特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その2・ ローレンツ変換を調べてみた

2022-12-21 05:22:56 | 日記

ローレンツ変換F(V:t,X)は慣性系Kでの事象点(t,X)を慣性系K'の事象点(t',X')へと変換する。

たしかにローレンツ変換F(V:t,X)はそういうものです。(注1)

それでその場合のそれぞれの慣性系の時空座標はそれぞれの慣性系に立つ観測者にとっては直交座標になっています。

そしてここでの慣性系ですが、これを座標系ととらえるならば「等速直線運動をしている座標系」という事になります。

そうして「等速直線運動をする為」にはその運動をする空間と時間=時空がその等速直線運動をする前に存在している必要があります。



そうであればその最初の時空を名づけて「基準慣性系」と呼ぶのです。

その「基準慣性系」は「物理的な存在」であってその中で物質と座標系は「等速直線運動をすることが出来る」のです。

そうしてまたその時空そのものも「等速直線運動をする」のではないのですが「慣性系」と呼ばれます。

ローレンツ変換はその基準慣性系Kに対して速度Vで等速直線運動をする慣性系K'から見た時に慣性系Kの事象点(t,X)を慣性系K'の事象点(t',X')へと変換する働きをします。



それで物事の始まりにある基準慣性系ですが「一様、等方である」とされます。

「一様」とは「ここにある様にそこもその様である」という事を示します。

つまり「どこをとってもその時空は同じであって、違いはない」という主張になります。

次に「等方である」とは空間に特定の方向性がない、という事です。(注2)

そうであれば「観測者が自分に都合の良いように自由に座標軸X方向を設定する事が可能になる」のです。

しかしながら時間軸 t については我々は自由に設定する事はできない模様です。

つまり「時間軸は等方ではない=過去から未来へと流れる方向が定まっている」という事になります。

そうしてこのあたりが量子力学の前提とは異なっている様です。


その様な基準慣性系=時空に空間軸3つ、時間軸1つからなる、各辺が単位長さ1の「4次元の立方体」を設定します。

これがこの時空の1単位ブロックとなります。

このブロックを縦、横、高さ、時間軸方向に無限に積み重ねるとそこに4次元のジャングルジム=直交座標が現れます。

こうして基準慣性系の座標設定が出来上がります。

時空がその様に設定されますとその時空は「一様、等方」であって、その中で物質と座標系K'は「等速直線運動をすることが出来る」様になります。(注2)



さてそれで、ローレンツ変換に要求される事は「K系で等速直線運動していた事象についてはK'系に写像しても等速直線運動している事」であります。(注3)

つまり「慣性運動は慣性運動に転写される」のでなくては困ります。

そうしてその為にはもともとのK系の時空が持っていた性質=「一様、等方である」がローレンツ変換されたK'系でも再現されている事が必要になります。

それはつまり変換されたK'系の座標が歪を持たない事=座標軸が直線で構成される事が必要となります。(注2)

加えて変換の時には座標系を構成する単位ブロックの4次元体積が変換前のK系の単位ブロックと同じである事が必要となる様です。

それが達成されますとK系で慣性運動していた事象はK'系に写像されても慣性運動する事が保障される模様です。(注4)



注1:
相対速度Vでのローレンツ変換をF(V:t,X)と書くならば

K系からK'系への事象点(t,X)の写像は

(t',X')=F(V:t,X)  と表現する事ができます。

同じようにしてローレンツ逆変換F(-V)も

(t,X)=F(-V:t',X')=F(-V:F(V:t,X))

と書けます。

注2:
たとえば地球の表面では左右は等方的であるが、上下の区別が存在する。

これは地球表面の時空が「一様、等方」ではなく「歪んでいる事の証拠」となります。

つまりその時空は直交座標にはなっておらず、座標系を構成している単位ブロックが「4次元立方体からずれている」と言うことを示しています。

それで「高さ方向については空間は一様ではなくて違いが存在する」ということになるのです。

さてそうであれば横方向に水平に発射された光は「地表方向に曲がる」のです。

それを地球上に立つ我々は「光に重力が働いた」と認識します。

しかしそれは相対論に言わせれば「地表の時空が一様、等方ではない」となります。

それでその様な時空では「等速直線運動をすることが出来ない」という事になるのです。

注3:
より一般的に慣性系Aから慣性系Bへの事象の写像を考えた時に、2つの慣性系の相対速度Vに対応して、慣性系Aの中の運動の様子が慣性系Bでは違って見えるのは当然ではありますが、地球上での生活体験によれば「慣性系Aで等速直線運動していた事象は写像先の慣性系Bにおいても等速直線運動しているはずだ」という感覚があります。

そうしてこの性質はローレンツ変換でもガリレイ変換でも同様に成立しています。

注4:
それで以下「ミンコフスキーの4次元世界」 : https://archive.ph/Cvvyf :の「(5)座標値の変換(“尺度曲線”)」にある[補足説明2]を参照しますと、ローレンツ変換時に元のK系の単位ブロックの4次元体積(=ミンコフスキー図は2次元ですので面積になりますが、)それがK'系へのローレンツ変換で不変に保たれている事が説明されています。

座標のローレンツ変換 : https://archive.ph/964yU :

黒色の格子を青色の格子にひし形に押しつぶす時に、形はひし形になるのですが、その面積は元の正方形の面積の値を保ったままで押しつぶすことが条件になっています。



そうしてまたガリレイ変換においてもこの単位ブロックの面積が変換の前後で変わらない、という状況はローレンツ変換の時と同じように成立しています。

座標のガリレイ変換 : https://archive.ph/cWkwD :

同様に黒色の格子を青色の格子に平行四辺形になるように横にずらすとそれが黒色座標のガリレイ変換となります。

ちなみにこの時には変換後の座標の横軸の原点からの高さが変換の前後で変化しない為、青色の横軸が元の黒色の横軸に重なってしまうために青色表示がみえなくなっています。

しかし青色の横軸は黒色の横軸の下にあるのです。

さてそれで、こうして正方形を横にずらして出来上がった平行四辺形の面積は元の正方形と同じである事は図を見れば明らかな事であります。



そうしてここで「変換の時に座標系を構成する4次元単位ブロックの体積を保存する様に変換が行われる」というルールが見えています。

この「単位ブロック4次元体積一定のルール」によってK系からK'系への変換の際に等速運動が保障される事になります。

それでこのルールが破られますと(=変換式が2次以上の項を持ちますと)変換後のK'系においては変換された等速運動に途中から加速あるいは減速の効果が加わったかのようにK'系の観測者によって認識される事になります。

但しK系からK'系への変換でK系内での等速運動の速度はK系とK'系の相対速度Vに対応した形で変更を受けます。

しかしながらその場合に受ける等速速度の速度変化は「単位ブロック4次元体積一定のルール」という条件の下の変換で達成されています。(注5)

注5:
「時空を作る単位ブロックの4次元体積が慣性系間の変換では非圧縮性である」というのは「時空が持つ一般的な性質である」という可能性があります。

そうして「単位ブロックの4次元体積が圧縮される場合」と言うのはもちろん「重力の存在を示す」のであります。



追記:
以上のような操作でローレンツ変換、あるいはガリレイ変換をとらえてみるならば、もともとの基準慣性系で起こっていた運動、あるいは特定の事象の点を、原点をそろえてその上にそれぞれの変換をした座標を重ね合わせて、その重ね合わせた座標で座標値(t',X') を読み取る、という操作が「K系からK'系への変換という操作に相当する」という事がわかります。

それで、そうやって読み取られた座標値(t',X') はK'系の観測者によってK'系の直交座標に再プロットされると、それがK'系の観測者がK系を観測した時の有様を示す、という事になります。

従って座標を変換する場合に直線座標を曲線座標に変換する様な変換式(=t,X という変数の2次以上の項を持つ変換式)は却下される事になるのです。

もし変換によって重ね合わせる座標が曲線成分を持ちますと、元の慣性系で等速直線運動していた世界線、それは直線になるのですが、それを読み取るために重ね合わせた座標が曲線座標ですとその「まがった座標系で読み取る事」になり、そうやって読み取った座標値をK'系の直交座標で再プロットしますとそこには曲線の世界線が現れる事になります。

それはつまり「K'系ではもともとの等速直線運動状態が再現できていない」という事になります。

従って「変換式はt,X というパラメータの一次の項からなる線形和に限定される」という事になるのです。

それでその形は具体的には

X'=A*X+B*t+E

t'=C*X+D*t+F

但しここでK系の事象点X=0, t=0 がK'系の事象点X'=0, t'=0 に変換されるのでE=0, F=0 となり結局許される変換式は

X'=A*X+B*t

t'=C*X+D*t

という形だけになります。

追記の2:
ここで EMAN物理 :ローレンツ変換の求め方 : https://archive.ph/Evswb :を参照してみるならば・・・

「あとは計算!」と書かれた後に示されている最初の4つの式のうちX'と t' についての二つの式については上記までの説明で「ほぼ同等の所まで到達した」という事になります。

追記の3
基本となる時空=基準慣性系が「一様、等方である必要性」については前述しました。

それで、その基本時空に対して成立している変換がローレンツ変換ですとそれを「ミンコフスキー時空」と呼びます。

これは「ローレンツ時空」なのではありますが、最初に言い出したのがミンコフスキーさんですからしかたありません。

そうしてまた基本時空に対して成立している変換がガリレイ変換ですとそれは「ガリレイ時空」と呼ぶ事になります。

つまり「時空は一様、等方でのっぺらぼう=名無し」なのですがそこに成立している変換様式で識別できる、という事になるのです。

ちなみにブラックホール時空は「毛が3本ある」ので「のっぺらぼう時空ではない」という事になります。



PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.ph/QUtQ5