片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

時代に合った雇用制度で日本を元気に!

2014-05-29 15:55:13 | 社会・経済

政府は産業競争力会議において、労働時間の規制を外す方針を決めました。
時代は、どんどん変化しています。労働法制も変わるのが当然だと思います。
サラリーマンの働き方を、変えるべきときにきていると思います。

日本は、少子高齢化のもと、労働人口の減少が大きな課題といえます。
その対策として、ホワイトカラーの生産性向上、
女性の活用、働き方の多様化などが求められています。

具体的に見てみましょう。
現在、管理職以外の一般社員は、一日8時間以上働くと、
残業代が支給されます。しかし、この制度では、
残業時間が長いほど、給料が増えることになる。
つまり、簡単な仕事でも、だらだらと時間をかけてする人のほうが、
効率よく短時間で片付ける人よりも、たくさん給料をもらえるというわけです。

これでは、生産性はあがりません。
実際、日本の労働生産性は、OECD加盟34カ国中21位です。
長時間労働が当たり前の職場では、女性の活用も進展しませんよね。
誤解を恐れずにいえば、現行の制度は、
男性中心で、長く働くほど大量に商品を生産できるという、
製造業の、それも、大量生産大量消費時代の制度です。

つまり、労働を「時間」で評価するのは、現状に即していません。
新しいものを生み出したり、デザインしたりする仕事は、
長時間働けば、必ずいいアイデアが生まれるわけではありません。
また、ファンドマネジャーや経済アナリストなど専門職は、
「時間」での評価になじみません。

「時間」に対して対価が支払われる制度では、
高い能力をもつ人たちを、正当に評価することができませんね。
サービス産業で働く人口が増えている今日、
現行の制度は、古いといっていいでしょう。

今回、そうした専門職について、
週40時間が基本の労働時間の規制を外したうえ、
「時間」の代わりに、「成果」に対して給与を払うとした、
「ホワイトカラー・エグゼンプション」が検討されています。

では、「ホワイトカラー・エグゼンプション」を導入すれば、どうなるか。
かりに労働時間が長くなっても、残業代は支払われません。
しかし、求められている成果を出せば、1日8時間も働かなくていい。
忙しい時期は、思う存分に働いて、
忙しくない時期は、休みをとったり、短時間で切り上げたりできる。
働き方をフレキシブルにでき、
モチベーションを高める効果があると指摘されています。
その通りだろうと思います。

「ホワイトカラー・エグゼンプション」には、反対の声もあります。
反対派は、残業代を払う必要がなくなれば、企業は労働者を際限なく働かせ、
弱い立場にある労働者が、長時間労働を強いられると主張します。
厚生労働省も、規制緩和について慎重な意見のようです。

しかし、現状維持では、何も解決しません。
日本のサラリーマンは、世界的に見て、
なぜ、長時間労働を強いられているのか。
「時間」にしばられているのではないか。
ダラダラ残業し、「時間」稼ぎをする人がトクをするような制度では、
サラリーマンは長時間労働から解放されないばかりか、
日本企業は、グローバル経済のなかで生き残っていけないでしょう。

この際、「ホワイトカラー・エグゼンプション」だけではなく、
裁量労働制の積極的な導入や、成果給、能力主義、実力主義の考え方など、
さまざまな雇用制度、給与体系、評価基準なども検討されるべきです。
何も、アメリカ型成果主義的制度を導入しろといっているのではありません。
日本に即した制度設計を考えたらいいと思うのです。

そして、新しいサラリーマンの働き方、
ライフスタイルを確立すべきではないでしょうか。
日本が元気を取り戻すには、時代に合った働き方ができる制度を模索して、
この際、新しい社会をつくりあげていく必要があると思います。