特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

ミンコフスキー パラドックス

2022-11-29 06:31:10 | 日記

パラドックスと言うよりもミステリーと言う方が近い、とは思うのですが、それだとどうにもゴロが悪い感じがしてパラドックスにしました。

まあそれは余談ですが、今回の内容はミンコフスキー図を考え出したミンコフスキーさんの「時間遅れの説明の部分におかしなところがあるのでは」というお話です。


それでミンコフスキー図ですが長いので以下MN図としましょう。

そのMN図ですが理解するのがまことに難しいのです。(個人的な感想です。)

ただ単に速度を表すグラフの横軸と縦軸を入れ替えただけ、まあ形式的には確かにそれだけなのです。

しかしながら「ローレンツ不変量」みたいなものがそこに絡んでくる。

そんなものは速度グラフには登場しませんでした。

ちなみにここで言いている速度グラフとは横軸に時間t、縦軸に移動した距離X(通常はここはYと書くのですがMN図表記に合わせてXとします。)としている「普通の我々がよく知っているグラフ」です。

そのグラフでは速度Vでt時間移動すればその距離はV*t=Xと計算され、原点を通る傾きVの直線で表されます。


それに対してMN図は横軸と縦軸を入れ替えて、但し時間tには光速Cを掛けてそれを縦軸にしています。

こうすると横軸と縦軸のディメンションが距離(メートル)になりそろいます。

まあMN図がやっている事はそれだけです。


それで通常の速度グラフは横軸にとった時間tを原因としてその時間の間、速度Vで移動したから距離X(=V*t)だけ移動した、と言う様に我々は理解します。(注1)

そうしてこれが我々の持っている地球上での生活体験に基づいたこの世界に対する通常の認識方法です。

しかしミンコフスキーさんはそれをひっくり返しました。

それも180度変えたのではなくで、文字通り「90度変えた」のです。


今まで我々が「速度グラフだ」と思っていたものが横軸と縦軸を入れ替えただけで「事象のグラフ」になってしまったのです。

そうしてそのような世界認識の仕方は今まではありませんでした。

なぜならそれは「通常の生活体験からは出てこない時空連続体に基礎をおく世界認識の方法」でありますから。


通常の我々の世界認識は空間3次元+時間1次元の3+1=4次元という時間、空間の認識の仕方に基礎を置きます。

それでその場合は時間と空間は独立していて、絡み合う事はありません。

その世界認識は安定していて、そこからガリレイ変換が出てきます。

そうして地球上の生命体はそのように世界を認識する事で何の問題もなく地球と言う環境に適応してきました。

まあ状況はそんな感じでした。


しかしそこにアインシュタインが登場して時間と空間が絡み合っている事を主張しました。

そうしてミンコフスキーさんはその状態をMN図で「目に見えるように」してしまったのです。

こうしてミンコフスキーさんによって初めて「我々が生活している場所が時空連続体である事」が明らかになったのです。

加えてこのMN図は特殊相対論を理解し展開する上で強力なツールになりました。


そうであればなるほど「形式的には、そうして基本的には速度グラフの横軸と縦軸を入れ替えただけのMN図」ではありますが、「理解するのに抵抗があり難しいのは当たり前」という事になります。

何故ならば「我々の持っている生得的な感覚器官に対応した世界認識のやり方とは異質なもの」であるからです。


注1:横軸が原因で縦軸に結果を持ってくる。

Y=aX+b の世界であります。

そうしてこれは長年にわたる学校教育のたまものであり、そのように我々は刷り込まれております。

従いまして、そのような目でMN図を見ますと「原因が距離で結果が時間?? 分からん。」とこうなります。

それではMN図をどう見たらいいのか?

当面は「横軸が原因で縦軸が結果」と言う見方はあきらめていただき「自分を中心とした(=原点に自分を置いた)時にそこから見た時空(=世界)の中で起きている事象(=イベント)の位置を空間座標(=X)と時間座標(=t*C)であらわしているもの」程度の認識で良いかと思われます。

ちなみにその時に観察者に対して空間そのものは静止しており、イベントは静止している~運動している状態までを含みます。


追記
特殊相対論の結果としての「時間の遅れ」や「ローレンツ短縮の数式」は単純な形をしています。

そうして又特に「時間の遅れ」について言えば「光速度一定の前提条件で光時計を使う事」で高校生レベルで十分に理解可能であり、時間遅れの計算式を算出できます。(注2)

さてそうであれば特殊相対論は我々にとっては一見、簡単そうに見えるのです。

従いまして特殊相対論に賛成、反対を問わずに根強い人気を今に至るまで持っている、と言えます。

それに対して一般相対論はその数式の難解さからそこまでの一般人受けはしていない様であります。


注2:「その3・ マイケルソン・モーレーの実験とローレンツ短縮・相対論」 : https://archive.md/eOvGW : :を参照願います。

 

PS:相対論の事など 記事一覧


https://archive.ph/nCwxW