特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

アリスの慣性系では時間遅れの計算が間違う件

2022-09-20 07:00:53 | 日記

さて「その7・ 再び双子のパラドックス・相対論」:http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26986 :で取り上げた例に戻りましょう。

この時の計算では真ん中にいたO君は基準慣性系にいました。

そうしてアリスとボブはそのO君に対してそれぞれ相対速度0.8Cとー0.8Cで近づくのでした。

そうであればアリスとボブの時計は0.6掛けでO君の時計に対して遅れます。

加えてアリスから見たボブのこちらに向かってくる相対速度は0.97560975Cと計算されます。

「さてそうであれば」と特殊相対論は言います。

「ボブの時計はアリスの時計に対して遅れている」と。

「その程度は

sqrt(1-0.97560975^2)

=0.219512222  である」と。



そうして又この値は「時間の遅れ」合成則をみたすものでもあります。

「時間の遅れ」合成則は言います。

「ボブの時計はアリスの時計に対して遅れている」その程度は

=「O君の時計に対するアリスの時計の遅れ」*「O君の時計に対するボブの時計の遅れ」/(1+V1*V2)

=0.6*0.6/(1+0.8*0.8)

=0.219512195  (注1)



さてそうなりますと本当にボブ君の時計はアリスの時計に対して遅れているのでしょうか?



と、そこでいたづらもののファインマンが登場します。

「おっとO君の位置に大きな鏡を置いたのを忘れていた」と。

ほほう、そうしますとアリスがこちらにボブ君が0.97560975Cで近づいてきている、と見たものは実は自分の影、虚像であった、という事になりますね。

そうであれば「自分の虚像の時計が自分の時計に対して遅れる」などという事はおこりえません。

つまり「ボブの時計はアリスの時計と同じ時刻を常に示す」という事になります。

そうしてこの結論は「その7・ 再び双子のパラドックス・相対論」で示したものと同じになります。



ふむ、そうなると「特殊相対論は間違っている」と??



地球に飛来するミュー粒子の寿命が何時も伸びる、ミュー粒子の時計は何時も遅れる、という事実は「現実の宇宙で起きている事は特殊相対論の内部ロジックを超えている」という事を示していると思われます。



注1:アリスとボブが真ん中のO君に到達しその後はそこから離れていきます。

アリスは左から右に0.8Cでボブは右から左にー0.8Cで飛行します。

そうなった時にO君からボブとアリスに速度ベクトルVとV1を割り当てます。

この時にアリスからボブへの速度ベクトルはV2です。

そうしてベクトル計算では
V1+V2=V と書けます。

速度の加算式では
V2=(V-V1)/(1-V*V1)
です。
従って
V2=(0.8+0.8)/(1+0.8*0.8)
=0.975609756
です。

さてここでアリスからボブへの速度ベクトルを改めてVとし、O君からボブとアリスに向かう速度ベクトルをV1とV2と名前を付けます。

そうやってみますと
(0.8+0.8)/(1+0.8*0.8)式の内容は
V1+V2を相対論的に加算してVを求めている、と読み替える事が出来ます。

それで「時間の遅れ」合成則を使って
「アリスからボブを見た時の時間の遅れ」
=sqrt(1-V^2)
=sqrt(1-V1^2)*sqrt(1-V2^2)/(1+V1*V2)
=「O君の時計に対するアリスの時計の遅れ」*「O君の時計に対するボブの時計の遅れ」/(1+V1*V2)
となる事が分かります。

 

PS:相対論の事など 記事一覧


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