こんにちは 21期生の中川聖明です。
4月より東京都中小企業振興公社の人材ナビゲータ業務を受託することになりました。
独立した時は、長年の人事関連業務から離れたやりたいことを志向しましたが、仕事と考えた場合は、知人のアドバイスもありできることを優先した方が得策と考えるようになりました。
人材ナビゲータの業務は主に以下とお聞きしました。
(1)人材活性化セミナーの企画
(2)中小企業への訪問によるハンズオン支援
(3)人財マネジメントに関するハンドブックの作成
(4)その他関連業務
業務はあくまでアドバイスであり、セミナーもありますが、講師に立つこともありません。社会保険労務士のような直接手続きや規程作成作業にかかわることもしません。チームとしての行動を求められています。もちろん訪問先の契約の誘引もいけません。話をしながら、訪問先企業の社長やご担当者の頭の整理ということが中心になると思います。稼プロで学ばせて頂いたコーチング技法を本番で活かす場となりそうです。
自分は士業としては、会社員時代では特定社会保険労務士資格と関係する労務管理に関する研究会や講演会、書籍監修、執筆業務への参加が多かったです。診断士の独立開業も2016年ころは考えて、プロコン塾に参加したのですが、「人事業務」については中小企業診断士資格を通じて活かせる仕事はなかなかないと感じ、その時は再就職の道を選びました。
その後、紆余曲折あり、2021年7月以降独立することになりましたが、最近では、公的経営支援の機会を頂く中でITやマーケティング、補助金支援以外に、人的資源の活用対策について潜在的なニーズがあると分り、今年応募させて頂いた次第です。過去の経験が活かせる可能性がある場になると期待しており、自分にとっては新たな旅の始まりとなりました。一方でこの業務は過去の経験だけで通用するほど甘くはないと思いましたので合わせて「人を大切にする経営研究会」への入会もお許しいただきました。
私にとって人事部所属時代は4社で四半世紀にもなりましたが迷いの連続でした。1つは立場の迷いとして、労組専従書記長と人事部労務担当と相反する立場で仕事をしたこと。2つ目は会社の方針により、社員に成果を求める企業、社員同士助け合い育成し合う企業がありどういう人材が必要なのかわからなかったこと。3つ目は技術的に正確さを求められる給与、社会保険の業務、時に会社の意向のために説得や厳しいフィードバックが必要となる社員対応、社員の目標をより高い物へモチベートする人材開発、組織力強化のための人材発掘。各々考え方の違いで意見が分かれ調整に相当な労力が必要だったこと。何が正解かわからないまま来てしまいました。葛藤があり自身に強いストレスが残ってしまい、少し人事関連の業務から離れたくすらなりました。
それでも長年の業務では「人の価値観は百者百様でありその違い認めわかること」が分かりました。最近は、共感という言葉も最近よく聞かれるようになりましたが、共感は相手が何を考えているか理解をするまでで、同意をすることではありません。もしマネジャーが部下全員の考えに同意したら矛盾した判断も発生し、組織マネジメントが困難になります。ですから、無理して関係者全員の価値観に一つに合わせるのは難しい話だと思います。研修すれば変わるという考えもありますが、せいぜい効果があっても30歳位まででしょう。Off⁻JTは翌日には効果が半減するという話も研修会社から聞きました。フォローアップが必ず必要になります。違う価値観や考え方に合わせるためには言葉は悪いですが、洗脳でもしないと無理です。どんな方でも社会人経験が長くなれば、自分なりの考えがあるので、妄信することはなく、自分で判断するようになってくると思います。
それならば、「違いがあることを認めて理解すること」を大切にすることが、今は一番いいのではと思います。葛藤から離れたかった気持ちを少し乗り越えて、本業務を通じて人事についてさらに見識が深まればいいと思います。
これからハンズオン支援も始まりますが、まずは会社のトップのお考えをよく聞くことから始めていこうと思います。経営支援と違うのは経営者の意向を実現することだけではないという点でしょうか。労使がステークホルダー関係にあり法律による規制があることだからです。法令順守の観点から説得も必要な場面がありそうです。その点コーチングだけでなくバランスよくティーチングもしていく必要がありそうです。いろいろ思うことはございますが、まずスタートして修正しながら進んで行きたいです。
2022年4月13日 中川 聖明