さて前のページまでで以下の結果を得ました。
第二地球の静止系に対するドリフト量の違いによる「ハーフェレ・キーティングの第2地球を使った実験」による測定値の
『答えは
252.61511170804806434ns <--ドリフト0.2C
対して
244.91218317638757393ns <--ドリフト0.1の場合
242.48424872828131164ns <--ドリフト0.01の場合
242.4602424605758425ns <--ドリフト0.001の場合
242.4600000003030375ns <--ドリフトなしの場合
ドリフトなしに対する増加量は
≒10.155112ns
増加量が二けた台に乗りました。
さてこの量を「ハーフェレ・キーティングの第2地球を使った実験」で検出可能でしょうか?
ページを改めて検討したいと思います。』
ドリフト量を0.2Cまであげた事でドリフトなしに対して10nsの時間遅れ量の増加が観測されました。
つまり「第2地球にいるハーフェレ・キーティングは従来通り『地球は静止系に対して止まっている=北極の上空に静止系を置いた解析』を行った結果、解析結果と実験値=実測値との間に10nsのずれを見出した」のです。
さてこの10nsのずれに対してハーフェレ・キーティングはどのような判断をする事になるのでしょうか?
実測値と理論計算値との間に生じているずれ量に対しては「実験誤差σを使って評価する」のが業界の通常のやり方になっています。
そのずれ量が実験誤差σと同程度であるならば「実測値と理論値の間に有意差はない」、つまり「そのずれ量は偶然によって生じたものである」とされます。
他方でずれ量がσの3倍を超える様な場合は「ずれ量は偶然に生じたのではない可能性がある」とされます。
そうしてずれ量がσの4倍を超える様な場合は「実験者は真剣にそのずれ量が生じた原因を検討する事」になります。
そのようにして「実験のプロセスを振り返っても、どこにも異常はない」、加えてさらなる実験を追加したらずれ量がσの5倍を超えるような事態になった場合は「そこには従来は知られていない、ずれ量を生み出した新しい物理プロセスがある」と言うように結論が出される事になります。
さて以上のような判断基準を「ハーフェレ・キーティングの第2地球を使った実験」で検出された10nsに適用した場合はどうなるのでしょうか?
そのような判断をする為には「ハーフェレ・キーティングの実験誤差σの大きさ」を知る必要があります。
・・・というわけで以下「8-2・ハーフェレ・キーティングの実験の再検討の1」: :から実験結果を引用します。
『それで地上に設置された基準時計を基準にした場合に
ナノ秒の獲得、予測 実測 差分σ
重力 運動学的な 予測合計 測定値
(一般相対性理論) (特殊相対性理論)
東回り +144±14 −184±18 −40±23 −59±10 0.76σ
西回り +179±18 +96±10 +275±21 +273±7 0.09σ
単位 ナノ秒 (マイナスが時間の遅れをしめす。プラスは時間の進み。)
という結果を得ました。』
この表で「差分σ」とかかれている部分が「実測値と理論値のずれ量の評価」を表しています。
東回りでは理論値ー40nsに対して実測値がー59ns、ずれ量は19nsです。
でその19nsを実験誤差σで割ると0.76になる、とハーフェレ・キーティングは言っているのです。
そうであればこの場合実験誤差σは25となります。(注1)
ちなみに「ずれ量が0.76σ<<3σ」であるので「生じているずれ量は偶然によるもの」であって「実測値と理論値の間に有意な差はない」=「実験値は理論値を再現している」とハーフェレ・キーティングは主張しているのです。
つまり「実測値は相対論による計算と一致している」=「相対論は現実を説明できている」となるのです。
さてこうして我々は「ハーフェレ・キーティング実験での実験誤差σが25nsである事」を知りました。
そうなりますと「ドリフト量が0.2Cの場合に生じる10nsのずれ量」は0.4σということになり「実測値と理論値の間には有意な差はない」とハーフェレ・キーティングは結論を出すことになります。
つまりは「ドリフト量0.2Cではハーフェレ・キーティング実験では検出されない」という事になるのです。(注2)
さてではどれほどのずれ量があれば「ハーフェレ・キーティングの注目を引く事になる」のでしょうか?
それは少なくとも1.5σは超えている必要があります。(注3)
つまりはずれ量は37.5nsを超えていないと「ハーフェレ・キーティングの実験では検出できない」=「ハーフェレ・キーティングの注目を引く事にはならない」という事になります。
以上で「検出限界ずれ量」が分かりましたので対応する「検出限界ドリフト量」を計算可能となりました。
さてページが尽きましたので、その計算は次のページに譲る事に致しましょう。
注1:実験誤差σは上の表から次の様にしても求められます。
東回り予測合計での誤差σは±23ns。
対応する実測値での誤差σは±10ns。
従ってこの2つを合わせた総合実験誤差σは
総合実験誤差σ=sqrt(23^2+10^2)≒25.08
こうして実験誤差σ=25nsという値は出てきたのです。
ちなみに東回り予測合計での誤差σは±23nsについては
sqrt(14^2+18^2)≒22.8 から出てきています。
注2:実際にハーフェレ・キーティングの実験では東回りでずれ量が19ns生じていますがその値では1σ以内のずれ量ですので「理論計算と実測値との間には有意な差はない」=「実験値は理論計算を再現している」あるいは「理論計算は実験値を説明できている」とされます。
注3:とはいえ実験屋からみますれば「ずれ量が1σを超えている」と言う実験は「あまり出来の良い実験とはいえないもの」です。
2σのずれ量があった場合は「まあ、この実験はやり直しだな」となるでしょう。
その判断基準からすれば「ずれ量が25nsをこえて37.5ns(=1.5σあたり)になっていたら通常は「なにかがおかしい」と判断される事になります。
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