特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

2-23・時間遅れの測定:ハーフェレ・キーティングの実験の2

2023-11-15 01:17:23 | 日記

 https://web-archive-org.translate.goog/web/20170331121014/http://www.personal.psu.edu/rq9/HOW/Atomic_Clocks_Predictions.pdf?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc :

サイエンスに掲載された元記事はこれ。

記事は2つあり、前ページで訳したのは最初のもの。

と言う事で、2つ目のものを訳出しておきます。

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「世界一周セシウムビーム時計:観測された相対論的時間の獲得」

Around-the-World Atomic Clocks:Observed Relativistic Time Gains

『要約: 1971年10月、商業ジェット便で世界中を飛行した4つのセシウムビーム時計は、1回東方向と1回西方向に飛行し、方向に依存した時間差を記録しました。これらの時間差は、従来の相対性理論の予測と良好な一致を示しています。アメリカ海軍観測所の原子時計スケールに対して、飛行時計は東方向の飛行中に59 ± 10ナノ秒の損失を記録し、西方向の飛行中に273 ± 7ナノ秒の増加を記録しました。ここでの誤差はそれぞれの標準偏差です。これらの結果は、有名な時計の「逆説」をマクロの観点から明確に解決する実験的な証拠を提供します。

科学において、関連性のある実験的事実は理論的な議論を優先します。アインシュタインの一般相対性理論の従来の解釈(J)に従って、マクロの時計が時間を記録するかどうかについて実証的な情報を提供しようと、セシウムビーム原子時計4台を商業ジェット便で世界中を飛行させました。最初に東方向、次に西方向への飛行を行い、それから各旅行中に記録された時間をアメリカ海軍観測所の基準原子時計スケールであるUSNO(2)の対応する時間と比較しました。理論的な予測(1)から予想されていた通り、飛行時計は東方向の旅行中に時間を失い(遅くなる)、西方向の旅行中に時間を得ました(速くなる)。さらに、時間の差の大きさは予測値と合理的に一致し、それについては以前の報告(1)で議論されていました。この2回目の報告では、飛行アンサンブルの時間差データを提供し、相対論的な時間差がどのように抽出されたかを説明します。コンパクトで携帯可能なセシウムビーム原子時計の開発(3)により、相対性の陸上試験が可能になりました。

飛行中の時計による理論。時間間隔の基本単位である秒は、現在、定義上、"理想的な"セシウムビーム周波数標準(2、3)の原子遷移の周波数の累積期間が9,192,631,770であるとされています。これらの時計は、自然の原子遷移の周波数によって規制されているため、特に133Cs原子の基底状態のハイパーファイン遷移が非常に明確に定義されています。

相対性理論の理想的な標準時計に近づこうとするものの、実際のセシウムビーム時計2台は、通常、同じ時間を正確に保たない。実験室内にあっても、一般的には1秒あたり1/t秒の大きな時間差として現れる、系統的な速度(または周波数)の違いがある。実験で期待される相対性の時間差は通常、1日あたり0.1秒角のオーダーであり(1, 4)、そのような時間差(または速度の違い)は考慮する必要がある。

さらに、セシウムビーム時計の相対速度は厳密に一定ではないというより深刻な複雑性がある。ビーム管内のショットノイズに主に起因する速度の短期的な変動に加えて、セシウムビーム時計は速度の小さなが、よりまたは少なくとも比較的明確な準恒久的な変化を示す。これらの速度変化が通常は優れた時計では2日または3日以上離れて発生する。一部の時計は実験室で速度の変化なしに数ヶ月間動作したことも観察されている。

速度の予測不可能な変化が、実験結果における主要な不確実性を生み出す。しかし、これらの変化の性質のため、観測された時間差に対するその影響はデータ分析においてかなり取り除かれる。通常の条件下では、相対速度の変化は独立して発生し、つまり、1つの時計の速度変化と別の時計の速度変化の間に既知の系統的な相関はない。したがって、同じ方向に同じ量だけ速度を変える2台以上の時計が同時に発生する可能性は非常に低い。

これらの速度変化のランダムで独立した性格のため、時計のアンサンブルの長期平均速度は個々のメンバーの速度よりも安定している。1971年9月25日の0h U.T.から始まり、データ期間中には5000以上の時間差を記録した。図1は、データ期間全体にわたるMEAN(USNO)に対する時間差データを示しており、データ期間は636時間続いた。図1のラベルは対応する時計のシリアル番号であり、トレースは対応する時計とMEAN(USNO)の時間差を示しています。もちろん、飛行中にMEAN(USNO)との比較は不可能でした。すべての時間間隔の比較には、まったく同じ電子的な配置が使用されました。・・・』

翻訳担当 主にチャットGPT3.5

なお表およびグラフは原論文を参照されたい。

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前のページとこのページの結果は英語版ういき「ハーフェレ・キーティングの実験: https://archive.md/cEK7X :にまとまっています。

前のレポートは「どうやって相対論を使って遅れ時間を計算したか」であり、上記のレポートは「どうやって実際に測定したか」になっています。

それで一応ういきから結果を引用しておきます。

 

   ナノ秒の獲得、予測           実測  差分σ

   重力      運動学的な  予測合計 測定値 
  (一般相対性理論) (特殊相対性理論)
東回り  +144±14   −184±18    −40±23  −59±10  0.76σ
西回り  +179±18   +96±10    +275±21  +273±7  0.09σ

単位 ナノ秒 (マイナスが時間の遅れをしめす。プラスは時間の進み。)

 

重力の効果を見る限り「西回りの航路の方が24%程飛行時間が長かった」様に見えます。

しかしながら『東回りの飛行は1971年10月4日に19時30分 U.T.で開始し、65.4時間続き、そのうち41.2時間が飛行時間でした。

西回りの飛行は翌週の10月13日に19時40分 U.T.で開始し、続いて80.3時間かかり、そのうち飛行時間は48.6時間でした。』

これは前のページからの引用ですが、これによると実際は西回り飛行時間は18%ほど東回りよりもかかった様です。

そうなると西回りの重力による効果のオーバー分6%は「東回りに比べて西回りの方が平均高度が高かった」という事になります。

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地球そのものが西から東に向かって自転しています。そうであれば「太陽は東から上る」のです。

さてそれで、注目すべきは「運動している原子時計の時間の遅れが実際に測定できた」という所にあります。

つまり「特殊相対論が主張している」様にsqrt(1-V^2)の割合で「静止系にある時計よりも運動している時計は遅れる」のです。

とはいえ「西回りの時計は進んで」います。

さてこれはどうやら『最初に東方向、次に西方向への飛行を行い、それから各旅行中に記録された時間をアメリカ海軍観測所の基準原子時計スケールであるUSNO(2)の対応する時間と比較しました。』にありますように「アメリカ海軍観測所の基準原子時計スケールであるUSNO」を基準にしているためだと思われます。

つまりは「地上に設置された原子時計は静止系に対して地球の自転運動で生じる分だけ時間が遅れている」のです。

従ってその「地上に置かれた時計基準」でみますと「地球の自転を打ち消す方向=西回りに飛行する」と静止系に対しては時計の運動の速度が落ちる、従って西回りの時間の遅れは少なくなるのです。

この為に「地上に設置された時計」に対しては「西回りの時計は時間が進むように見える」のです。

 

まあ話はそういう訳なのですが、さて「ここで登場している静止系」と言うのは一体なんでしょうか?

前のページの記述によると「地球の中心が静止慣性系にある」という前提で予測計算がされています。

とはいえその報告の最後には次のような記述がありました。

『実際、地球-月系の重心が太陽の周りを自由落下しており、中心が地球ではないため、より正確な計算にはこの効果を含めるべきです。ただし、我々の実験の精度では、式4で保持された支配的な効果以外の効果を検出することは不可能である可能性が高いです(10, 11)。』

つまりは「地球が宇宙の中心である」という「天動説」に基づいて理論計算をしているが、「もちろんこの前提は成り立ってはいない」と認めているのです。

そうして「少なくとも太陽を静止慣性系に取った理論計算が必要だ」としています。

まあしかしながら「太陽が宇宙の中心」でもありません。

そうしてまた「銀河系が宇宙の中心でもない」のです。

さてそうなりますとここで登場する静止慣性系に一番ふさわしいのは「CMBレストフレーム=観測可能な宇宙に存在する恒星系の平均位置が基準慣性系である」という事にするのが妥当な所となります。

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「ハーフェレ・キーティングの実験」の意味は「実物の時計を使った特殊相対論の検証」という所にあります。

つまり「実物の時計をつかっても時間遅れは測定できる」のであってそれはつまり「時間の遅れは客観的な事実である」という事になります。

とはいえ「円運動を使っている」ので「円運動の中心にある時計に対してその周りをまわっている時計は時間が遅れるという事を証明した実験である」となります。

そうしてこの円運動については「時間の遅れはお互い様」ではなくて「時間の遅れは一方的」なのです。

さてこの事は実は「時間の遅れはお互い様」論者には一つの不利な実験結果であるといえます。

なんとなれば「円運動の半径をどれほど大きくしても中心の周りをまわっている時計の時間は遅れるから」です。

そうしてこの関係は反転する事はないのです。

それはまた「時間のおくれは主観的な現象=ただそのように見えるだけ、とは違う」という事の証明でもあります。

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PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/IUtaz