前のページの計算を最後まで行うと双子のパラドックスの解になっています。
まずはそれをやっておきましょう。
1と2の条件設定、計算手順は: https://archive.md/n6EaM : http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26571 :を参照願います。
3については: https://archive.md/jJRQD : http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26690 :になります。
アリスとボブが480光日離れた場所で時計をリスタートさせ、相対速度0.8Cで接近し、ついには出会う事になります。
その時にアリスとボブの時計がいくつを指していたか、という話が「双子のパラドックス(加速度運動なし)」の設問でした。
それで、従来の特殊相対論の議論ではこの場合お互いが「相手の時計は遅れている」と申告することになり、これがパラドックスでした。
しかしここまでの話で明らかになった様に「基準慣性系に対する相対速度が意味をもつ」のでした。
この事の理解が欠落していた為に従来の議論ではどうしてもこの「双子のパラドックス(加速度運動なし)」を解く事ができなかったのです。
それで、以下の計算結果では1、ではアリスが2、ではボブが基準慣性系に対して静止している、とします。そうであれば、相手方の船は基準慣性系に対して0.8Cの相対速度を持つ、という事になります。
そうして3、の計算ではアリスとボブ両方が基準慣性系に対して同等の相対速度0.5002Cをもって接近している、としています。この場合両者の速度を相対論的に加算すると0.8Cとなります。
基準慣性系 アリスが申告する日数(アリスタイムで) ボブが申告する日数(ボブタイムにて)
1、アリス座標系固定 600.0日 360.0日
2、ボブ座標系固定 360.0日 600.0日
3、アリスとボブの中間 415.37日 415.37日
1、2、では距離480光日を0.8Cで船が走りますから出会うまでの期間は480÷0.8=600(日)となります。
それで走っている船の方は時間が0.6倍しか進みませんから600×0.6=360(日)です。
3、では両船ともに距離240光日を速度0.5002Cで走りますから240÷0.5002=479.81(日)。その時点で両船は出会う事になります。
そうしてこれを「走っている船の内部時間に換算する」と479.81*300/346.54=415.37(日)となります。
係数300/346.54については: https://archive.md/jJRQD : http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26690 :にて確認願います。
さて、以上の事よりそれぞれの船で記録されるであろう最長時間は600日、最短が360日でその中間の値が記録される場合には「二つの船の間のどこかに基準慣性系がある」という事が分かります。
つまり「480光日離れて時計をリスタートさせた、0.8Cで接近している船がであった時の両船の時刻を確認すれば、その場所での基準慣性系に対する両船の相対速度が相対論電卓を使えば計算できる=基準慣性系がわかる」という事になるのです。
こうして「双子のパラドックス(加速度運動なし)」は我々をして「特殊相対論の正しい解釈へと導いてくれる」のでした。
そうしてそれはまた我々の住む宇宙についての新しい解釈の仕方でもあります。
くわえて「タキオン電話があってもそれでは過去に情報は送れない」がここまでの検討の結論となります。(この事は鳳凰院凶真クンには残念な結果でありました。)
それはつまり「光速を超える通信は相対論によっては禁止されていない」という事になります。
「そのような通信があっても、それは因果律を破壊しないから」です。(但し人類がその技術を手に入れる事が出来るかどうか、という事は、また別の問題です。)超光速通信についての詳細内容につきましては : https://archive.md/G5rZH :http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26541 :にてご確認ねがいます。
追記
以上の理解を持って 「その1・相対論で時間が遅れる件」: https://archive.md/85hD9 : http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26591 :を整理し直します。
基準慣性系 地球の観測者が申告した時間(地球時間で) μ粒子が申告した時間(μ粒子時間で)
1、地球の観測者の近くにある? 20.7・10^-6 秒 2.2・10^-6秒
地上の観測者による飛来μ粒子の相対速度の精密測定がなされていないので、このままでは基準慣性系がどこにあるのか、不明です。
それで公開されているレポートでは「地球が基準慣性系である=静止しているのは地球である=動いているのはμ粒子である」という前提のもとに相対論電卓で飛来μ粒子の相対速度を求めている様です。
その前提に立って実際に計算しますとその時の飛来μ粒子の地球に対する相対速度は秒速298094.5kmとなります。
相対論電卓で物体の時間 T0 に2.2秒をセットし、相対速度を秒速298094.5kmで計算ボタンをポチります。
https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228694
答えは20.700001秒。まあこんな所でしょう。
相対速度の光速比 v/c は99.433622%だと相対論電卓は教えてくれています。
そうであれば「実際に飛来しているμ粒子の地球に対する相対速度の精密測定が必要である」と当方は主張するのです。
その値が秒速298094.5kmであれば「地球は基準慣性系である=地球は静止している」という事になります。
そうならなければ「地球は基準慣性系に近いがずれている」が正解となります。
追記の2
「双子のパラドックス」で少し補足します。
最初の問題提起は「0.8Cで接近しつつあるボブとアリスはお互い、相手の時計を遅れている、と見る」という事でした。
しかしこの場合の「見る」というのは「実際に相手の時計を見ている」のではなく、単に「相対論電卓の計算結果を言っているだけ」なのです。
そうして「実際に相手の時計を見る事が出来る」のは2つの船がすれ違う時だけになります。
(厳密なことを言えば、それぞれの船から単位時間当たり1回の信号を出す、と言う手段で、すれ違いが起こる前から相手の時計が自分の時計とどれだけ違っているのか、知る事はできますが、話が複雑になりすぎますのでこの方法については省略させていただきます。
そうして実際の所、こうして知り得た情報はすれ違いの時に相手の時計を見る事で得られる情報以上のものは含んではいないと思われます。)
さてそうであればこれまでの様に「相手の船との相対速度を知っている」と言う情報だけでは「相手の船の時計がどれほど遅れているのか、知る事はできない」という事になります。
従って相手に対して「お前の時計は遅れている」という「事実を確認する前の事前予測、事前計算はできない」のです。
それを行うためには「自分の船が基準慣性系に対してどれほどの相対速度をもって動いているのか」という追加の情報が必要となるからです。
そうして「現実に起きる事」は「基準慣性系を考慮した計算結果に従う」と言うことになります。
PS:相対論の事など 記事一覧
https://archive.fo/k8Gir