春日公園前の補聴器屋さん(春日市、大野城市、太宰府市、那珂川町中心)『かすが補聴器専門店』のブログへようこそ。
昨日、あるご夫婦が来店されました。
奥様が難聴の傾向があるそうで、補聴器の購入うんぬんはさておき、相談のみのご希望でした。
2年以上前に、耳鼻科で診断を受け、ドクターからは、「治療で治るものではないから、生活上困ることが多ければ、補聴器をした方がよい。」と言われたようです。
それから半年後、天神のある眼鏡店さんで補聴器の試聴を行い、よく聞こえたそうですが、値段を聞くと「両耳で50万円。あなたに合う補聴器はこれしかありません。」とのこと。
あまりの高額さゆえに、その時は購入を見送ったそうです。
最近は、度が進んだのか、TVの音量が大きくなり、家族からも指摘されているとか・・・
特に、娘さんとの会話のやり取りになると、何度も聞き直しをするため、最後には喧嘩腰のやり取りになるそうです。
ここまで、日常生活に支障が出ているにもかかわらず、『補聴器』を付けることに大きな抵抗があると言われています。
ご本人によると、
「家にいるときは使いたくない。」
「出かけるとき(他人との会話があるとき)だけ使いたい。」
という希望を持たれていました。
私は、少々きつい言い方だったかもしれませんが、
「娘さんとのやり取りに支障を来しているのに、なぜご自宅で使わないんですか?」
「日頃から使っていなければ、出かける時もきっと補聴器を付けないですよ。」
と補聴器を使う目的を明確にするようお伝えしました。
実際、当店のことを下調べして来店されるまでに1ヶ月以上かかっていたようです。
来店された理由は、ご自宅から近く、補聴器について調べてくれた娘婿さんが、
「技術・設備が整った専門店で、資格(認定補聴器技能者)を持ったスタッフがいる店がいいよ。」
と勧めてくださったようです。
・ドクターから補聴器を勧められる
・眼鏡店で補聴器を試聴した
・TVの音量が家族と差がでてきている
・家族との会話で支障がある
・娘婿さんも近隣で補聴器専門店を調べてくれた
などなど、ご本人も難聴を自覚し、周囲も補聴器を勧めているにもかかわらず、今尚、悩まれています。
私は、補聴相談のみで聴力測定を行いませんでした。
当然、補聴器の試聴も勧めません。
私のこれまでの経験上、この方に(今)耳を計って、補聴器の試聴をし、仮に購入に至ったとしても、きっと使わないと思ったからです。
家族に無理やり連れてこられて、補聴器を購入した方が、結果、使わずに至っている事例を何度も見ています。
『補聴器』というものは、周囲が必要を促しても、結果として、ご本人が『使う気』にならなければ、『無用の長物(ちょうぶつ)』となります。
これは、購入後のアフター調整にも大きくかかわってきます。
最近の補聴器は便利になって、ほとんどの機種に、『データログ』という機能が搭載されています。
・累計補聴器使用時間
・1日当たりの補聴器使用時間
・どのような場面で補聴器を使っているか?
・プログラム設定(環境切り替え機能)をどの割合で使っているか?
・ボリュームの使用頻度
などが詳細に記録されて、我々フィッティング者が使用者の状態を分析することが可能です。
私の場合、1日当たりの補聴器使用時間が1時間未満の方は、あえて補聴器調整を行いません。
使っていないのに、不平不満を言われても、調整して問題の解決に至らないからです。
補聴器使用が初めての方には、1日3時間の使用を最初の目標設定にします。
そのくらいの使用頻度になれば、具体的に次の段階へのフィッティングに進めていきます。
お客様の『きこえの要望』は、ある意味『わがまま』です。
「人の声だけきこえればいいのに、雑音が多くて・・・」
とよくおっしゃいます。
耳から入ってくる音声情報は、『人の声』だけではありません。
『人の声』が3割だとしたら、残りの7割は、『環境音(雑音)』です。
健聴者が、聞こえている『環境音(雑音)』を補聴器を使用している『難聴者』の方が聞こえない(聞かせない)ことは、『自然な状態』とは言えません。
この聞こえていなかった『環境音』に対し、『脳』へのリトレーニングを行っていくことが、
フィッティング×補聴器装用(慣れ)×装用時間
という公式になります。
「慣れてください」の一点張りでは話になりませんが、裏付けられたフィッティングと装用時間(補聴器使用に対する取り組み)が、聞こえの向上につながっていくと思っています。
しかし、昨日いらっしゃったお客様は、ここに来られただけでも『大きな第一歩』であることに間違いないので、前向きに検討していただきたいですね。
本日は以上です。
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