さて相対論では「運動しているものの時間は遅れ、長さは縮む」といいます。
長さについて言えば「0.8Cで移動しているロケットの全長は60%まで縮む」と相対論電卓は言います。
しかしながらロケットの搭乗者がロケットの全長を計れば「いや元の長さのままだ」と言います。
つまり「外からロケットを観察している者と搭乗者との間ではロケットの長さについての認識が一致しない」のです。
さてそれで、時計ではどうなりますか?
ロケットに乗っている人が「今は2時だ」と言った時、ロケットの外側にいる人は「何時だ」と言うでしょうか?(注2)
勿論、ロケットの外側の静止系にいる人の固有時刻を聞いているのではありません。
ロケットの中にある時計の針が何時を指しているのか、ロケットの外側からは何時に見えるのか、聞いているのです。
その様に聞かれればロケットの外側に立つ人も「2時だ」と言うでしょう。
そうして、そのように言う事ができなければ「すれ違うロケットの間で時刻合わせが出来ない」ということになり、「双子のパラドックスを説明しているういきの話が成立しなくなってしまう=業界の常識が成立しなくなる」という事になります。
そうであれば時間の場合は「運動している観察者が自分の時計を読む値と外側から同じ時計をみて時刻を読む観察者の間では合意が成立する」のです。
さあこの事はとても大事な事です。
それで注意が必要なのは「ここではまだ時間の遅れについては話していない」という事ですね。
「時間の遅れ」について話だしますと、「業界の常識」ではロケット内部の観察者とロケット外部の観察者の間では意見の相違=パラドックスが生じている、としています。(注1)
しかしその前段階の話、「ロケットの中の時計が指し示す時刻については両者の間では合意が成立する」という事は「特殊相対論においては特筆すべき事柄である」と言えます。
注1:ロケットの中の搭乗者は「時間が遅れているのは地球だ」と主張し、地上の観察者は「ロケットの中の時間が遅れている」と主張する、と言うのが「業界の常識=認識」であります。
しかしロケットの中の時計の針の位置についてはロケットの全長の話とは違って、「両者の間では合意が成立する」のです。
そうしてこの事は「業界が認めている事」でもあります。
注2:ここで言う「今」とはロケットとその外側に立つ観察者がすれ違う、「その時」です。
追伸
さてこの議論を一歩進めますと「ロケットの中の時刻の読み=時間 はそれを観察する観察者の相対速度の影響を受けない物理的、客観的な存在である」と言えそうです。
ほほう「それを観察する観察者の相対速度の影響を受けない」のですか。
これはなにやら光速Cの測定と似た話ですね。
これを言いかえますと「光速Cと時刻の読みについては何時でも誰とでも合意が成立する」となります。
追伸の2:2023/6:
ロケットの中の時計が指し示す時刻についてはロケットの搭乗員とロケットの外の観察者の間では合意が成立するが、ロケットの時計の針に付けられた発光ダイオードが発した色については合意が成立しない、という事は注意すべき事です。
これは光の色は発信者側の時間の遅れと受信側の時間の遅れの両方の影響を受ける為です。