特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

「時間の遅れ」合成則

2022-09-14 01:23:53 | 日記
さて基準慣性系にO君がいます。

そのO君に対してアリスはV1=0.8Cで離れていきます。

それと同時にボブがV=0.9Cで同じ方向に離れていきます。

この時相対論の計算によればO君はアリスの時計が0.6掛けでO君の時計より遅れているのを確認します。(注1)

同様にしてO君はボブの時計が0.43589掛けでO君の時計より遅れているのを確認します。(注2)



さてここでアリスからボブをみた時の相対速度V2を求める式 V2=(V-V1)/(1ーV1*V/C^2)の出番です。

このV2の値も計算しますとV2=0.35714C と概算できます。(注3)

このV2のでアリスからボブをみた時のボブの時計の遅れは0.934051となります。(注4)



さてここで通常の我々の常識では

O君はアリスの時計が0.6掛けでO君の時計より遅れているのを確認した、

続いてアリスからボブをみた時のボブの時計の遅れは0.934051であれば

O君からボブをみた時のボブの時計の遅れは

0.6*0.934051=0.56043・・・

となるはずです。

しかしながら実際にO君から直接ボブをみた時のボブの時計の遅れは

0.43589  なのでした。

以上が「三つ子のパラドックス」として当方が問題提起した内容です。



この問題、「速度」と「時間の遅れ」という「扱っている内容については違います」が「2つの値を合成して一つにする」という見方をすれば「テーマとしては似ている」と言えます。



さてそれでO君からボブをみた時のボブの時計の遅れは

sqrt(1-V^2)

でした。

そうして速度の合成則によれば

V=(V1+V2)/(1+V1*V2)

でした。

これを上の式に代入しますと

sqrt(1-((V1+V2)/(1+V1*V2))^2)

となります。

そうしてこれをそのままウルフラム: https://ja.wolframalpha.com/ に入れて整理します。

そうすると「別の形」に答えがでます。

sqrt((V1^2-1)*(V2^2-1)/(1+V1*V2)^2)

=sqrt((1-V1^2)*(1-V2^2)/(1+V1*V2)^2)

=sqrt(1-V1^2)*sqrt(1-V2^2)/(1+V1*V2)



つまり

「O君からボブをみた時のボブの時計の遅れ」

=「O君からアリスをみた時のアリスの時計の遅れ」*「アリスからボブをみた時のボブの時計の遅れ」/(1+V1*V2)

という事になります。



さて、実際、そうなっているでしょうか?

「O君からボブをみた時のボブの時計の遅れ」=0.43589

他方で

0.6*0.934051/(1+0.8*0.35714)

=0.435891・・・

どうやら成立している模様です。

Q.E.D.



注1:sqrt(1-0.8^2)=0.6

但し速度の単位はC=1として規格化している。

注2:sqrt(1-0.9^2)=0.435889・・

注3:(0.9-0.8)/(1-0.9*0.8)=0.3571428・・・

注4:sqrt(1-0.35714^2)=0.9340508・・・


追伸
速度を規格化せずに戻した形では

sqrt(1-V^2/C^2)
=sqrt(1-V1^2/C^2)*sqrt(1-V2^2/C^2)/(1+V1*V2/C^2)

となります。

したがってこれは「ローレンツ因子の合成則」とも言えます。


追伸の2
相対論においては「速度については足し算は通用しない」、「時間の遅れについては掛け算が通用しない」、まあそれだけの事であります。