特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

6-0・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(超光速通信or因果律違反)

2023-07-23 02:48:07 | 日記

以下、この後に続く説明の前書きの様なものです。

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この宇宙では光が一番早いとされています。

そうしてまた現時点ではそれをくつがえす現象はみつかっていません。

そうであればこの宇宙の制限速度は光速Cであるという事になっています。

但しエンタングルメントという現象は実在し、確認されています。

『量子力学は、遠く離れた系がもつれ合う可能性があるという意味で非局所的です。エンタングルメントにより、たとえ測定がほぼ同時に、遠く離れた点で行われたとしても、ランダムな測定に対して相関関係のある結果が得られます。』

これは距離がどれだけ離れていても片方に与えた影響がもう一方に瞬時に伝わる、という現象です。

しかしながらこれを使って通信手段を確立する事は(今の所は)できない模様です。: https://archive.md/oMmrd : 量子の非局所性  :参照のこと。

 

まあ現状はそうなんですが「何故宇宙の最高速度がCなのか?」という問いが設定できます。

そうしてその問いに答えているのが「特殊相対論からの結論である」という事になっています。

その「特殊相対論からの結論」というものが「光速をこえる通信が可能となると因果律違反が発生するからだめ」と説明されています。

たとえばういき「超光速通信」: https://archive.md/gpJui :の:超光速通信の問題:では次のようにかかれてあります。

『さらに言えば、超光速通信がもしあれば過去への通信が可能となり、結果的に因果律が崩壊する。』

ここで言及されている因果律崩壊のメカニズムは特殊相対論からの結論であると一般的には理解されています。(注1)

その具体的な内容の説明はこの後に続く「6-2」で説明されています。(注2)

そうしてその説明で登場するのが「光速をこえて走るタキオン」という存在です。

このタキオンについては最初に示した引用資料にも記載がありますので参照願います。

 

さてそれで、この前書きに続く以下のページにて従来通説として言われてきた事「光を超えた速度で通信が可能であると因果律が崩壊する」という事について検討していく事になります。

そうしてこの事を最初に検討したのは勿論アインシュタインでした。

そのあとタキオンのアイデアが登場し、タキオン反電話と言う形で因果律崩壊のメカニズムの説明がされる様になりました。

 

さてそれで、それが何故「静止系が客観的な存在だと何が困るのか?」というテーマと関係してくるのか、といいますと「因果律崩壊のメカニズムの説明の中で静止系は主観的に決めてよい」が使われているからです。

この「静止系を主観的に決めてよい」が成立しなくなり、「静止系は客観的な存在だ」となりますと「光を超えた速度で通信が可能であっても因果律は崩壊しなくなる」のです。

 

ちなみに「因果律の崩壊」というのは具体的には「所定の慣性系内の過去に対してその慣性系内の現時点から情報を送る事で生じる」のです。

そのような事が可能になりますと「原因のまえに結果が存在する」ということになり、ひいては「歴史の書き換えが可能」となります。

そうであれば「過去に情報を送る手段は存在しないであろう」と常識的には判断される事になります。

さてそのような判断に基づいて、なおかつ「静止系は観測者が主観的に決めてよい」、そうして「全ての慣性系は平等である」という前提に立ちますと「光速を超える通信が存在すると情報を過去に送れる」という結論が特殊相対論から出てきます。

その事をもって逆に「従って光速Cをこえて情報を運ぶ手段はない」=「宇宙の最高速度は光速Cである」と通説ではなっているのです。

 

注1:ういき:タキオン: https://archive.md/BlJ8F :にも以下の様な記述があります。

『ほとんどの物理学者は、光よりも速い粒子は既知の物理法則と一致しないため存在しないと考えている[2][3]。仮にそのような粒子が存在し、光よりも速い信号を送ることができたとすると、相対性理論によれば因果律に反することになり、親殺しのパラドックスのようなタイプの論理的パラドックスが生じることになる[3]。』

ここで言及されている「因果律に反すること」というのは「過去に情報を送る事」を指しており「親殺しのパラドックスのようなタイプの論理的パラドックス」というのは「歴史改変の事」を指しています。

注2:「光速を超える通信が情報を過去におくる話」としては次のような資料もあります。

「超光速通信と因果律の破れ」: https://archive.md/SxbeP :ご参考までに。

 

追記:ここまでの話の展開

「時間の遅れはお互い様」が通説でした。

しかしながらどうやら「時間の遅れは一方的」である様です。

この結論はとても常識的なものなので受け入れやすいものです。

他方で「時間の遅れはお互い様」はそれなりに「非常識でした」。

さてそうなりますと「静止系は観測者が主観的に決めてよい」が成立しなくなります。

替わって「静止系は客観的に存在している」が登場してきます。

そうしてこの「『静止系は客観的に存在している』が成立している」としますともっとも大きな影響がでるのがここで話している「宇宙の最高速度は光速Cである」という事になるのです。

それはつまり「特殊相対論は宇宙の制限速度を光速Cに限定してはいない」という事になるのです。

しかしながら、エンタングルメントという現象を除いて「いまだに光速Cを超えて空間を移動する素粒子は見つかってはいない」というのも事実であります。(注1)

そのような事もあり、「『宇宙の最高速度は光速Cである』は特殊相対論の代表的な結論である」とされてきました。

そうであれば「特殊相対論は宇宙の制限速度を光速Cに限定してはいない」という結論は従来から言われている事=「宇宙の最高速度は光速Cである」を否定することになりますので「なかなか、『時間の遅れは一方的』という主張とはちがって心理的な抵抗が大きいだろうなあ」とは個人的な感想であります。

 

注1:アインシュタインが「宇宙の最高速度は光速Cである」に基づいて「量子力学は完全ではない」=「光より早く伝わる現象が量子力学にはある」として今ではエンタングルメントという現象として知られている内容を初めて指摘した事は有名な話であります。

そうしてアインシュタインは「光より早く伝わるものは無い」に従って「エンタングルメントという現象は存在しない」としたのですが今ではその現象の存在が実験的に確認されています。

関連して以下の様な記事もあります。

・2022年ノーベル物理学賞 アスぺの実験: https://archive.md/vVakG :

追記の2:「特殊相対論が実は光速を超える情報伝達を排除していない」という認識はエンタングルメントに対する理解の仕方や波動関数の収縮、いわゆる量子力学の観測問題に対する新たな見方が出来る事を示している様にも見えます。

従来は「情報伝達の速度規制は光速Cである」が邪魔をしていた部分が取り払われた事になると理論構築の幅がかなり広まりそうです。

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/ObmCU