以下「ハーフェレ・キーティングの実験」を再確認、再検証します。
『東回りの飛行は1971年10月4日に19時30分 U.T.で開始し、65.4時間続き、そのうち41.2時間が飛行時間でした。
西回りの飛行は翌週の10月13日に19時40分 U.T.で開始し、続いて80.3時間かかり、そのうち飛行時間は48.6時間でした。』
以上の「世界一周旅行」は「赤道上空を飛行したもの」と解釈し直します。
そうしてまた飛行時間についても「東回り」と「西回り」の飛行時間は同じであった、とします。
つまり「対地飛行速度は同じだった」とするのです。
さてその場合飛行時間ΔTは
ΔT=(41.2+48.6)/2
=44.9時間
となります。
さてこの時この飛行機は地表すれすれ、高度1mmで飛行しました。
で、地球の半径は6378.1km
従って一周では40074.8kmです。
従って飛行速度は892.5km/h です。
それで赤道上に設置された基準時計を基準にした場合に
ナノ秒の獲得、予測 実測 差分σ
重力 運動学的な 予測合計 測定値
(一般相対性理論) (特殊相対性理論)
東回り +144±14 −184±18 −40±23 −59±10 0.76σ
西回り +179±18 +96±10 +275±21 +273±7 0.09σ
単位 ナノ秒 (マイナスが時間の遅れをしめす。プラスは時間の進み。)
という結果を得ました。
それでここでは「特殊相対論での検討」ですから
東回り -184ns
西回り +96ns
という事になります。
さて以上の結果よりここでは「地球の自転速度を求める」という事になります。
「いや、それは24時間で一周だろう?」ですって。
はい、実際はそうなんですが「飛行機の飛行を簡略化・理想化」し、また「基準時計の位置も赤道上にした」のでそのつけが「地球の自転速度に回る」という事になります。
つまり「そのようにハーフェレ・キーティングの実験」を「第2の地球で行った」とするのです。(注1)
地球の赤道上に置かれた時計の「北極の上空に設定された静止系から見た時の回転速度」をuとしましょう。
ちなみに「例によって」速度は光速Cで規格化します。
それで「第2の地球」も西から東に向かって自転しています。
その為に赤道上に置かれた時計はsqrt(1-u^2)の割合で時間が遅れます。
さてそれで飛行機の対地飛行速度は892.5km/hでした。
で、それを秒速に戻すと
247.9m/秒
光速Cで規格化すると
u=8.26*10^-7
となります。
飛行時間ΔTは44.9時間でした。
そうすると「地球が自転していない」とすると飛行機に発生した時間遅れΔTは
ΔT=44.9(h)*(1-sqrt(1-(8.26*10^-7)^2))
=1.53*10^-11(h)
=5.51*10^-8(sec)
=55.1(ns)
しかしながら実際は東回りの飛行機ではこの時に-184nsの「基準時計基準での時間の遅れ」が発生していたのでした。
地球の自転速度をuとした時に44.9時間の飛行機の飛行時間で生じる基準時計(=赤道上の時計)の時間おくれΔT2は
ΔT2=44.9(h)*(1-sqrt(1-u^2))
地球が自転している場合の東回り飛行に生じる時間遅れΔTは
ΔT=44.9(h)*(1-sqrt(1-(u+8.26*10^-7)^2))
で
ΔTーΔT2=182(ns)
となっています。
182(ns)=5.06*10^-11(h)
ですから
5.06*10^-11=44.9*(1-sqrt(1-(u+8.26*10^-7)^2))-44.9*(1-sqrt(1-u^2))
従って
1.126*10^-12=(1-sqrt(1-(u+8.26*10^-7)^2))-(1-sqrt(1-u^2))
はい、これを解けば地球の自転速度が出ます。
ウルフラムに入れて
答えは9.50*10^-7
飛行機の対地速度が8.26*10^-7でしたので、それよりは地球の自転は少し早いのです。
西回りも確認しておきましょう。
西回りで生じる飛行機の時間の遅れΔT3は飛行機が地球の自転方向とは逆に飛ぶことを考慮して(=飛行機は静止系に対して地球の自転速度より遅い速度で移動する事になる)
ΔT3/44.9=(1-sqrt(1-(u-8.26*10^-7)^2))-(1-sqrt(1-u^2))
で
u=9.50*10^-7
を代入すれば求まります。
従って
(1-sqrt(1-(u-8.26*10^-7)^2))-(1-sqrt(1-u^2))にu=9.50*10^-7を代入
答えはー4.436*10^-13=ΔT3/44.9(h)
単位をnsに変換すると
ΔT3=ー4.436*10^-13*44.9*60*60*10^9
答えはー71.7
時間遅れがマイナスですので時間が進んでいます。
従ってハーフェレ・キーティングの実験の表現に直すと
+71.7(ns)
実際の「第一地球でのハーフェレ・キーティングの実験」では西回りは
西回り +96ns
まあ「当たらずといえども遠からず」ですね。
東周りの数値を「第一地球でのハーフェレ・キーティングの実験」に合わせましたから、そのしわ寄せが西回りに出ていますが、「桁違いにはなってはいない」様です。
こうして「ハーフェレ・キーティングの実験」の「第2地球版モデル」がそれなりに完成したのでした。
注1:ただしこの「第2の地球の公転軌道」は「地球の公転軌道と同じ」なのですが、「公転位置が太陽をはさんでちょうど反対側にある」為、「いまだにその存在は確認できてはいない」のです。
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