「素粒子物理学の根幹崩れた? 磁気の測定値に未知のずれ」: https://archive.md/ZHzA5 :2021年4月
まあ新聞記事よいうものは「人の目を引くようなタイトル」が付けられるものです。
とはいえ「ミュオン異常磁気モーメント測定」は歴史のある物語になっていて、なおかつその結末は未だに見えていません。
「現在進行形の物語」なのです。
それに関連した記事はたとえば「その2・素粒子物理学の根幹崩れた? 磁気の測定値に未知のずれ」:2021年10月に当方によって投稿されています。(注1)
その中で実質的にこの話が本格的に注目を浴びだしたのが「ブルックヘブン国立研究所での測定値の報告から」: https://journals-aps-org.translate.goog/prd/abstract/10.1103/PhysRevD.73.072003?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=nui,sc :になっています。(2006年1月)
さてそれで「何故この話が『静止系は客観的に存在する』という話と関係をもつのか?」という事については以下の様になっています。
・「ミュオン異常磁気モーメントの測定」というのは、まあ言ってみれば「円形加速器を用いた素粒子加速実験の派生にあたる」と言えます。
さてそうであればそれまでに行われてきた素粒子実験の伝統に従って「実験の解析に当たっては地上に置かれた実験室系を静止系として扱っている」のです。
そうしてこの実験が何故「素粒子物理学の根幹崩れた?」などと「マスコミが喜びそうなタイトルを持つのか?」といえば「とても精度の高い理論計算値が存在するから」が答えになります。
それで問題は「その高精度の理論計算値と実測値が合わない」という所にあります。
さあそうなりますと「理論がおかしい」のか「実験がおかしい」のか、まあいずれかの結末を迎える、という事になります。
そうして「理論がおかしい」となりますと「素粒子物理学の根幹崩れた」となる訳です。
さてそうなった時に「物理屋さん達が悲しむか?」といえば全く反対の事が起こります。
「今までの物理理論を超えた現象をつかまえた」と「大喜びする」のです。
さてこれが今の関係者たちの状況であれば「一刻もはやく『理論がおかしい』のか『実験がおかしい』のか確定させたい」ということで皆さんおおいにがんばっているのです。
そうしてもちろん大方の方々が期待している結末は「今までの物理理論を超えた現象をつかまえた」となることです。
さあそれはまさに「物理学の新しい時代の到来をつげるものになる」とその様に期待しているのです。
・・・とまあそんな状況なのですが、しかしながら残念な事には「実験の解析に使われている理論計算方法は地上を静止系として扱っている」のです。(注2)
そうしてだれもその事については疑問を持ってはいない様です。
なんとなれば「いままですべての素粒子実験はそのようにして解析されてきたから」ですね。
さてその状況の中に「静止系は地上ではなくて別の所に、客観的に存在している」という情報を入れるとどうなるのでしょうか?
以下、そういうことについての話が続く事になります。
注1:記事中で引用している参考資料を上げておきます。
・ミュオン g-2 / EDMの精密測定を実現するミュオン高周波加速: https://www.jstage.jst.go.jp/article/butsuri/73/8/73_564/_pdf/-char/en :(日本物理学会誌 Vol. 73, No. 8, 2018)
・「ミュー粒子」: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%BC%E7%B2%92%E5%AD%90 :ういき
注2:Thomas-BMT方程式の事です。
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