特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その2・ドリフトしながら単振動する場合の時間の遅れ

2022-08-15 01:38:10 | 日記

「ドリフトしながら単振動する場合の時間の遅れ・相対論」: https://archive.is/5nTue :では振動方向にドリフトした場合を扱いました。

それで次は振動方向と直交する方向にドリフトした場合を扱う事になります。



ドリフトしながら単振動する場合の軌跡のイメージはこんな感じ。

(t,0.9994sin t)の媒介変数表示  0<t<5π 

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%28t%2C0.9994sin+t%29%E3%81%AE%E5%AA%92%E4%BB%8B%E5%A4%89%E6%95%B0%E8%A1%A8%E7%A4%BA+%E3%80%800%3C%EF%BD%94%3C5%CF%80%E3%80%80

基準慣性系に対してはこのようなサインカーブを描く事になります。



さて媒介変数をxとし、Y軸方向に単振動速度:0.9994Cで振動し、X軸方向に0.001Cでドリフトしている場合を考えます。

sqrt(1- (0.001^2+(0.9994cos x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%280.001%5E2%2B%280.9994cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは4.01019   ですが桁落ちしています。

それで以下の文をウルフラムに入れて

sqrt(1- (0.001^2+(0.9994cos x)^2))

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%280.001%5E2%2B%280.9994cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29

定積分の項を見ると

0~π(パイ)までの積分で

2.00509469309713・・・を得ます。 これを倍にすれば0~2πまでの積分となりますので

桁落ち回避結果:4.01018938619426・・・

となります。



さてY軸方向に単振動速度:0.9994Cで振動し、X軸方向に0.001Cでドリフトしている場合の合成された運動の速さは光速Cを超えていない模様で、このままでも積分は出来ている様です。

しかしながら我々はこの場合は「相対論的な速度の合成が必要である」という事を知っています。

そうではありますが今回の場合は2つの直交する速度を合成しなくてはならず、従来の速度の合成則だけではだめなのです。

しかし世の中は広く、すでにそのような合成則が検討され公開されていました。



特殊相対性理論入門 公開用 第 1 版 : http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~tatekawa.takayuki/Note/SRelativity-v1.pdf :の21ページ、3.6.1 速度の合成 の76式~78式がその答えになります。(注1)

今回の場合はV=0.001CでありVx'=Vz'=0、Vy'=0.9994Cで振動 となります。

従って

Vx=0.001

Vy=(SQRT(1-0.001^2))*0.9994cos x

Vz=0

となります。

ちなみにγ(ガンマ)=1/SQRT(1-0.001^2)です。

それで積分対象はこうなります。

sqrt(1-(0.001^2+((SQRT(1-0.001^2))*0.9994cos x)^2)



sqrt(1- (0.001^2+((sqrt(1-0.001^2))*0.9994cos x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%280.001%5E2%2B%28%28sqrt%281-0.001%5E2%29%29*0.9994cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは 4.0102

例により桁落ちしています。

桁落ち回避の為、以下の文をウルフラムに入れて

sqrt(1- (0.001^2+((sqrt(1-0.001^2))*0.9994cos x)^2))

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%280.001%5E2%2B%28%28sqrt%281-0.001%5E2%29%29*0.9994cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29

定積分の項を見ると

0~π(パイ)までの積分で

2.00509844104252・・・を得ます。 これを倍にすれば0~2πまでの積分となりますので

桁落ち回避結果:4.01019688208504・・・

となります。



以上より、相対論的な加算式を使わない場合は

桁落ち回避結果:4.01018938619426・・・

でしたので、加算式を使う事で時間の遅れが0.99999813・・・程度に抑制されている事が分かります。

(加算式を使った方が時間の遅れが少ない。差分では0.00000749589・・)



注1:上記「特殊相対性理論入門」より引用

但し速度は光速Cで規格化とし、γ=1/SQRT(1-V^2)=1/SQRT(1-0.001^2)とする。

Vx=(V+Vx')/(1+V*Vx') ・・・76式

Vy=Vy'/(γ*(1+V*Vx')) ・・・77式

Vz=Vz'/(γ*(1+V*Vx')) ・・・78式



PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.fo/fagNu

 


ドリフトしながら単振動する場合の時間の遅れ

2022-08-12 02:46:25 | 日記

単振動での時間の遅れは 単振動での時間の遅れ・相対論 : https://archive.is/FJO5M :で扱いました。

次のテーマはドリフトしながら単振動したら時間の遅れはどうなるのか、と言うものになります。

何に対してドリフトしているのか、といいますれば「地上で行う単振動実験では基準慣性系に対してドリフトしている可能性がある」が答えになります。

つまり「地球が基準慣性系からずれていたとしたら、地上で行っている単振動による時間の遅れ測定実験にその影響が出るだろう」ということになり、「それではどれくらいの影響が出るのか計算しましょう」という事になります。

その場合の単振動の速さですが ドリフトしながら円運動する場合の時間の遅れ・相対論 : https://archive.is/t1o1v :の例を見習って0.9994Cで単振動する場合を取り上げます。



まずはドリフトがない場合を確認しておきます。

sqrt(1- ((0.9994cos x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

をウルフラムにいれます。

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.9994cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは4.0102

ちなみに静止している場合、時間の遅れがない場合は 答えは2π(2パイ)になります。



さてドリフトさせましょう。ドリフト量が0.0006Cで最大速度がCになり、これが限界です。

まずは振動方向にドリフトしている、としていますので

sqrt(1- ((0.9994cos x-0.0006)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

をウルフラムにいれます。

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.9994cos+x-0.0006%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは4.00937

ドリフトがあると0.00083 遅くなります。(注1)



ドリフトしながら単振動する場合の軌跡のイメージはこんな感じ。

(t,0.9994sin t-0.06t)の媒介変数表示  0<t<5π 

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%28t%2C0.9994sin+t-0.06t%29%E3%81%AE%E5%AA%92%E4%BB%8B%E5%A4%89%E6%95%B0%E8%A1%A8%E7%A4%BA+%E3%80%800%3C%EF%BD%94%3C5%CF%80%E3%80%80

ドリフト量が0.0006ですと小さすぎて良く分からないのでドリフト量を100倍に増やして表示させています。



さてそれで、実はドリフト量が0.001Cの場合を計算したいのです。

それで素直にドリフト量を0.001Cまで上げますと

sqrt(1- ((0.9994cos x-0.001)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

をウルフラムにいれます。

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.9994cos+x-0.001%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

積分の視覚的表現をみますと、いかにも積分できそうな形をしていますが、ルートの中がマイナスに落ちている部分があり、このままでは積分してくれません。



そういうわけで、ここで相対論的な速度の加算式の登場となる訳です。

この合成則を使えば、光速以下のドリフト量であれば単振動と合成してもその結果は光速を超えることは無いのは保証されています。

合成則のおさらい

V=(V1+V2)/(1+V1*V2)

ここで

V1=0.9994cos x

V2=-0.001

従って

V=(0.9994cos x-0.001)/(1-0.001*0.9994cos x)

それで積分対象はsqrt(1-V^2)ですので

sqrt(1- ((0.9994cos x-0.001)/(1-0.001*0.9994cos x))^2)をxが0から2πまでの範囲で積分

をウルフラムにいれます。

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%EF%BC%880.9994cos+x-0.001%EF%BC%89%2F%EF%BC%881-0.001*0.9994cos+x%EF%BC%89%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは4.0102

見事に積分はできましたが、答えがドリフトなしの場合の数値と同じになりました。

しかしながら例によって桁落ちしていますので本当に同じなのかどうか、差分を取って確かめます。

sqrt(1- ((0.9994cos x)^2))-sqrt(1- ((0.9994cos x-0.001)/(1-0.001*0.9994cos x))^2)をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.9994cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29-sqrt%281%EF%BC%8D+%28%EF%BC%880.9994cos+x-0.001%EF%BC%89%2F%EF%BC%881-0.001*0.9994cos+x%EF%BC%89%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは6.63976*10^-7=0.000000663976・・・・

小数点表示したように、たぶんこの桁数以下も数値があるはずですが、「お試し無料版」ではここで手打ちです。

まあそれでも12ケタの精度はありますから、当面は十分でしょうか。

そうしてこれが0.001Cのドリフトによる時間遅れ分の効果になります。



それで、このままでは相対論的な速度の加算式の効果が分かりませんのでドリフトが0.0006Cの場合も同様にして確認してみます。

sqrt(1- ((0.9994cos x)^2))-sqrt(1- ((0.9994cos x-0.0006)/(1-0.0006*0.9994cos x))^2)をxが0から2πまでの範囲で積分

をウルフラムにいれます。

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.9994cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29-sqrt%281%EF%BC%8D+%28%EF%BC%880.9994cos+x-0.0006%EF%BC%89%2F%EF%BC%881-0.0006*0.9994cos+x%EF%BC%89%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは2.39031*10^-7=0.000000239031・・・

下記注1で示しました様に 相対論的な加算式を使わない場合は

答えは0.000833577

こうして相対論的な加算式を使う事によって約4万分の1にドリフトの効果が抑えられる事が分かります。



ちなみに単振動による時間の遅れを測定したレポートもありましたが、その精度は地球が基準慣性系に対してドリフトしているのかどうか、その事を確かめるには遠く及ばなかった、という事がこの計算結果の示す所となります。(注2)

さて、しかしながらその事は逆に「単振動での時間の遅れ測定の精度を上げれば、地球が基準慣性系なのかどうか、確かめられる」という事を示しています。(注3)



注1:この結果は桁が丸められています。

より正確には

sqrt(1- ((0.9994cos x)^2))-sqrt(1- ((0.9994cos x-0.0006)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

をウルフラムにいれます。

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.9994cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29-%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.9994cos+x-0.0006%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは0.000833577・・・・

より精度を上げる事もできるのでしょうが、「お試し無料版」ではこのあたりが限界の様です。

注2:単振動での時間の遅れ・相対論 : https://archive.is/FJO5M :の注2を参照願います。

注3:但し、話が少々複雑ですので「ページを改めて検討」とします。

「単振動を使った基準慣性系の判定・相対論」

https://archive.is/tlT3x
http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=27607

PS:相対論の事など 記事一覧


https://archive.fo/5nTue

 


その2・ 時間についての考察

2022-08-09 01:25:26 | 日記

特殊相対論では「運動しているものの時間は遅れる」という。

そうして観測事実もそれを裏付けている。

但し観測出来ている内容は「地上に立っている観測者からのみの報告」であって、実際に運動している者から地上の時計を見た時にどう見えるのか、その様な事を直接報告した事例はない。



しかしながらずうっと議論しているのは「慣性飛行しているアリスとボブは、お互いに相手の時計が遅れている」と本当に報告するのかどうか、という事である。

そうして業界の常識では「そのように報告する」となっている。

さてこれは本当なのだろうか?



そこで前のページで議論した内容が生きてくる。

「すれ違う2台のロケットにのったアリスとボブはお互いが相手の時計の針の位置を読むことができる」という話である。

そうしてその時に読み取った相手のロケットの時刻についてはアリスとボブとの間では常に合意が成立するのであった。

そうしてこの事は「この業界の常識」でもあった。



さてここでキャロルに登場してもらう事になる。

キャロルはアリスと同じ方向に同じ速度でアリスより先行する形で左から右へ飛行している。

そうして、キャロルとアリスの時計の時刻合わせは済んでいる。(注1)

ボブは右から左に飛行するのだが、まずはキャロルとすれ違う事になる。

その時にボブはキャロルの時計を見てその時刻に自分の時計を合わせる。

次にボブはアリスとすれ違うのだが、その時にボブはアリスの時計をみて時刻を読み取る。

同様にしてこの時にアリスもボブの時計を見て時刻を読み取る。



さて、以上の話、ここまでは「誰の時計が遅れているのか?」と言う話はいっさいしていない。

相対論が言う「お互いの時計が遅れてみえる」とアリスとボブが主張しているかどうかは話してはいない。

だがすれ違う時の相手の時計の針の位置についてはアリスとボブの間で合意が成立しているのである。



つまりアリスとボブがすれ違いざまにお互いの時計の針の位置を読み取った、その値と自分が載っているロケットの時計の針の位置を比べれば「どちらの時計が遅れていたのか」確認できるのである。

そうしてそうやって確認した事実については「アリスとボブとの間で意見の相違はない」のである。



アリスが「ボブの時計が遅れていた」と確認すればボブも又「自分の時計が遅れていた」と確認するのであって「いいや、アリスの時計が遅れていた」と主張する事はないのである。



さてこの事は「業界の常識が矛盾している」という事を示している。

1:2台のすれ違うロケットの間では相手の時計の針の位置を読む事が可能である。

2:アリスとボブはお互いに相手の時計が遅れていたと主張する。

この2つの主張は同時には成立しない。

1番目の主張が成立するならば、2番目の主張は成立しないのである。


そうして当方のスタンスと言えばもちろん1番目の主張を認めるものでありますから、2番目の主張は却下される事になります。



注1:アインシュタイン同期
https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Einstein_synchronisation?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc


同一の慣性系に属する、但し距離的には離れている2者は光を使って時計の時刻合わせが出来る、というお話。

上記の場合はアリスとキャロルは同一の慣性系に属する為、アインシュタイン同期を使って時刻合わせが可能となる。

それに対してボブがキャロルやアリスの時計の針の位置を読めるのは、距離が無視できるほどに近い位置ですれ違うからである。

そうしてそれは「同じ時に同じ場所にいたから時刻合わせが出来た」という状況に似ている。


追伸
「運動している相手の時計は遅れて見える」という特殊相対論の主張は、実は2つのステップからなっている事が分かる。

最初の前提は「近づいてくる2台のロケットはすでに何らかの形で時刻合わせが済んでいる必要がある」という事である。

そうして2つ目の前提は「妥当な時間が経過したのちに2台のロケットはすれ違い、その時に相手の時計の針の位置が読める」というものである。

そうでなければ「お前の時計が遅れている」などという事は言えないからである。


その様に考えてみるならば本当に時計にとっては「時刻合わせが重要である」という事が分かるのである。

つまり「時刻合わせが終わっていない時計には、その時計がどんなに正確であろうとも、何も主張する事ができない」のである。


PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.fo/8wKIW

 

 

 


時間についての考察

2022-08-06 04:51:35 | 日記

さて相対論では「運動しているものの時間は遅れ、長さは縮む」といいます。

長さについて言えば「0.8Cで移動しているロケットの全長は60%まで縮む」と相対論電卓は言います。

しかしながらロケットの搭乗者がロケットの全長を計れば「いや元の長さのままだ」と言います。

つまり「外からロケットを観察している者と搭乗者との間ではロケットの長さについての認識が一致しない」のです。



さてそれで、時計ではどうなりますか?

ロケットに乗っている人が「今は2時だ」と言った時、ロケットの外側にいる人は「何時だ」と言うでしょうか?(注2)

勿論、ロケットの外側の静止系にいる人の固有時刻を聞いているのではありません。

ロケットの中にある時計の針が何時を指しているのか、ロケットの外側からは何時に見えるのか、聞いているのです。

その様に聞かれればロケットの外側に立つ人も「2時だ」と言うでしょう。

そうして、そのように言う事ができなければ「すれ違うロケットの間で時刻合わせが出来ない」ということになり、「双子のパラドックスを説明しているういきの話が成立しなくなってしまう=業界の常識が成立しなくなる」という事になります。

そうであれば時間の場合は「運動している観察者が自分の時計を読む値と外側から同じ時計をみて時刻を読む観察者の間では合意が成立する」のです。



さあこの事はとても大事な事です。

それで注意が必要なのは「ここではまだ時間の遅れについては話していない」という事ですね。

「時間の遅れ」について話だしますと、「業界の常識」ではロケット内部の観察者とロケット外部の観察者の間では意見の相違=パラドックスが生じている、としています。(注1)

しかしその前段階の話、「ロケットの中の時計が指し示す時刻については両者の間では合意が成立する」という事は「特殊相対論においては特筆すべき事柄である」と言えます。



注1:ロケットの中の搭乗者は「時間が遅れているのは地球だ」と主張し、地上の観察者は「ロケットの中の時間が遅れている」と主張する、と言うのが「業界の常識=認識」であります。

しかしロケットの中の時計の針の位置についてはロケットの全長の話とは違って、「両者の間では合意が成立する」のです。

そうしてこの事は「業界が認めている事」でもあります。

注2:ここで言う「今」とはロケットとその外側に立つ観察者がすれ違う、「その時」です。


追伸
さてこの議論を一歩進めますと「ロケットの中の時刻の読み=時間 はそれを観察する観察者の相対速度の影響を受けない物理的、客観的な存在である」と言えそうです。

ほほう「それを観察する観察者の相対速度の影響を受けない」のですか。

これはなにやら光速Cの測定と似た話ですね。

これを言いかえますと「光速Cと時刻の読みについては何時でも誰とでも合意が成立する」となります。

 

追伸の2:2023/6:

ロケットの中の時計が指し示す時刻についてはロケットの搭乗員とロケットの外の観察者の間では合意が成立するが、ロケットの時計の針に付けられた発光ダイオードが発した色については合意が成立しない、という事は注意すべき事です。

これは光の色は発信者側の時間の遅れと受信側の時間の遅れの両方の影響を受ける為です。



PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.fo/vfW8K





単振動での時間の遅れ

2022-08-03 04:58:54 | 日記

相対性理論「時間の遅れ」、日常世界で実証 : https://archive.fo/aMuEo :を参照します。

『・・・NISTの物理学者James Chin-wen Chou氏ら研究チームは、2つの光学原子時計を、それぞれ近接した研究室の鋼鉄製の台の上に設置した。2つの時計はいずれも電荷を帯びたアルミニウム原子、すなわちアルミニウムイオンを用いており、それが2つのエネルギーレベルの間を1秒に1000兆回以上も振動する。この2つの時計を、長さ75メートルの光ケーブルで接続し、それぞれの時間の進み方を比較できるようにした。


最初の実験でChou氏らは、油圧ジャッキを使って、一方の時計を設置した台を33センチメートル持ち上げた。すると予想通り、低い位置にある時計のほうが、持ち上げられた時計よりも時間の進み方が遅かった。その遅れは、79年間で「1秒の900億分の1」程度だ。


2度目の実験では、一方の時計のアルミニウムイオンを、電場を用いて振動させた。これも予想通り、イオンを運動させた時計のほうが、静止していた時計よりも時間の進み方が遅かった。・・・』(注2)

油圧ジャッキで持ち上げたのは、地球の重力場の中での高さの相違による時計の遅れの検出、2番目のはイオンを単振動させたら時間が遅れた、という、特殊相対論の予想する効果の検出です。

高さ33センチの違いによる一般相対論での予測値との一致、そうして又秒速10m程度の振動速度での特殊相対論による予測値に一致する時間の遅れを検出した、という、どちらかと言うと「日常レベルでの世界での時間の遅れを検出できる技術の実証」という報告でした。



まあそれはそれでいいのですが、「単振動による時間の遅れ」というのはよく考えてみると「単振動しているイオンはアリスがのった宇宙船であり、それが宇宙と地球の間を何度も往復した、とも取れる内容になっています。

その様にこの実験を解釈するならば「双子のパラドックスの具体的な検証を行った」とも取れる報告です。(・・・と筆者らも申しております。) そうしてその結果は「確かにアリスの時計は遅れた」という事になっています。



さて単振動ってなんだっけ、という方は以下の記事で思い出しましょう。

単振動の公式まとめ(周期・ばね・エネルギー): https://archive.fo/cCOIn

振幅がAで角速度がω、経過時間はt、そうすると変位Xが

X=A*Sin(ω*t)・・・①式

で、その時の速度Vは

V=A*ω*Cos(ω*t)・・・②式

とまとめにはかいてありますので、それを使います。

例によって光速=C=1としますのでVの最大値は1、したがって

V=Cos(ω*t)

ω*tは単振動している対象物が実は円運動している、それを横から見ているから単振動に見える、そう解釈した時のx軸からの回転角Θになります。したがって

Θ=ω*t

これを改めてxとおき0から2π(2パイ)まで単位時間で動く、つまり「一周する」とします。

さてそうすると

V=Cos(x) ・・・③式

が単振動の速度を表す式、最大速度が±C=±1となっています。

もちろんこの場合最大速度は振動している真ん中の位置の時であり、速度がゼロになるのは振幅が最大になった場所、そこが地球でありそうしてまた他方の点が宇宙船を方向転換する場所でもあります。

速度Vで動く対象物の時間軸方向速度Vtは

Vt=sqrt(1-V^2)

でした。

従って今回は

Vt=sqrt(1-(Cos(x))^2)

となります。

これを一周分積分します。

ウルフラム君を呼び出して以下の文を入れてポチります。

sqrt(1- ((cos x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

実行アドレス:

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%28cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは4となります。

次に地球では時間の遅れは発生しませんからVt=1です。

従ってこれを0から2πまでの範囲で積分しますと答えは2π(2パイ)≒6.2832

最大速度が光速になる単振動でも時間の遅れは4までにしかなりませんので地球時間に対しては64%までしか遅れが発生しない事になります。

それでは遅れ時間が少ない、という事になれば、加速して最大速度に到達した時点で慣性飛行に移る、そうやって遅れ時間を稼ぐという事になります。

ちなみに最大速度が0.5C=光速の半分=0.5の場合は、ウルフラム君を呼び出して以下の文を入れてポチります。

sqrt(1- ((0.5cos x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.5cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは5.86985

この場合は地球時間に対して93.4%程度しか遅れないのです。(注1)



さてそれで秒速10mですとどうなりますか?

V=3.33*10^-8 = 秒速10m/光速(秒速30万km)

sqrt(1- ((0.00000003cos x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.00000003cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは6.28319

遅れは99.99984%

ウルフラムは一応計算するふりはしていますが計算精度不足です。



ちなみに秒速10mを相対論電卓で計算しますと時間の遅れは

99.999999999999944367%

残念ですが現状の無料版ではウルフラムの積分計算にそこまでの有効桁を求めるのはムリの模様です。


相対性理論(時間の遅れ): https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228694

但し桁数をデフォルトの14桁から26桁まで持ち上げて計算の事。


注1:
V=Cos(ω*t)の形式のままで遅れを計算するとするならばたとえば

sqrt(1- (0.5cos 2π*t)^2)をtが0から1までの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%280.5cos+2%CF%80*t%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%89%E3%82%92t%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%891%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは0.934215

こんな風になります。

この場合、地球での積分した値は1となりますので単振動の積分結果がそのままで遅れの割合となります。

それでこの場合は②式より

V=A*ω*Cos(ω*t)=0.5cos (2π*t) でしたので

ω=2π そうすると

A*ω=0.5 から A=0.5/2π

①式より A は振幅を表しますからこうして単振動の振幅を決める事が出来ます。


注2:一応参考資料、付けときます。
相対性理論と光時計
https://www-nist-gov.translate.goog/publications/relativity-and-optical-clocks?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

上記記事のグーグル翻訳前はこちら

Relativity and Optical Clocks
https://www.nist.gov/publications/relativity-and-optical-clocks

こちらは英文のサイエンスに載った記事

24 SEPTEMBER 2010 VOL 329 SCIENCE
https://tsapps.nist.gov/publication/get_pdf.cfm?pub_id=905055

 

PS:相対論の事など 記事一覧


https://archive.fo/FJO5M