特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

「通説の時間遅れの計算が持つもう一つのパラドックス」について

2023-07-07 01:45:22 | 日記

従来の時間遅れの計算では観察者が自分が立つ慣性系を「主観的な判断によって」「静止系であるとして良い」というものでした。

従って観測者は「自分に対して相対速度Vを持つ慣性系はsqrt(1-V^2) の割合で時間が遅れている」と計算してよく、また「実験結果もそれを支持している」としてきました。

しかしながら『「時間の遅れ」合成則』: https://archive.md/uxxkb :では「そのような主張が出来るのは「基準慣性系に立つO君からアリス慣性系とボブ慣性系を観察した場合に成立しているだけで、アリスからボブを観察した場合は相対速度V(アリス→ボブ)を使って計算した時間遅れの値は修正が必要である」という結論でした。

またそのあたりの事は『その2・「時間の遅れ」合成則』: https://archive.md/AZeH2 :で検討した内容でもありました。

そうしてさらにそれについての疑問は『「時間遅れの合成則」が語っている事』: https://archive.md/D2bm5 :とそれに続く『その2・「時間遅れの合成則」が語っている事』: https://archive.md/a7Sw5 :で追加検討されてきました。

その結果は「どうやら特殊相対論は基準慣性系の存在を否定していない」というものでした。(注1

ちなみにそれらの検討の中で「地球ははたして基準慣性系なのか?」という疑問が提示され、それについても『その2・ 円運動を使った基準慣性系の判定』: https://archive.md/PCYMw :で検討されその結論は「今の実験精度では肯定も否定もできない」というものでした。

 

そうして次に登場したのがランダウ・リフシッツでした。

彼らが「時間の遅れはお互い様になるのは特殊相対論の結論である」と主張し「ほらこうして思考実験し計算してみるとそうなっているだろう」と主張しました。

しかしながら彼らの主張は「LLの一般解の導出」で否定されました。(注1

彼らの思考実験だけでは「時間の遅れはお互い様」は実際は証明されていなかったのです。

そうしてそこでの検討の中で明らかになった事は「相手の慣性系との相対速度Vを用いた時間遅れの計算sqrt(1-V^2)で出てくる値は相手の慣性系の時間遅れを表してはいない」という事でした。

相手の慣性系の時間の遅れを測定するのは今まで考えられていたほどには簡単ではなかったのです。

 

さてそこでページは又一つめくられる事になります。

「規準慣性系の存在を前提とした場合、一体何が実際に困るのか?」という問いかけがそれです。

その問いかけに答える為に「固有速度」が導入されました。

この固有速度は当該慣性系が基準慣性系(=「客観的に存在する静止系」)に対して持っている相対速度を示します。

そうであればこの固有速度は定義からして「ローレンツ不変」になります。

そうしてついに『その3・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?』: https://archive.md/Z87xp :において「通説の時間遅れの計算の正体」が明らかになりました。それによれば

『sqrt(1-(V12)^2)
=sqrt(1-a^2)*sqrt(1-b^2)/(1-a*b)
となります。(注2
つまり
慣性系①の静止系基準の時間遅れ*慣性系②の静止系基準の時間遅れ÷(1ー慣性系①の固有速度a*慣性系②の固有速度b)
がsqrt(1-(V12)^2)の正体です。』となります。

以上詳細は上記ページにてご確認ねがいます。

 

さてこのようにして通説の『観測者は「自分に対して相対速度Vを持つ慣性系はsqrt(1-V^2) の割合で時間が遅れている」と計算してよい』というやり方は否定されたのですが、それでもまだ「いいや、通説が正しいのだ」と言われる「アインシュタイン推しの方々の為」に「通説の主張に従った場合に発生するもう一つのパラドックス」を紹介しておく事に致します。

・・・とまあそうなるのですが、それに続く話は長くなりそうですので、この件、ページを改める事に致します。

 

注1:そのあたりの一連の検討につきましては下記にある「記事一覧」から相当する記事にアクセスできます。

注2:「時間遅れの合成則」の式の形そのものは従来も知られていた模様です。

しかしながら「その式が一体何を意味するのか?」という所まで「解明されてはいなかった」と言えそうです。

そうであれば「その式の意味を解明した」というのは「この一連のシリーズでの検討が初めてである」という事になります。

 

追記:7/12:このページに続いて『その2・「通説の時間遅れの計算が持つもう一つのパラドックス」について』というテーマで続けようかと思いましたが、テーマ名称を「アインシュタインの静止系は成立していない」に変更する事にしました。

あしからず、ご了承の程を。

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/PuVRT