さて話しを続けましょう。
腕の長さがCであるマイケルソン・モーレーの干渉計を考えます。
腕はX軸とY軸方向にのびています。
干渉計は静止系に対してX軸方向に0.8Cで移動している。
その時にY軸方向に原点からでた光は干渉計に立っている観測者からみれば1秒でY端にある鏡に到達し合計2秒で原点まで戻ってくる事を確認します。
同様にしてX軸方向に原点からでた光は1秒でX端にある鏡に到達し合計2秒で原点まで戻ってくる。
干渉計に立つ観測者にとっては「それは当たり前の事」であります。
それで問題はこれを静止系から見た時にはどう見えるか、ということですね。
さてY軸方向に飛んだ光の状況を絵にかくとX軸方向に0.8C、でY軸方向の腕の長さがCだから光の光路は直角三角形の斜辺となり、その斜辺の長さをLとすれば
L=sqrt(C^2+(0.8C)^2)
となります。
そうすると光路長は2Lですから、光の走行時間Sは
S=2L/C
=2*sqrt(C^2+(0.8C)^2)/C
=2.56125(秒)
さて次はX軸方向です。この計算は前のページにあったように光が進行方向に進む時(原点を出た光がX端の鏡に向かう時)は走行時間はC/(C-0.8C),鏡に反射して原点に戻る時はC/(C+0.8C)となります。
C/(C-0.8C)=5
C/(C+0.8C)=0.555・・・・
従って合計で5.555・・・(秒)
それで、このままでは原点を出てX軸とY軸に分かれて進んだ光は同時に原点に戻っては来ません。
つまり「実際には確認されなかった干渉縞が現れる事」になります。
それでこれでは実験結果を説明できませんから、ローレンツ短縮の導入となります。
それで0.8Cに対応するローレンツ短縮は
sqrt(1-0.8^2)=0.6
ですから、X軸方向の光の走行時間は行きが
0.6C/(C-0.8C)=3
戻りが
0.6C/(C+0.8C)=0.333・・・
となり合計で3.333・・・(秒)となります。
さてそれで、残念な事にはこの数値では
3.333・・・(秒)≠2.56125(秒) であり
上記計算のY軸に飛んだ光の走行時間と合わないのです。
まあそういう訳でこれがマイケルソン・モーレー干渉計の計算で当方が迷い込んだパズルとなります。
さてそれで、それでは上記の議論のどこに誤りがあったのでしょうか?
時間がある方はどうぞトライしてみて下さい。
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