ウィーンで学ぶ

---ウィーン医科大学心臓胸部外科
留学日記とその後...---

雪が舞う1週間: 論文と手術

2007年11月18日 | 病院
今週は毎日小雪が舞う日々だった。

外科医はとかく手術室で全エネルギーを燃焼しようとするが、指導教授は外科医であっても論文作成の重要性を説く。その指導の下、1年前より担当してきた論文の再投稿を完了することが出来た。今回が3回目の再投稿となるが、ようやく受理される見通しが高まってきた。もう一つ、簡潔な症例報告論文も作成した。こちらはまだ時間を要するとは思うが、留学も終盤に来て進展してきたのは嬉しい。

論文関連の仕事が進展したが、今週の手術参加は4例とやや寂しかった。何も予定のない日の午後、ふらっとOR覗きに行った。若手のE教授がレジデントDrとAVR+TAPをしていた。少し見学するつもりで挨拶したが、手を洗えを言われ、久々に第2助手として参加することになった。

ここでちょっとした経験をすることになる。AVRだが、選択した人工弁のサイズがやや大きく、弁輪にしっくり収まらないようだ。あっさりそれを取り外し1サイズ小さい弁で手早く再置換された。手術は無難に終了した。
翌朝のMeetingでも弁のことは特に問題にはなっていないようであった。

もちろん手術の現場では術前診断と必ずしも一致しないことや、実際にやってみて初めて明らかになることは希ではない。が、人工弁3000ユーロ(日本だと100万円近い)の損失はどうなるのだろう?

ほぼ全ての医療資材は「滅菌された使い捨て」商品なので一度開けてしまったら、それでお終いとなる。他の患者さんに使い回しは出来ない。点滴針など安価な物資は問題にならないが、高額の人工弁でも問題とされないのか?

実際どのように損失が処理されるのかは知らないが、おおらかというか、ファジーというか。医療費削減が至上命令の現場だったら、たとえ回避不可能なことでも問題とされるかもしれないが。
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