さて何故こんなめんどくさい再検討・第2の地球モデルを作ったのか、と言えば
1、「ハーフェレ・キーティングの実験」の内容の再確認の為
と、それともう一つは
2、作り上げた「第2の地球モデルを使った静止系の検討の為」
という2つの狙いがあったのです。
そうして1番目の狙いは前のページで実行できました。
ハーフェレ・キーティングが特殊相対論の計算部分をどうやったのか、ほぼトレースできたと見てよいでしょう。
そのポイントはハーフェレ・キーティングが言っている様に
『この理論の要点を簡単に説明することが適切です、特にこのような実験が意味のある結果を生み出す能力についてのいくつかの混乱があるため(5)。特殊相対性理論は、動く標準時計が、慣性基準空間で静止している(実際または仮想の)座標時計と比較して、記録する時間が少なくなることを予測しています。低い座標速度(u^2 << c^2)の場合、移動座標時計と基準座標時計によって記録された時間の比率は、(1 - u^2/2c^2)に簡約されます。ここで、cは光速です。
地球が回転しているため、地表に静止して配置された標準時計は、非回転の(慣性の)空間の座標時計の候補としてこの場合には適していません。それにもかかわらず、地球上の時計の相対的な時刻の振る舞いは、基礎となる非回転(慣性)空間の仮想的な座標時計を参照することによって評価できます(6)。
この目的のために、北極点から遠く離れた場所から見下ろす非回転(慣性)空間の観察者が地球(回転している)を見た場合を考えてみましょう。赤道上の地表に固定された時計は、非回転空間に対して速度RΩを持ち、したがってこの空間の仮想的な座標時計に対して1 - R^2*Ω^2/2c^2の比率で遅れています。一方、赤道面近くで地球を周回する飛行時計は、地上速度vを持ち、したがって対応する時間比率1 - (RΩ + v)^2/2c^2で遅れています。
したがって、τとτ0は完全な周回中に飛行時計と地上基準時計によって記録された対応する時刻であり、それらの時間の差は、一次の近似では次のように表されます。
τ - τ0 = (2RΩv + v^2) τ0 / 2c^2 ・・・(1)
したがって、地球の回転方向(東向き、v > 0)での周回は時間の損失を生じ、地球の回転方向に逆らって(西向き、v < 0)の周回は飛行時計に時間の利益をもたらすべきです(|v| ~ RΩ)。』
にありました。
そうしてハーフェレ・キーティングが言っていることに沿った形で「第2の地球モデル」がそれなりに完成しました。
しかしながら出来上がったモデルでは
「地球の自転の答えは9.50*10^-7
飛行機の対地速度が8.26*10^-7でしたので、それよりは地球の自転は少し早いのです。」
となっていました。
つまりこれは「地球が一回転する間に飛行機は静止系に対してほぼ2回転する」という状況になっている事を示しています。
それでこの「第二の地球モデル」を使う事によって「地球が静止系に対してどれほどの速度までならドリフトしていることが可能になっているのか」を検討したいのです。
それはつまり「ハーフェレ・キーティングは地球は静止系に対してドリフトしていない」として理論計算しました。
その結果は「実験値と理論計算がそれなりの精度で一致していた」=「ハーフェレ・キーティングの主張=相対論の検証がこの実験でできた」になっていました。
しかしながら実験と理論計算にはそれなりの誤差が発生しており、その誤差範囲に地球が静止系に対してドリフトしていた量が入っていた場合はハーフェレ・キーティングの実験ではそのドリフト量が検出される事はなく従って「地球は静止系に対してドリフトしていない」となってしまっている可能性があります。
つまりは「アインシュタインの主張=北極上空に静止系がある」を認めた事になります。(注1)
しかしながらじつは「地球は静止系に対して検出量以下のドリフト量をもってドリフトしていた」のです。(・・・と当方は従来より主張しています。)
さてそうであれば「ハーフェレ・キーティングの実験で検出されない地球の静止系に対する限界のドリフト量はどれぐらいになっているのか?」という質問ができます。
従ってここではその質問に対して「計算を行って答えを確認する事」が目的となります。
さてそれでそのためには「地球が一回転する間に飛行機は静止系に対して正確に2回転する」という条件が計算を行う上で必要になります。
なおかつウルフラムでの積分計算をうまく行うために地球の自転速度9.50*10^-7を少しくりあげて10.0*10^-7とします。
そうしてここでは「地球の自転速度10.0*10^-7」を優先させて「飛行機の対地飛行速度も10.0*10^-7」とします。
こうすることで「地球が静止系に対して一回転する」間に「飛行機は静止系に対して2回転する」という事になります。
さてそれで
地球の自転速度uを10.0*10^-7とした時に44.9時間の飛行時間で生じる基準時計(=赤道上の時計)の時間おくれΔT2は
ΔT2=44.9(h)*(1-sqrt(1-u^2))
=44.9*(1-sqrt(1-(10*10^-7)^2))
単位をnsにしたいので時間(h)をnsに換算すると上記は
44.9*60*60*10^9*(1-sqrt(1-(10*10^-7)^2))
https://ja.wolframalpha.com/input?i=44.9*60*60*10%5E9*%281-sqrt%281-%2810*10%5E-7%29%5E2%29%29
答えは
80.82ns
地球が自転している場合の東回り飛行に生じる時間遅れΔTは
ΔT=44.9(h)*(1-sqrt(1-(地球の自転速度u+飛行機の対地速度)^2))
=44.9(h)*(1-sqrt(1-(2*10.0*10^-7)^2))
単位をnsにしたいので時間(h)をnsに換算すると上記は
44.9*60*60*10^9*(1-sqrt(1-(2*10*10^-7)^2))
https://ja.wolframalpha.com/input?i=44.9*60*60*10%5E9*%281-sqrt%281-%282*10*10%5E-7%29%5E2%29%29
答えは
323.28ns
したがって
ΔTーΔT2=242.46ns
「ハーフェレ・キーティングの実験」ではこの数字は182(ns)でしたが飛行機の対地飛行速度が増加した分etcで時間遅れ量が増えています。
さてそれでこの計算では地球は客観的に存在する静止系に対してドリフト速度がゼロである、としています。
しかしながら実際は地球は客観的に存在する静止系に対してドリフト速度を持っています。(・・・というのが当方の主張です。)
その値は: その2・ 円運動を使った基準慣性系の判定 :によれば0.001程度と想定できます。
さてまずはこの0.001というドリフト速度を「ハーフェレ・キーティングの実験」で検出可能かどうかを確認しましょう。
諸式運用は: ドリフトしながら円運動する場合の時間の遅れ :に従いますので、そちらを参照ねがいます。(注2)
まずはドリフトしていない時の計算をします。
しかしながら「ドリフトする場合の計算も行う」ので被積分関数はこういう形になります。
sqrt(1-((20*10^-7*cos 2x)^2+(20*10^-7*sin 2x)^2))-sqrt(1-((10*10^-7*cos x)^2+(10*10^-7*sin x)^2))
最初のsqrt(1-((20*10^-7*cos 2x)^2+(20*10^-7*sin 2x)^2))の項が「飛行機の時間遅れ」を示しています。
2番目のsqrt(1-((10*10^-7*cos x)^2+(10*10^-7*sin x)^2))の項が「赤道上の時計の時間遅れ」を示しています。
それでこのまま積分してもいいのですが、上記の被積分関数を簡約しておきます。
答えは定数になっています。(実際の値はウルフラム表示を参照のこと)
実は上の被積分関数は
sqrt(1-(20*10^-7)^2)-sqrt(1-(10*10^-7)^2)
をsinとcosで展開したものなのです。
答えは定数になっています。(実際の値はウルフラム表示を参照のこと)
見比べると分かるのですが、定数の値は同じになっています。
実際ウルフラムに
sqrt(1-(20*10^-7)^2)-sqrt(1-(10*10^-7)^2)=sqrt(1-((20*10^-7*cos 2x)^2+(20*10^-7*sin 2x)^2))-sqrt(1-((10*10^-7*cos x)^2+(10*10^-7*sin x)^2))
と問いかけますと
答えは「真」、つまり「恒等式になっている」となります。
やりたいことはドリフトを表現した被積分関数をゼロから2πまで積分してそれを2πで割ることで「時間遅れの割合を出す事」になります。
そうして上記で確認できたことは「ドリフトなしの場合、sinとcosで展開した被積分関数式は展開する前の式と同じ内容を示す式になっている」ということでした。
そうであれば「準備したsinとcosで展開した被積分関数式は正しい」という事が確認できましたので後はこのsinとcosで展開した式にドリフト量を加えて積分すれば答えが分かる事になります。
さてそれでいよいよ次のページ以降ではこのsinとcosで展開した式にドリフト量を加えて計算を行っていく事になります。
ちなみに上記の主張は「地球とその周りを飛んでいる原子時計を使ったハーフェレ・キーティングの実験」というのは実は「地球をプローブ(=検出器)として用いた客観的に存在している静止系に対する検出実験になっている」というものでもあります。
注1:アインシュタインの言うように、あるいは「ハーフェレ・キーティングが行った計算の様に」「北極上空に静止系がある」としたならばその静止系は地球と一緒に太陽の周りを公転している事になります。
さてそうなりますとその静止系は確かに「北極に対しては静止している」のですが太陽に対しては静止していない事になります。
あるいは「天の川銀河系の中心に対しては静止していない」という事になります。
つまり「そうやって設定された静止系はいかにも人為的に計算の為に都合よく設定されたものである」という事になるのです。
さあそうなりますと問題は「何故その様な人為的に設定された静止系を使った計算がハーフェレ・キーティングが行った実験結果を説明できているのか?」という事になるのです。
ちなみに『地球は太陽の周りを秒速29.8kmで公転し、太陽は天の川銀河の周りを秒速230kmで周回しているが、CMBと比較したときの太陽系が動く速さは秒速370kmとなる。さらに、天の川銀河がCMBを突き抜けて進む速さは秒速600kmとなる。』との事。
詳細は: https://archive.md/PEGI6 :を参照されたい。
加えてGPT3.5によれば『天の川銀河系に対する宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の相対速度は、おおよそ約552 ± 6 キロメートル毎秒です。』。
注2:ドリフトしながら円運動する場合の時間の遅れ :から以下、引用。
『それで円運動速度を光速Cから0.8Cにまで落としますと
(1- ((0.8cos x-0.02)^2+(0.8sin x)^2))
https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%281-+%28%280.8cos+x-0.02%29%5E2%EF%BC%8B%280.8sin+x%29%5E2%29%29
はい、これであればルートの中はマイナスに落ちません。
それでは積分しましょう。
sqrt(1- ((0.8cos x-0.02)^2+(0.8sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分
https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%28%280.8cos+x-0.02%29%5E2%EF%BC%8B%280.8sin+x%29%5E2%29%EF%BC%89%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86
答えは3.76595・・
ドリフトしていない時は
sqrt(1- ((0.8cos x)^2+(0.8sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分
https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%28%280.8cos+x%29%5E2%EF%BC%8B%280.8sin+x%29%5E2%29%EF%BC%89%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86
答えは3.76991
今回0.8Cでの円運動の場合は、0.02Cのドリフト成分があると時間は0.9989496・・≒0.11%遅れる、という計算結果になりました。
ちなみにこの計算例では「相対論が言う所の『速度の加法則』は考慮されていない」という事に注意が必要です。』
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