でしたが,最近は漁獲高が減っています。

そしてもう一つ,この話の中に登場した은어は今でいうアユです。

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03 チョンゲグリ

2009-01-10 | 語源
あるところに子供とお母さんガエルが住んでいました。
子供の青ガエルは,どういうわけかひねくれていて,お母さんの心が休まる日は一日もありませんでした。
お母さんが「こっちに来なさい!」というと,あっちに行き,「あっちの草地には天敵が多いから,向こうの山に言って遊びなさい!」というと,子供はわざわざ草地に行って遊びました。
お母さんが「ゲロゲロ」と鳴きなさい,というと「ロゲロゲ」と鳴きました。
子供の青ガエルのせいで,いつもお母さんカエルはため息ばかりついていました。
そして心労が重なり,お母さんガエルはとうとう病気にかかってしまいました。
お母さんガエルは,「私が死んだときは,川のふちに埋めておくれ。山に埋めてはいけないよ」と言いました。
お母さんガエルは,子供は必ず言ったことの反対をするから,山に埋めるなと言っておけば,山に埋めると思ったからです。
それからまもなくして,お母さんガエルは死んでしまいました。
いつも言うことを聞かないで,反対のことばかりしていた子供の青ガエルは悔やみました。
そしてお母さんの言いつけどおり,お母さんの亡きがらを「川のふち」に埋めました。
それからというもの,青ガエルは雨が降るたびに,おかあさんの墓が川に流されはしないかと心配ばかりして「ゲロゲロ」と鳴いていました。

청개구리

この話から,日本で言う「天の邪鬼」のことを청개구리と言うそうだ。
そういう私もかなり,天の邪鬼である。
どうしても人がおもしろいと思うことに対して,斜めに構えてしまったり,コンピュータにいたっては,Windowsマシンを持っているにもかかわらず,Macintoshから離れることができない。

皆が持っている携帯電話は「天の邪鬼精神に反する」という理由から,いまだにPHSを使っている。

先生が,「一日中,韓国語を勉強していておもしろいですか?」と質問したので,おもしろいと答えた…なんてことはない。
私は人がつまらないと思うものを「おもしろい」と感じてしまう청개구리なだけである。
とはいっても,やはり,韓国語の勉強は楽しいし,おもしろい!。


*古狸案先生の「役に立たないはずがない韓国語」から。(みなもとせいいち)

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