日産と三菱自動車の共同出資の企画開発会社のNMKVの続きです。
まず、日産サイドから見てみましょう。
日産は、以前からスズキや三菱自動車から、
軽自動車をOEM調達していました。
事実、日産の軽のシェアは、12年度に7.7%と、
それなりの存在感をもっていました。
しかし、OEMで調達し、バッジだけ「NISSAN」として販売する車には、
当然ながら、日産のアイデンティティはありません。
これは、OEMの限界です。
日産車は、並べてみればわかる通り、顔つきやボディラインに
どことなく共通点がありますが、OEM調達の車にはそれがありません。
今回、日産は、軽自動車の企画、開発に初めて携わり、
日産らしい、アイデンティティを備えたデザインの軽をつくりました。
これで、日産ファンのお客さんに、日産らしい軽を提供することができるわけです。
また、OEMでは、供給のフレキシビリティがありませんでしたが、
NMKVによって、それも解消します。
生産に関していえば、OEM同様、三菱自動車の水島工場で生産することで、
自前でつくるよりも安く生産でき、しかも生産設備をもつリスクがありません。
つまり、設備投資をしなくて済む。
これらは、日産にとっての大きなメリットです。
では、三菱サイドは、どうでしょうか。
まず、単独で新型車を開発する投資の負担を軽減できます。
極端な話、半分ですみますね。
さらに、自社の「eKワゴン」に加え、
OEM同様、日産「DAYZ」の生産を請け負うことにより、
輸出の減少や国内販売の不振で稼働率が4割以下に落ち込んだ、
水島工場(岡山県倉敷市)の生産ラインを埋めることができます。
さらに、NMKVでは、調達効率のアップやコストダウンのノウハウ、
品質管理方法などを共有しましたが、こうした取り組みは日産の方が得意です。
三菱は、日産から多くのことを学んだに違いありません。
三菱は、日産から学んだノウハウを、今後、
水島工場だけでなく、ほかの工場へも適用することができます。
これは、三菱にとっては、何にもまさるメリットでしょう。
今回のコラボは、どちらがより「おトク」ということはありません。
企業間の協業やアライアンスは、「Win-Win」でなければ成功しない。
NMKVは、日産と三菱の思惑が合致した結果といえます。<o:p></o:p>