あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」を見て

2012-10-12 09:42:14 | Weblog

闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.328

 
大島渚はどうもホモセクシャルに敏感に反応する人であるらしく、この作品でもデビッド・ボウイの妖艶さに一目惚れした坂本龍一の心情の揺れが、その後の彼らの運命に大きな影響を与えている。

タケシは、個人としては善良そのものだが、上意下達の軍隊組織ではジュネーブ協定などはどこ吹く風、命令通りに英国空軍捕虜たちを遠慮なく痛めつける帝国陸軍の鬼軍曹をものの見事に演じている。

しかし物語の中心に居るのはあたかも日英双方の文化や慣習の中庸を模索するような役割を与えられている通訳中佐役のトム・コンティで、彼がキャメラの中軸にいるからこそ、戦場における逸脱と狂気が相対化されるのである。

デビッド・ボウイの少年時代の苦い思い出が哀しい旋律とともに心に残る。



けふこそはクライアントの電話あらんか手ぐすね引いて朝から待ちおり 蝶人

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