ホンハイ精密工業がシャープの筆頭株主になりましたね。シャープ株の約9.9%を第三者割当増資で引きうけます。
今、大学3年生の講義も担当していて、技術経営を教えています.。このホンハイ精密工業は、世間では余り知られていませんが、技術経営学のテキストでは名前が出る企業です。丁度テキスト通りのことがニュースになたので、今日はそのお話を少し。
1.シャープの会見(webニュースの抜粋)
「グローバル市場の戦いにおいて、単独での垂直統合には限界がございました」
3月27日夕方、都内ホテルで開かれた会見。4月1日付で新社長になる奥田隆司常務がコメントしました。2012年3月期は約2.5兆円の売上高に対して、過去最悪の2900億円の最終赤字を見込まれています。約3800億円をつぎ込んだ最新鋭の液晶パネル生産の堺工場も50%以上の減産中。そこで“救済”を買って出たのが、EMS(電子機器受託製造OEM)世界最大手の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業グループです。
EMSだからホンハイには自社ブランド商品はありません。だから余り知られていないのです。
2.ホンハイ精密工業は超優良大企業
実はホンハイ精密工業は超優良大企業です。売上高は2011年末で9兆7千億円、シャープの4倍です。製造請負から開発や製品企画まで実施しています。生産する製品 は
・インテル社、AMD社のマザーボード
・デル、ヒューレット・パッカード社のパーソナルコンピュータ
・ヒューレット・パッカード社のインクジェットプリンター
・ソニー・コンピュータエンタテインメントのプレイステーション3,プレイステーション2とプレイステーション・ポータブル
・任天堂のニンテンドーDS、Wii、 マイクロソフトのXbox 360
・アップルのiPodシリーズ、MacBook Air等、iPhone
・携帯電話 (モトローラ、ノキア社、ソニーエリクソン)
など全て世界的ハイテクヒット製品です。
そのコスト競争力は以下の理由によると言われています。どれも EMSビジネスモデルの強みです。
・多量の買い付けでコストダウンを行
・技術は組み立て受託で吸収して徐々に内製
・設計部門を自社内部で育ててODM(相手先ブランドによる設計製造)まで行える
・組立製造ラインの大部分は台湾ではなく中国にある。
3.製品開発・生産の構図
さて、製品開発や生産についてのビジネスモデルは日本企業とは全く違い
「日本の大手電機は部品製造や組み立て、販売まで一貫した垂直統合モデル。工場も持つ」
VS
「台湾企業は、まずコスト競争力のある組立を請負(組立は中国)、技術を吸収して付加価値の高い部分(電子機器部品、ソフト)に事業拡大する」
という構図です。そして
「付加価値の低い組立部分を日本国内の工場で実施するのはコスト的に限界がある」&「ハイテク家電は価格下落が激しくコモディティ化しやすい」
ために、台湾企業の戦略が合理的だと言われています。
台湾企業のこの戦略は80年代から発表されています。しかも、この戦略を裏付ける「スマイルカーブ」理論というのもあって、80年代に台湾のエイサーグループの会長が発表しています。なので、技術経営学の教科書にも掲載されているのですが、・・・・・・・
長くなりましたので、次回にまたこの続きを書きます。
とっても残念。
台湾にはまだいったことがありせんが、昨年、企業診断の記事を執筆するためにヒアリングをさせていただいたメーカーさんも海外進出は台湾からでした。
最近は、台湾の勢いを感じます。
ぜひ、近いうちに、台湾の風に触れたいです。
「スマイルカーブ理論」少し勉強してみます。