16期田代です。
毎日忙しく過ごしている人に、今回は軽い気分転換のために映画の話題です。
エンタメ業界では大変な話題となっている日本のアニメ映画「君の名は。」、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
最近映画を見る機会はたいへん乏しく、夏休みやお正月に子供に付き合って見に行く程度のため、よほどの期待がなければ自ら映画館へ足を運ぶことはありません。
この映画は10代、20代の男女をターゲットとしている恋愛映画という認識があって、全く興味を持っていませんでしたが、日が経つにつれ興行収入をグイグイ伸ばし、歴代の記録を塗り替えるニュースを連日耳にして「これはきっと何かあるぞ」と興味が高まりました。さらに映画を実際に見た人からの強い勧めもあって、久しぶりの映画鑑賞に行ってきました。
映画のあらすじを簡単に言いますと、「千年ぶりの彗星の訪れを1か月後に控える日本での話。田舎で暮らす女子高生と東京で暮らす男子高校生の身体が時々入れ替わる不思議な現象が起こり、その状況をお互いが楽しみながら乗り切っていく。そしてある出来事から物語が大きく展開していく」というお話です。これだけ聞くと大林監督の『転校生』の現代版のような先入観を持つかもしれませんが、実際は全く違います。繊細で美しい風景描写、予想できないストーリー展開と緩急のきいた飽きの来ないテンポ、切ない心理描写、心地よい音楽と挿入歌、すべてが見事に組み合わさった秀逸した作品でした。また見たいと思いますし、身近な人にも勧めたいと思える良い映画だったと思います。
監督の新海誠氏によると、思春期の人に喜んでもらえる映画を目指したそうで、心の中に思春期が残っていれば年齢がいくつの方でも楽しめるとのことでした。自分の中に思春期のような感情が残っているとは思いませんが、耳なじみのある方言や若かりし頃に過ごした田舎の景色が描かれていたため、すっと感情移入でき、素直に楽しめました。同年代の人が見るとどんな感想を持つのか、少し気になりますので、もしご覧になられたらご感想を聞かせてください。
今、この映画の勢いが止まりません。業界では社会現象とまで呼ばれています。興行収入は「崖の上のポニョ」を抜いて164億円を突破し、このまま200億円を突破する勢いです。日本映画ではジブリの「千と千尋の神隠し」が308億円で第1位ですが、200億円を超えると邦画史上第2位の記録となります。ちなみに洋画を含めると、「タイタニック」や「アナと雪の女王」、「ハリーポッターと賢者の石」が「千と千尋の神隠し」に次いで2-4位にランキングされています。
この映画のヒット現象をみて、面白いと思うのは、若者向けにヒットして、そこから上の年代である30-40代、しかも10代の子供連れの家族、親子、50-60代の祖父母にまで広がりを見せていることです。しかも、一度見た人が繰り返し劇場に足を運んでいることです。これだけ多くのエンターテインメントにあふれる日本で、同じ映画を繰り返し劇場で見ようと思うことがそんなにあるのかなと思いますが、今の観客動員数1,260万人を超えている状況を見ると、すこし納得できる気がします。自分なりにこの現象を考察しますと、この映画に対する予想や期待を超えたことが、感動を生み、リピートや周囲への拡散という行動を引き起こしているのだと思います。顧客の期待を超えて感動を与え、良い印象を残す。私たちにとっても大切なことかもしれませんね。
毎日を忙しく過ごす大人にとって、よい意味で予想を裏切ってくれる爽やかな映画だと思います。
秋も深まってきましたし、たまには気分転換に映画でもいかがでしょうか。