特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

時間の遅れを測定するのは難しい

2023-04-15 04:24:14 | 日記

1、時間の遅れを測定するのは難しい

「いや、そんなことは無いだろう。

時計を2つ見比べれば、どちらの時計が遅れていたか、すぐにわかる。」

そう言う声が聞こえます。

確かに日常生活のレベルではその通りですね。

ただしこの場合比較できているのは2つの時計の正確さ(=時計が刻むテンポの速さ=秒針が進む速さ)であって、時間の遅れではない事に注意が必要です。



それに対して特殊相対論の世界では「全ての時計は常に正確に時を刻む(=秒針が進む速さは常に同じ)」のですから、「一度時刻合わせが済めば、2つの時計は何時も同じ時刻を指している」のです。

ただし、時刻合わせが済んだ状態でその2つの時計は別々に移動する事は許されませんが、、、。

そうであればいつまでたっても2つの時計は同じ時刻を示します。

さてそれで「同一慣性系内であればどれだけ距離が離れていても2つの時計の時刻合わせが光を使ってできる」とアインシュタインは言いました。(注1)

こうして同期させた2つの時計も別々に移動させる事がなければいつも同じ時刻を示します。

そうやって同一の慣性系内で時刻合わせが済んだ2つの時計を「時間の遅れの測定」では使います。



次に検討すべきは「2つの慣性系でどちらが時間が遅れているのか」という事でした。

このシリーズの初めからここまで、ずうっとその事について検討してきた訳です。

まあそれで、少しはこの事について語れるようになった、という次第です。

はい、横道にそれましたね。



「2つの慣性系でどちらが時間が遅れているのか」を知る為には、観測する為には時計を使うしか方法がありません。(注2)

それで「慣性系αにある時計と慣性系βにある時計を両方、同じ場所に持ってきて同時に見比べればそれで済み」と言う主張は、まことにごもっともなのですが、「2つの慣性系」と言ったとたんに「この2つの慣性系は相対速度を持つ」と言ったのと同じ事になります。

つまりは「動いている2つの慣性系の間でどちらの時間が遅れているのか」を測定しないといけないのです。

そうして「動いている2つの慣性系の間で時刻合わせが出来るのは一回だけ」という制約が存在します。



具体的には左から右に向かう慣性系αにある時計Aと右から左に向かう慣性系βにある時計Bがすれ違う時にその2つの時計は時刻合わせが可能になります。

しかしこの時刻合わせが済んだ2つの時計はもう2度と出会う事はない、という所にこの問題の深刻さが現れています。(注3)

そうであれば「もう一度同じ場所で同時に2つの時計の時刻を見比べる事はできない」のです。

つまりは「時刻合わせが終わった2つの時計を使うだけでは慣性系αとβの間の時間の遅れは観測できない」という事になります。



2、時間の遅れを観測できるように工夫する事。

さてそれで「観測できないですぅ」で終わったのでは「子供の使い」になってしまいますので物理学者は考えます。

それでランダウ、リフシッツ は言うのです。

「もう一つ、時計を増やせばいいだろう」と。(注4)

そうしてその具体的な計算を「その2・ 固有時パラドックス」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=29825 :~:「時計Aからみた時のミンコフスキー図」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=29864 :で行い、その結果図1を得ました。

図1の詳細内容は上記ページを参照していただくとして、時計Bは固有時3秒となり、時計Aは5秒、時計Cは0秒の観測値を得るのでした。

その時のそれぞれの時計の時刻読み取りは以下のようになります。時計

TB@イベント①=0秒

TC@イベント①=0秒

TB@イベント②=3秒

TA@イベント②=5秒

但しイベント①にて時計Cと時計Bをリセットしたものとする。



こうして時計Aの立場に立てば「静止している時計Aに対して移動して来るのは時計Bであり、従って時計Bの時刻が時計Aよりも遅れて観測される。

そうであれば慣性系βの方が慣性系αよりも時間の進み方が遅い。」と結論を出す事になります。

以上のやり方、ロジックがこれもまたこの業界ではよく知られたものであり、こうして慣性系αと慣性系βで「どちらの時間が遅れているのか分かる」と主張されています。


そうしてこのやり方、考え方については疑いをもつ事なく「その通りである」としてきていたのですが、実は、、、という話がこの後続く事になります。


注1:アインシュタイン同期を参照願います。

ういき(英語版)アインシュタイン同期: https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Einstein_synchronisation?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc :

もう少しくだけた説明:アインシュタインによる時間の定義: https://archive.ph/hw5yv :

注2:ちなみにミュー粒子の崩壊、と言う現象も「一つの時計」であります。

従って「ミュー粒子の崩壊という時計」を使う事で「時間の遅れが測定できた」と多くの方が語っておられ、それがこの業界の常識となっており、特殊相対論が言う所の「運動しているものは時間が遅れる、と言う事の実例である」とされています。

注3:宇宙のトポロジーで曲率がプラスであれば2つの時計はまた出会う事ができます。

その場合は「どちらの時計が遅れていたか」がはっきりして、つまりは「慣性系αとβでの時間の進み方の違いが明らかになる」のですが、今の所の観測事実では「宇宙の曲率はフラット」であり、時刻合わせが済んだ2つの時計は2度と出会うことは無いのです。

但しこの時に一方の時計、もしくは両方の時計が途中で進行方向を反転すれば状況は変わり、再びこの2つの時計は出会う事が可能になります。

しかしその場合は反転している時に加速度運動が入りますので状況の計算による追跡は難しくなります。

そうしてまたそのようにした場合は慣性系αとβでの時間の遅れの比較ではなくなり、2回目のすれ違いで確認できるのは

経過時間Tα=慣性系α+反転運動中のα+慣性系α’(=反転運動終了後のα)

経過時間Tβ=慣性系β+反転運動中のβ+慣性系β’(=反転運動終了後のβ)

として計算された経過時間Tαと経過時間Tβの比較になってしまいます。

そうでありますから「初回のすれ違いで時刻合わせが済んだ2つの時計AとBを使った、2回目のこの2つの時計の現物合わせによる経過時間の比較による、慣性系αとβでの時間の遅れの比較」という方法は当面はあきらめた方がよさそうです。

ちなみにこの「両方の時計をすれ違い時刻合わせの後で反転させる」という方法は、真ん中に地球を存在させると「深刻なパラドックスが発生する事になる」という指摘については、

『その2・「時間の遅れはお互い様」を主張するネット記事一覧』: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=30072 :の追伸にて示した通りであります。

注4:この件、内容詳細については「ランダウ、リフシッツ パラドックス」: http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=29541 :を参照願います。


PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/gcpOt

https://archive.md/FU3dm

 


時計の仮説

2023-04-12 02:27:46 | 日記

時間の遅れを測定する為には時計が必要になります。

それで時計について考察する訳ですが、それに先立って従来から言われている「時計の仮説」についてのういきの記事を参照しておきます。

ういき英語版:時間の遅れ(time dilation): https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Time_dilation?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc :

§「時計仮説」より

『時計仮説とは、時計が時間の遅れの影響を受ける割合は、加速度には依存せず、瞬間的な速度のみに依存するという仮定です。

これは、時計がパスに沿って移動することを示すのと同じです。

(引用注:この部分の数式については原典を参照願います。)
時計仮説は、アインシュタインが 1905 年に作成した特殊相対性理論の最初の定式化に暗示的に (しかし明示的にではなく) 含まれていました。

それ以来、それは標準的な仮定となり、特に粒子加速器での非常に高い加速までの実験的検証に照らして、通常は特殊相対性理論の公理に含まれています。』

この仮説の主張している内容は

「観測者に対して相対速度 V(t) で移動している時計は

sqrt(1-(V(t))^2)

の割合で観測者の時計よりも進み方が遅れる、そうしてそれは時計が加速度運動している場合でもその時々の時計の観測者に対する相対速度 V(t) を使って表す事が出来る」と言うものです。

ちなみにここで t は観測者が持っている時計の時刻表示になります。

そうであれば今観測者の時計が0~2秒経過したという時に、加速度運動している時計の時間の進みは

sqrt(1-(V(t))^2)  t=0から2まで積分

として求める事が出来ます。

それでこの時にたとえば V(t)=0.8C と相対速度が時間 t によらない定数であれば(=等速運動)

sqrt(1-(V(t))^2)=sqrt(1-0.8^2)=0.6

従って

sqrt(1-(V(t))^2)  t=0から2まで積分



0.6 をt=0から2まで積分ーー>0.6*2=1.2秒

となります。



さてそれで、そのような挙動を示す時計というものの実体は「進行する物理現象」となります。

それはたとえば原子時計であれば「原子(分子)の固有共鳴周波数 fo は一定である」という事を使います。(注1)

この原子、それはたとえばセシウム原子だったりするのだが、それが観測者に対して相対速度Vを持つ場合はその対象原子が吸収、あるいは放射する固有の共鳴光(マイクロ波)の周波数が低い方にずれる、という事になる訳です。。

そうして「そのマイクロ波を検出できれば移動している原子の時間が遅れている事の証明になる」と言ったのはアインシュタインでしたね。

それを実際に横ドップラー効果として測定したのがアイヴス・スティルウェル (Ives-Stilwell) 実験でした。(注2)

概念的にこの状況を記述するならば「移動原子から直角方向に出てきたマイクロ波はレッドシフトしていた」という事になります。

そうしてそのマイクロ波の発生起源は電子軌道の遷移であったはずですから、その状況を説明する為に「移動原子の時間の進み方が観測者の時間の進み方よりも遅くなっていた」と解釈するのが特殊相対論です。



さてここで「原子(分子)の固有共鳴周波数 fo は一定である」という事の元をたどりますと原子核の周りを回転している電子の軌道条件に行き着く事になります。

つまりは「電子の円運動」ですね。

こうしてわかる事は「人間が作る時計と言うものはどこまで行っても周期的な運動からは切り離せない」という事であります。

それは「振り子時計」から始まって「テンプ式のぜんまい時計」に至り「水晶振動子の振動」から「原子核の周りを回転する電子」に至るまですべて「周期的に繰り返す運動に依存している」という事になります。



そうしてここでもう少し言うならば「空間がなければ周期的な運動と言うものは起こりえない」という事です。

さてそうなりますと「時間と言うものは空間と物質と言うものの存在を前提にしないと出てこれない」という事になります。

つまり「空間だけの、物質=エネルギーが存在しない宇宙には時間は流れない=時間は存在できない」という事になります。



さて我々が暮らす宇宙には空間があり物質=エネルギーがありますので時間は流れる=時間は存在する=時計が存在できる、のでした。

そうして「時計が存在する」ゆえに「時間の遅れが測定できる」という事になります。(注3)



注1:原子時計:日本大百科全書(ニッポニカ): https://archive.ph/Y1maw :を参照願います。

注2:アイヴス・スティルウェル (Ives-Stilwell) 実験

ういき(英語版)から以下引用。: https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Ives%E2%80%93Stilwell_experiment?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc :

『Ives-Stilwellの実験では、光のドップラー シフトに対する相対論的時間膨張の寄与がテストされました。[1] [2]

結果は、横ドップラー効果の式と一致し、時間遅延係数の最初の直接的な定量的確認でした。』

注3:ちなみに原子時計を構成するのはフェルミオンであり、その時計から情報(=時刻)を取り出すのがボゾン=光、と言う関係になります。



追伸:物理現象=固有時 という考え方

ミュー粒子の寿命を考えると分かりやすいのですが、ミュー粒子の寿命の固有時は測定可能です。

それはミュー粒子の生成(=最初のイベント)から崩壊(次のイベント)までの間の時間で定義されます。

そうしてその時間をミュー粒子と同じ座標系で計れば(=ミュー粒子を静止させておけば=ミュー粒子の静止寿命)それがミュー粒子の固有時となります。(注4)

そうしてミュー粒子の静止寿命は宇宙のどの場所でも同じである、と考えられますので、「宇宙の時間の流れは一様、等方である」と考える事が出来ます。

くわえて、こうした物理現象を使った時計はその時計の運動および加速度運動が終わって元の基準系(=静止系)にもどれば、運動を始める前に持っていたその時計のテンポ(=時を刻む速度)にまた戻るのが当然である、という事になります。



注4:ミュー粒子: https://archive.ph/R5JLh :より

ミュー粒子 (μ-) 平均寿命は2.2×10-6秒 ( 2.197034(21)×10−6 秒)

生成:反パイ中間子がミュー粒子に崩壊する。

崩壊:ミュー粒子 (μ-) は電子、ミューニュートリノおよび反電子ニュートリノに、その反粒子である反ミュー粒子 (μ+) は陽電子、反ミューニュートリノおよび電子ニュートリノに崩壊する。



追伸の2:時計のメートル原器にあたるものは何か

それは特定の物理現象に必要な時間間隔ですね。

そうしてその特定の物理現象に必要な時間は宇宙のどの場所でもどの時代でも同じであった、という「暗黙の前提」がそこにはあります。



PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/fmoLO

https://archive.md/sGiBS

 


その2・「時間の遅れはお互い様」を主張するネット記事一覧

2023-04-09 02:07:47 | 日記

やはりこの記事はこちらに投稿しておくのが妥当である、と判断しましたのでこちらに移します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・相対性理論におけるパラドックス: https://www.oit.ac.jp/is/shinkai/nishinomiya/202112nishinomiya_print.pdf :について

上記記事中に興味深い記述がありましたので、以下、参照しておきます。

6ページ図3では相対速度0.5Cで地球から遠ざかるロケットと地球との間での交信について説明されています。

それによれば双方ともに1秒間隔で相手に信号を送り、相手はそれを受信する。

そうするといずれも相手からの信号を受け取る間隔が1秒をこえる、と説明されています。

この図3の計算、少し怪しい所があるのですが、「いずれも相手からの信号を受け取る間隔が1秒をこえる」という所は間違いなさそうです。

従って地球の住民もロケットの乗組員も「相手の時計が遅れている」と認識し、そのように主張する。

そうであればこれが相対論の従来解釈である「時間の遅れはお互い様」の理由、説明になっている、とこの著者は主張するのです。


さて、次に7Pの図4になりますとロケットの速度は0.8Cにアップします。

そうして今度はロケットは途中で反転して地球に戻ります。

その場合、旅行の前半部分では前の説明にあったように「相手の時間が遅れて見えるのはお互い様」になっているのですが後半部分では今度は「相手の時間が早く進む様に見えるのはお互い様」になってしまっています。

しかしながらこの部分についてはこの著者は言及することなく「こうして合計でロケットの方が経過時間の合計が地球よりも少なくなる」とまとめています。


さてそれで、相対論の従来解釈の主張では「相手の時間が遅れて見えるのはお互い様」とは言いますが「相手の時間が早く進む様に見えるのはお互い様」とは決して言わないのであります。

つまりは旅の前半部分のみの状況を取り上げて「これが時間の遅れがお互い様と主張することになる理由だ」という説明では100点満点ではなく50点、不合格という事になります。


ちなみにこの旅行の全行程で「時間の遅れがお互い様」が成立していたら、地球に戻った時にロケットに積まれていた原子時計は地球に残されたもう一体の原子時計に対して「遅れたらいいのか進んだらいいのか?」と迷う事になります。


追伸:図4では地球の右側にロケットが飛んでいますが、、、。

その時同時に左側にロケットを飛ばしたらどうなりますか?

そうしてロケット時間で9年後に右側のロケットと同様に方向を反転させて地球に帰還させる。

その時にこのロケットに積まれた原子時計は右側に飛んだロケットの原子時計と同様に9年経過、という時刻を示しているはずです。

しかしながら特殊相対論が主張する所によれば行きと帰りの慣性飛行中はこの2つのロケットはお互いに「相手の時間が遅れている」と主張する事になります。

そうして又、ロケットが反転運動する際の加速度運動中の時間の遅れは一般相対論でしか計算できない、としても、それによって発生する時間の遅れ効果は右側と左側で同じであるはずです。

なぜならば方向転換時の右側ロケットの挙動と左側ロケットの挙動は全く同じであるからです。(同じになる様にあらかじめ決められた操作手順によって乗組員がロケットを操作します。)

さてそうなりますとまさに「時間の遅れはお互い様状況がこれで作り出された」という事になります。

しかしながら旅行が終わった後で右側飛行の原子時計と左側飛行の原子時計の針は同じ位置をしめしていました。

さてそうなると「お前の方が時間が遅れている」とお互いに主張しあったロケットの乗組員の主張はどこに行ったのでしょうか?

それぞれのロケットの乗組員は何を勘違いしていたのでしょうか??

特殊相対論の主張は間違っているのでしょうか???


PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/pedFZ

https://archive.md/ajmk2

 


実験結果からのローレンツ変換の導出

2023-04-06 01:55:55 | 日記

1、ローレンツ変換の導出

ローレンツ変換は特殊相対論の根幹をなすものです。

そうしてそのローレンツ変換の導出法にはいろいろなやり方がある事は: https://archive.md/rwDPy :  http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?topic_id=4090#post_id29088 :で示しました。

ここではそれらに加えて実験結果からローレンツ変換の導出が出来る事を示しておきます。

と言うのも、それまでのローレンツ変換の導出は何らかの前提条件を設定し、それを基にして行われていたからです。

それで、ここで示すものはそうではなくて、客観的な事実としての実験結果からローレンツ変換が出てくることを確認しておきます。

さてそれは言いかえますれば「前提条件なしでの我々の宇宙を支配している変換則の観測と検証」という事になります。



2、ケネディ・ソーンダイク実験

ういき(英語版)から以下引用。: https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Kennedy%E2%80%93Thorndike_experiment?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc :

『1932 年にロイ J. ケネディとエドワード M. ソーンダイクによって最初に実施されたケネディ - ソーンダイク実験は、特殊相対論をテストするマイケルソン - モーリーの実験手順を修正したものです。[1]

修正は、古典的なマイケルソン・モーリー (MM) 装置の一方の腕をもう一方の腕よりも短くすることです。

マイケルソン・モーリーの実験では、光速は装置の向きに依存しないことが示されましたが、ケネディ・ソーンダイクの実験では、異なる慣性系における装置の速度にも依存しないことが示されました。

時間の遅れを間接的に検証するテストにもなりました– マイケルソン・モーリーの実験の否定的な結果は長さの収縮だけで説明できますが、ケネディ・ソーンダイクの実験の否定的な結果は、地球が動き回っている間に位相シフトが検出されない理由を説明するために、長さの収縮に加えて時間の拡張が必要です。太陽。

時間の遅れの最初の直接確認は、 Ives-Stilwell の実験によって達成されました。

これら 3 つの実験の結果を組み合わせて、完全なローレンツ変換を導き出すことができます。』



3、アイヴス・スティルウェル (Ives-Stilwell) 実験

ういき(英語版)から以下引用。: https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Ives%E2%80%93Stilwell_experiment?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc :

『Ives-Stilwellの実験では、光のドップラー シフトに対する相対論的時間膨張の寄与がテストされました。[1] [2]

結果は、横ドップラー効果の式と一致し、時間遅延係数の最初の直接的な定量的確認でした。

それ以来、多くの Ives-Stilwell タイプの実験が精度を上げて実行されてきました。

マイケルソン・モーリーとケネディ・ソーンダイクの実験とともに、それは特殊相対性理論の基本的なテストの 1 つを形成します。[3]

相対論的ドップラー効果を確認する他のテストは、メスバウアーローター実験と現代のアイヴス・スティルウェル実験。』



4、実験結果からのローレンツ変換の導出の年表

歴史的な状況を確認しておきましょう。

1887年 MMの干渉計の実験結果の発表:アルバート・マイケルソンとエドワード・モーリーによって行なわれた光速に対する地球の速さの比 (β = v/c) の二乗 β2 を検出することを目的とした実験(注1)

1889年 ジョージ・フィッツジェラルド(1889) ローレンツ短縮仮説

1892年 ヘンドリック・ローレンツ(1892) ローレンツ短縮仮説

ローレンツ短縮仮説は、マイケルソン・モーリーの実験の否定的な結果を説明し、静止エーテルの仮説を救うためのもの。

1905年 アインシュタインの1905年の特殊相対性理論の最初の発表

その後、アインシュタイン (1907) は、観察者に対して動いている光源から到達すると知覚される光の相対周波数の測定に基づく実験を提案し、時間の遅れによる追加のドップラー シフトを計算しました。[5]この効果は後に「横ドップラー効果」(TDE) と呼ばれました。ーー>アイヴス・スティルウェル 実験で検証された。

1932年 ケネディ・ソーンダイク実験 長さの収縮と時間の遅れの両方を確認

1938年 アイヴス・スティルウェル 実験 横ドップラー効果の測定



さてういき「ケネディ・ソーンダイク実験」によれば

『相対性の重要性
1905 年にアンリ ポアンカレとアルバート アインシュタインは、ローレンツ変換が相対性原理を満たすために群を形成しなければならないことを示しました (ローレンツ変換の歴史を参照)。)。

これには、長さの収縮と時間の膨張が正確な相対論的値を持っている必要があります。』

とありますが、これは

1887年 マイケルソン・モーリーの実験

1932年 ケネディ・ソーンダイク実験 長さの収縮と時間の遅れの両方を確認

1938年 アイヴス・スティルウェル 実験 横ドップラー効果の測定

の3つの実験により実際に観測され達成された、という事になります。



5、まとめとして

以上の事からローレンツ変換則は客観的な存在として我々の宇宙に存在している変換則である、という事が言えます。

そうしてこのローレンツ変換から「光速は不変である」という観測結果が出てくることはすでに指摘してきた通りです。

そうしてまたこの変換則からローレンツ短縮と時間の遅れも出てくるのでした。



さてそうであれば時代が今に至りてこのローレンツ変換を基礎として時間の遅れについての検証実験を検討する事は理にかなっていると言えます。

そうしてまたそのような事はアインシュタインが特殊相対論を発表した当時には不可能な事でありました。

したがってアインシュタインはトップダウン宣言として

・光速不変

・全ての慣性系は平等

を掲げて特殊相対論を構築したのでした。


追伸:蛇足ながらローレンツ変換が不変に保つものを示しておきます。

・光速  

・固有時

・2つのイベント間の相対速度

これ以外にもローレンツ不変量はありますが、時間の遅れの考察に関係するのはこんな所かと。


追伸の2:「時間の遅れはお互い様」論争

この論争は根が深いものがあります。

そうしてそのような論争を生む、おおもとをたどっていくとローレンツ変換とアインシュタインの「全ての慣性系は平等である」宣言に行き着きます。

加えて「光に対してのローレンツ変換の実在性は本当に確かなものである」と言う事は歴史が証明しています。

しかしながら「時間の遅れはお互い様」を証明した実験はありません。

それどころか状況証拠は「時間の遅れはお互い様ではない」を支持しています。

さてこの100年をこえる論争、どのように決着がつくのでしょうか?

要注目であります。



PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/5haFb

https://archive.md/975MI

 

 


静止系を決めるのは観測者の主観ではなく客観的な観測データ

2023-04-03 02:29:03 | 日記

3、静止系を決めるのは観測者の主観ではなく客観的な観測データ

ここまでの議論で分かる様に時計Aが静止系にある場合と時計Bが静止系にある場合ではそれぞれの時計が示す固有時が入れ替わるのでした。

(1),時計Aが静止系の場合

 時計Aの固有時=5秒

 時計Bの固有時=3秒

(2),時計Bが静止系の場合

 時計Aの固有時=3秒

 時計Bの固有時=5秒

そうして固有時は観測可能な測定値ですから、固有時の観測結果からどちらの時計が静止系であるのか、判断する事が可能になるのです。

つまりは「静止系を決めるのは観測者の主観ではなく、客観的なデータ=客観的な事実」と言う事になります。



さてそれではどうやって固有時を観測するのか、もう一度確認しておきましょう。

時計Aが左から右に、時計Bが右から左に相対速度V=0.8Cで接近しています。

それで距離 L でその2つの時計がリセットされます。(注1)

この場合L=4Cです。

さてそれで時計Aの前方4Cの所に時計Cが時計Aに先行する形で時計Bに向かいます。

それでこの場合4Cという距離は時計Aが属している慣性系αにあるメートル原器で決定した距離となります。

同様にして時計Bに先行して時計Dが時計Bから距離4C前方にあって時計Aに向かいます。

この時もまた距離4Cは時計Bが属する慣性系βにあるメートル原器で設定されます。



さて時計Bは時計Aとすれ違う前に時計Cとすれ違います。

その時に時計Bと時計Cはお互いにあいての時計の時刻を読み取ります。

あるいはお互いに相手の時計を観測しあいます。

これがイベント①です。

イベント①の時に時計Bが示していた時刻をTB@イベント①と書きましょう。

そうであれば時計Cの時刻はTC@イベント①です。

そうして今度は時計Bは時計Aとすれ違います。

このイベントがイベント②です。

この時、時計Bの時刻はTB@イベント②

同様に時計Aの時刻はTA@イベント② です。

さてそうであれば時計Bの固有時は

時計Bの固有時=TB@イベント②ーTB@イベント①

で算出できます。



さて今度は時計Aです。

まずは時計Aは時計Dとすれ違います。

これがイベント③です。

この時の時計Aの時刻はTA@イベント③

同様にして時計Dの時刻はTD@イベント③

その後時計Aは時計Bとイベント②ですれ違います。



さて、そうなりますと時計Aの固有時は

時計Aの固有時=TA@イベント②ーTA@イベント③

で計算できます。



以上の状況で4つの時計(=時計A,B,C,D)について6つの時刻の観測データが得られます。

上から順に

TB@イベント①

TC@イベント①

TB@イベント②

TA@イベント②

TA@イベント③

TD@イベント③

これら6つのデータは客観的な観測データです。

つまり時計Aが「私が静止系である」と主張し、また時計Bが「いや、私こそが静止系である」とそれぞれの観測者が自分の主観的な判断に基づいていろいろと勝手に主張しても、そんな主張とは無関係に決まってしまう客観的な観測値です。

そうしてまたこの6つのデータは、ローレンツ不変です。

つまり「どのような相対速度を持つ第5番目の観測者が観測しても、その値になる観測データである」と言う事になります。(注2)



さて、こうしてめでたく時計Aと時計Bの固有値が観測によって決定できましたので、その観測結果をもって「慣性系α(時計AとC)が静止系なのか、慣性系β(時計BとD)が静止系なのか、判別できる」と言う事になります。



さあそれで、これをもってこのお話がおわりならばよろしいのですが、なかなかそうはまいりません。

静止系と判定された慣性系は一体何に対して静止していたのでしょうか?

あるいはこう聞いてもいいかもしれません。

慣性系αと慣性系βの違いはなんですか?



まあそういうわけで、このお話はこれで終了、という訳にはいかないのであります。



注1、時計のリセット方法については「時計Bからみた時のNM図」の「追記:時計のリセットについて」にてご確認願います。

表現上「時計Bは時計Cに合わせてリセットする」と書いていますが、実際は時計Bのリセットボタンをここで押す必要はありません。

同様にして時計Aは時計Dに合わせてリセットするのですが、ここでも時計Aのリセットボタンは押されません。

リセットは記録されたデータから机上計算で行う事が可能であるから、と言うのがその理由となります。

注2:観測者の数は各時計に一人ずつですので、固有時決定までに4人の観測者が登場しています。

それでその次に登場する「固有時決定にからんでいない観測者」は5番目の観測者となるのです。


PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/ui2VP

https://archive.md/S7OJj