特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

人工衛星の時間の遅れと横ドップラー効果

2022-07-10 01:16:17 | 日記

人工衛星の時間のずれ(=遅れ あるいは進み)についての計算結果を参照して、それを横ドップラー効果の視点から考察しておきます。

人工衛星の時間のずれ(1) : https://archive.ph/QVDUz

人工衛星の時間のずれ(2) : https://archive.ph/bMR8r

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「人工衛星の時間のずれ(1)」の図1に結果概要が示されており、結果詳細は(2)の図4になります。

それによればISS(国際宇宙ステーション)では時間が遅れ、GPS軌道および静止衛星軌道では地表より時間が進む、という結果になっています。(注1)

それはまたういき 「時間の遅れ」: https://archive.ph/5YPwu :で書かれてある以下の記述の内容の具体的な計算結果でもあります。以下ういきより引用。

『ISSにおける時間は、地球上の時間よりも6ヶ月につき0.007秒遅れる。』

あるいは

『GPS衛星やガリレオ衛星の時計が早く動くようになっている』。



さて上記参考資料(1)で示された最初の計算手順によれば

『第一の方法はこうだ。

まずニュートン力学に基づいて人工衛星の軌道(高度と速度)を算出する。

次に、その速度の情報を使って特殊相対性理論に基づいて人工衛星の時間の遅れ(特殊相対論的効果)を計算する。

また、人工衛星の高度の情報を使って等価原理に基づいて人工衛星の時間の進み(一般相対論的効果)を計算する。

これらの2つの効果による時間の遅れと進みを足し合わせれば人工衛星の時間のずれが計算できるというわけである。』



こうやって計算した結果がほぼ第2の方法の結果と一致する、というのは驚きであり、特殊相対論と一般相対論の整合性の良さを表すものでもあります。それで第二の方法とは

『第二の方法は、一般相対性理論の重力場の方程式の球対称解であるシュバルツシルト解を使って、人工衛星の固有時と地上の固有時をそれぞれ計算し、両者を比較する方法である。』

そうしてまたそれは「時間の遅れについては特殊相対論の効果と一般相対論的効果を別々に計算しその線形和をとれば正解となる」と言う事の証明でもあります。(重ね合わせが有効である、という意味です。)(注2)



さてそれで最初の方法の『その速度の情報を使って特殊相対性理論に基づいて人工衛星の時間の遅れ(特殊相対論的効果)を計算する。』と言う部分が「横ドップラー効果の計算」になっています。

つまり「真ん中の地球がレシーバーでありその周りを回っている衛星が発光体である」とみれば、それはまさに英文のういきにある 「1つのオブジェクトが他のオブジェクトの周りを円を描くように動いている」の図5(b)の状況そのものとなります。

「相対論的ドップラー効果」
https://en-m-wikipedia-org.translate.goog/wiki/Relativistic_Doppler_effect?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc



そうでありますから我々がGPSを使うたびに特殊相対論の効果(=横ドップラー効果)と一般相対論的効果(=等価原理によれば重力ポテンシャルが低い場所ほど時間は遅れる効果)を使っている事になるのです。

そうであれば地球とGPS衛星の間では日常的に横ドップラー効果が働いており「時間の遅れはお互いさまではないという事実」を日々、検証している事になります。(注3)



注1:図4で左側の水色になっている部分が地球であり、軌道半径は地球の中心を原点にして宇宙に向かって伸びている横軸で表します。

それで水色が白に変わる線上が地表となり、そうやってみるとISSがいかに地表に近い所を飛んでいるのかがよく分かります。

そうして黄色の曲線が、横軸で示された高さの衛星軌道を飛ぶ衛星の時間の遅れ、あるいは進み(基準はもちろん地表にある時計です)を示しています。

それをみると分かる様に、地表すれすれに飛ぶ衛星(=たとえば標高1mで飛ぶ衛星)があったとすれば、その衛星が一番時間が遅れる、という事になります。

もちろんその高さ1mで飛ぶ衛星が地表の構造物と衝突して速度がゼロになった瞬間に時間の遅れはゼロとなります。

注2:シュバルツシルト解が横ドップラー効果の計算結果を含む、と解釈する事ができそうです。つまり「一般相対論は横ドップラー効果の存在を支持する」と言う事になります。

そうしてそれはまた同時に「一般相対論は『時間の遅れはお互い様である』と言う主張を支持しない」と言う事でもあります。

注3:静止衛星軌道上の衛星であっても横ドップラー効果はわずかではありますが発生している(=時間を遅らせている)という計算結果となっています。

そうして「静止衛星でありますから、地上から見上げればいつも同じところにいる=視線方向の相対速度はゼロである」にも関わらず時間の遅れが発生しています。

それで「これがまさに横ドップラー効果の本質」となります。

追記:2023/8/28:この静止衛星の時間遅れの事実は「横ドップラー効果のみを考慮するならば地球からみた場合は静止衛星に積んだ光源の光は赤方偏移する」という事を示しています。

他方でもちろん「静止衛星から地上の光をみれば、それは青方偏移している」のです。



PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.ph/9enGW