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経営資源の多重利用

2021-06-06 12:00:00 | 20期生のブログリレー

皆さまこんにちは。稼プロ!20期生の岡崎です。

今回は、コアとなる独自技術を活かして新規事業に挑戦する中小企業の社長について書かせていただきます。最後までお付き合いください。

 

その独自技術とは「砕く」、チャレンジャーの社長は、過去このブログにも登場していただいた化学工場を経営するB社長です。

社長は中国から、廃棄されたプラスティック製の麻雀パイや食器、ガラス製品を粗く砕き材料として海上輸入。国内工場で独自技術の「冷凍粉砕」でさらに細かく砕き、半導体の製造に使う樹脂研磨剤や道路標示の塗料に使うガラスビーズに仕上げて販売しています。年商は5億円。樹脂研磨剤の品質は米軍MILスペックで認証済み、日本産業規格のJISも取得済です。

 

社長は中国に太い仕入ルートを持ち、コロナ禍で入手難の材料にも事欠くことはありませんでした。もっと言えば材料に枯渇して泣きついてきたライバル企業に余剰材料を高値で売っていました(売値は仕入値の数倍)。いつものとおりコロナ禍中でもガッチリ稼いでいる社長です。

 

さてB社長、今度は何を砕くのか? より硬いもの? ダイヤモンドに挑戦?

社長はやわらかい「梅干し」を砕きます。食品ですから同じ「砕く」でもただの関連多角化ではないようです。社長は一昨年に本社工場の隣接地に在る廃業した食品工場跡を取得、主力2製品の他に、第三の柱として「食品の粉砕事業」を計画していました。社長の地元は日本一の梅の産地です。樹脂研磨剤、ガラスビーズは県外や海外との取引が多かったので、次は地元との繋がりを意識。タイミング良く、梅加工会社から「梅干しを冷凍して粉砕できないか」との打診があり、製品開発を進めました。開発の途中にはTVCMで誰でも知っている大手梅酒メーカーに、梅ジュースの材料の一部として、得意のアポなし営業をかけていました。そこは思うようにはいかなかったようですが、社長の心は「砕けない」。それどころか、ゼロが8つも並ぶ金額で設備投資、梅干しのフレーク(薄片)増産を決断されたのです。

 

そこでは白干し梅(塩のみで漬けた無添加の梅干)や調味梅のタネを取り除き少し乾燥させたものに独自技術の「冷凍粉砕」を活用、瞬間冷凍して粉砕します。この加工法では、フリーズドライのように完全な乾燥状態ではなく水分が残り、梅干そのものの触感も保たれるため、ご飯に混ぜ込んだり、料理に振りかけたりと色々な楽しみ方ができるようです。

 

「砕く技術」という経営資源を、研磨剤・食品と製品範疇を超えて多重利用し、新規事業に打って出るB社長。還暦超えてもチャレンジ精神は増すばかり。B社長、新規事業の成功をお祈りしています。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

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2 コメント

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Unknown (岡田英二)
2021-06-07 00:08:30
技術を軸にした事業の多角化は、検討例は多いですが成果につなげるのは難しい印象です。
砕けない心と選球眼、そして一緒に汗を流す仲間が要ると思います。
事業の成功を祈ます。
Unknown (岡崎)
2021-06-07 05:16:12
岡田さん
コメントありがとうございます。
〇億の投資、社長は勝機を掴んだのでしょう。
今後どこかのコンビニおにぎりに使用されるかも。

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