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あなたの苦手が社会の課題解決に繋がるかも

2021-10-10 12:00:00 | 21期生のブログリレー

みなさん、こんにちは。

19期生の森です。

突然ですが皆さんは日頃スポーツしてますか?

内閣府の調査では日本人の約60%は週1回以上の運動の機会がないそうです。

私は、なんとかランニングだけは細々と20代のころから続けています。

なぜ、このような話から始めたかと言えば、今日紹介したい本「マイノリティ・デザイン」(澤田智浩氏・著)に関係します。

著者の澤田氏は現在、「世界ゆるスポーツ協会」の代表理事をされています。もちろん「ゆるスポーツ」の考案者でいらっしゃいます。

結構あちこちのメディアにも露出があるので、ご存知の方も多いかと思いますが、そうでない方にはコチラを見ていただくのが一番。

「ゆるスポーツ」とは、ご覧のとおり障害者も運動音痴な人も誰もが楽しめるスポーツのことです。

澤田氏は本業は広告代理店のクリエイターで、自分の子が視覚障害者であったことが契機で、福祉の世界へ関わっていきます。そうした中で障害者ができないことや、苦手なことというのは、実は社会に原因があるのではないかと思うに至り、だったら社会のルールや見方、前提を変えていこう、そして誰もが生きやすい世の中にしよう、そんな思いで様々な活動をしていらっしゃいます。

障害者の有無に関わらず、運動が苦手な人は比較的スポーツする機会が少ないと思うのですが、それはルールが運動神経の高い人の目線で作られているからであり、それを変えたら誰でも楽しめるんじゃないか、という発想から「ゆるスポーツ」は生み出されました。

これ、すごい発想ですよね。

澤田さんは、「誰かの弱みや苦手に焦点をあてることが、社会を変える切り口になる」というようなことをおっしゃっています。

個人の弱みや苦手は多様で、なかなか焦点のあたらないところですが、でも実は個人的な課題解決が潜在的な社会の課題の解決やニーズにマッチするという例は多いんですね。

本書で紹介されていますが、片手しか使えない人のニーズでそれまでのマッチから100円ライターに、寝たきりの人でも飲みやすいように折れ曲がるストローが生まれ、視力矯正の目的だった眼鏡がファッションアイテムにもなり、といった事例などなど。

個人の苦手や障害により感じている不便、理不尽さというのは、社会が気付いていないか、それぐらいは仕方がない、と考えていて見過ごされているのだと思います。

実は掘り起こしてみれば、マイノリティの課題というのはマイノリティだけのものではなく、社会をよりよくする課題である、というようなことは、まだまだたくさん埋もれているのだと思います。

大企業はどうしてもマジョリティに向けてのサービスやプロダクトの開発にならざるを得ないですね。でもそれは競争が激しく、常に新しい技術などによって古いものは陳腐化する。

ファッションやエンタメなどの流行りものは一時消費されたらなかなか残っていくことはない。

マイノリティの課題(ニーズ)は多様で尽きない。そしてその課題解決は、必要性の高さゆえに、社会にインフラ的に残っていく可能性が高い。

中小企業はニッチな分野を目指すべきと言われます。特にこれから創業するときには、こうしたマイノリティを意識した事業が有望だし、トレンドになっていくのではないかと思います。

本書は、キャリアデザインとしても秀逸です。ブログでは全然触れていませんが、「なんのための仕事か」「誰のための自分か」といったことを見つめ直すヒントを与えてくれます。

 著者の本業コピーライターとして発想力や周囲の巻き込み方などもとても興味深く、巧みな文章も読みごたえがあり、かなりおすすめできる本ですので、未読の方は是非。

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (佐々木桃太郎)
2021-10-10 19:12:23
私はスポーツは何もしていません。たまに夜中にウォーキングをするのですが、その際は片手に缶チューハイですし。。。メタボの進行がとまりません 笑

とても面白そうな書籍ですね!興味津々です!
Unknown (山﨑 肇)
2021-10-10 19:19:08
「世界ゆるスポーツ協会」知りませんでした。サイトを見るととてもほのぼのとしていい感じですね。
マイノリティデザインはユニバーサルデザインとほぼ同義とみて良いのでしょうか。
健常者にとってもユニバーサルデザインはとても有用なものですよね。
かつて実家を両親のためにバリアフリーにしましたが、今ではたまに帰ると自分のためにとても楽でやっといてよかったと思います(笑)。
「マイノリティデザイン」さっそくAmasonしちゃいました。
Unknown (大井 秀人)
2021-10-10 23:20:51
澤田さんはよくメディアにも出られていますね。少年期フランスにいたこともあり、マイノリティのリアルを肌感覚で知っている方と感じました。この肌感覚が新しいフィールドを生むんですね。
ちなみに大企業は、経営側がマス相手前提の判断基準を持っていることが多いと思います。私も化学メーカーで新規事業したときに、このギャップに苦しみました。この判断基準は、マイノリティ相手の市場に対して足枷のはずです。こういう制約があることを知っていると、中小企業もいろいろと攻めどころがあるんじゃないかと思います。
Unknown (廣瀬達也(19期生))
2021-10-11 12:25:44
森さん

「マイノリティ・デザイン」のご紹介ありがとうございます。面白そうですね。
さっそく「図書館(!)ポチ」しました。予約数が結構あったようなので、読めるのはしばらく先になりそうですが、今すぐに読む余裕もないのでちょうどいい時間差になることを期待しています。

===
運動が苦手な人は比較的スポーツする機会が少ないと思うのですが、それはルールが運動神経の高い人の目線で作られているからであり
===
これに少し近そうなところで、ファッション雑誌などで「スタイルのいいモデルさんを使えば、大概の洋服はかっこよく見えて当たり前。だから、スタイル良くない人をモデルにしてもまあまあに見える洋服を紹介して欲しい」と妄想したことがあります。
Unknown (森)
2021-10-13 19:44:24
山崎塾長
コメントありがとうございます。
そうですね、「ユニバーサルデザイン」とほぼ同義だと思います。本では、運動音痴とか一般的にはマイノリティとはされていないようなものまで含むので、幅広い意味であえて「マイノリティ」なのでしょう。バリアフリーは、当事者になってみないとなかなかその有用性に気付かないことが多そうです。

佐々木さん
コメントありがとうございます。
片手に酎ハイでウォーキングですか(笑)
まあ酎ハイ「だけ」よりは良いのでは!?
サクッと読めてしまいますので、電子書籍もありますから是非。

大井さん、コメントありがとうございます。
ご存知でしたが。
そうなのです、ご本人自身が実はマイノリティを身に染みてきた方なんですよね。
本でもありましたが、大企業(に勤めている方)としての関わり方は、プロボノのような形、または社会貢献的なプロジェクトで先ずは始めるという感じでしたね。

廣瀬さん、いつもコメントありがとうございます。
まさにそれがマイノリティデザインだと思います。
本では、ある一人の車いすの方のために着たいと思ってもらえる服を作り、それが結果的に健常者も着たくなるようなデザインであったりするのですが、この結果的に、というのが面白いなと感じます。

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