特殊相対論のよって立つ2つの仮定、あるいは前提、あるいは原理は次の2つの様です。(注1)
1、全ての慣性系は平等である。 あるいは
どの慣性系をとっても物理法則は同じ形で書ける。
2、光速度はCでどのような計り方をしても一定不変である。
それでこの2つから最終的にローレンツ変換が導かれ、そこから
1、時間遅れ則・・・運動している慣性系は時間が遅れる と
2、速度の合成則・・・速度を足し合わせても光速をこえない が出てきます。
それでその次の 3、時間遅れの合成則 は1、時間遅れ則 に2、速度の合成則 を代入すると出てきます。(注2)
3、時間遅れの合成則・・・時間遅れの計算では慣性系の間に優劣がつく。(優先される慣性系が存在する=そこに登場する3つの慣性系は平等ではなくなり、一つの優先される慣性系が現れる。)
そうしてこの「時間遅れの合成則」については何故かみなさん語りません。
しかしながらこの「時間遅れの合成則」は特殊相対論のロジックの中に存在しています。
つまり「全ての慣性系は平等である」という前提から出発した特殊相対論ではありますが、その結論の中に「全ての慣性系は平等ではなく、優先される慣性系がある」と言うものが含まれている事になります。
・・・と言う様な事について具体的な話をしようと思います。
まあそれで「だからなんだ」と言われますと、たとえば「特殊相対論は時間の遅れについては優先慣性系の存在を認めている」がその答えになるかと思われます。
そうしてそれは「特殊相対論は基準慣性系の存在を否定してはいない、という事に結び付いている」と個人的にはそうとらえております。(注3)
注1:多くの方がいろいろと述べられております。以下、その事についての記事になりますが、ご参考までに。
・特 殊 相 対 論 : 4P目 番外編 : https://sci-tech.ksc.kwansei.ac.jp/~okamura/anonymous/lecture/relativity/report/rel-19rep1.pdf
・特殊相対性理論入門 : 3.2 特殊相対性理論の基本原理 : http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~tatekawa.takayuki/Note/SRelativity-v1.pdf
・Part1 特殊相対性理論 : 1.4 特殊相対性原理と光速不変の原理 : http://www.jsimplicity.com/ja_Report_Relativity_html/ja_Chapter1_PrincipleOfSpecialRelativityAndPrincipleOfConstancyOfLightVelocity.html#Section1_4
・相対論講義録2007年度 : 1.1 「相対論的」考え方 : http://www.phys.u-ryukyu.ac.jp/~maeno/rel2007/tokushu.pdf
まあしかしながら、上記の内容については「なるほど、みなさん同じことを言っておられる」程度の認識でよろしいかと思います。
そうして「どの説明が自分にとって分かりやすいのか」で参照する資料を選ばれる事をお薦めします。
注2:この件、内容詳細につきましては :「時間の遅れ」合成則・相対論 : http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=27124 : を参照願います。
注3:基準慣性系の存在は特殊相対論と整合的であり、特殊相対論に違反している訳ではない、という主張になります。
それはまた「基準慣性系の存在を認めても特殊相対論は困らない」という事でもあります。
ちなみに「時間の遅れ」について基準慣性系を認めずにあくまで「全ての慣性系は平等である」と言う立場に立つがゆえに、「双子のパラドックス(加速度運動なし)」で見られるような「お互いが相手の時計が遅れている」と主張する事になり、またそのようなおかしな主張を「正当なものである」と認めることになってしまうのです。
加えてそのような「全ての慣性系は平等である主義」によって「タキオン反電話」に見られるような「光速を超える事ができれば、過去に情報が送れる」などという、当方の観点からすれば「まことにおかしな結論に到達してしまっている」、そうしてそのような結論を「これでいいのだ」と主張する事になっていると見えるのでありました。
PS:相対論の事など 記事一覧
https://archive.fo/D2bm5