今日の秋櫻写

こちら新宿都庁前 秋櫻舎

物忘れがよくっていけねえ

2013年02月28日 23時19分43秒 | きもの

本日の東京は予報通り、あたたかかった!
うれし。

でもそんなことばかり云ってられない。




月岡芳年「風俗三十二相」より「さむさう」天保年間


深川仲町の芸者の風俗なのだけど、
これっくらい意気を張らなきゃだわ。
こんなに雪がふってても、口元はわらってる!
さすがだ、深川芸者。
どんなに寒かろうと、この心意気。

思い出したついでに。

江戸ことばというのは、
「赤とんぼ」などのイントネーションの問題とか(赤にアクセントがつく)、
「ここをまっつぐ」みたいにサ行が云えないとか、
「べらぼうめ」「とーんとくる」などの独特のフレーズとか
ばかりではないのだ、という話。

たとえば

「最近物忘れがよくっていけねえ」

物忘れすることがいいわけがないのだが、
それを裏返して云う、これが江戸の言葉遣いなのだそうだ。

だから当時の江戸っ子同士が話しているのを傍できいていると、
本当は実にワケがわからなくなるもの、なのだという。

以上は、噺家の春風亭一朝さんが前に
高座で話していた内容である。
かなりハッとしたのでよく覚えているのだ。

一朝さんは時代劇のドラマや映画などで江戸弁指導を
していらっしゃる方で、非常に江戸ことばに通じておられるのだが、
いざ忠実に全ぺんを江戸言葉に染め上げてしまうと、
現代人には何を云っているのかさっぱり!になるので、
実際は江戸弁「らしく」聞こえる江戸ことばを指導するのだそう。

おもしろいなあ。

ちなみに一朝さんの啖呵は抜群です。
口跡の良さはもはや異常だし。
現役の噺家の中ではいちばんだと思う。
江戸っ子の軽さの表現も相当いい。
大すきである。


加えて明日。
明日花金は「ナイト・コスモス」でーす。
ゲストに、さとうめぐみさんをお招きします。


3月1日(金)18:30~20:00

会費 3,150円 手作りの夕飯付
会場 秋櫻舎

ゲスト さとうめぐみ さん
     プロフィールはこちら


テーマ「2013年地球暦 活用法」

~自分自身が太陽系のかけがえのない一員であることを
実感できる「地球暦」。
この暦を体調管理や目標達成に活用するコツをお話します。

今年一年を自然と調和したハッピーな年にしたい方、
ぜひご参加ください。~


食事のご用意がありますので
当日の15時までにご連絡ください。


なお、明日は桃の節句にちなんだご飯で
おもてなしいたしまーす。
お雛さまも飾っております。
衣裳はなにげに、山崎青樹先生の草木染だったりもします。


どうぞいらしてくださいまし。
お待ちしておりまーす。








あれもこれも黄八丈

2013年02月27日 22時59分49秒 | きもの

お寒うございます。
皆さま、体調は崩されていませんか。
ワタシはもうこの寒さに飽きました。
もうイヤです。

「寒冷地出身なのに(寒いのダメなの)?」

とこの前友だちに云われたけれど、
これまで百回以上は聞かれていると思うけど、
関係ないので。
それと寒冷地って云うのやめて・・・。


さて気を取り直して。

ここ2週間ほど毎日毎日何かあり、
瞬く間に2月が終わりそうだ。
2月は逃げるというけど、まさに。

アイウィルビー主催の比佐子さんの会は
第二回目も密度が濃く、ぎっしり内容が詰まった話をきき、
よって親睦会の「獺祭」がことさら旨く感じたものだった。

それから青山のゑり華さんでのイベントも大盛況で。
足袋の話から足の話、そこから後半は全員きものから
動きやすい恰好に着替えて「きものウォーキング」のエクササイズ。

何往復したことだろう!

最後はもう一度きものに着替えて歩くという体育会系。
でも見物していると、みなさん歩き方が変わっていくのだ。
その変化が面白く、またうれしい。

つれづれもありーの、
着つけレッスンもありーの、
そうそう、やびや童庵の米原さんを囲む会も面白かった!

やっぱり作り手がその作品について語ると、熱く、
その熱さがワタシにはたいそう心地いい。
自ずと籠もる熱は必ず相手の中のなにかを動かす。
そして米原さんはオタクだ。
正真正銘のきものオタク。

なんて素敵なんだろう。

また春に開催予定なので、今回来れなかった方、
おたのしみに


加えて。
3月30日(土)~31日(日)
「比佐子つれづれ課外授業~黄八丈の本場、八丈島へ」は
ここへきてまた参加者が増えている。
最終的にどんなメンバーで行くんだろうな。

この前、コーディネーターの由美さんが
秋櫻舎にいらして打ち合わせをしたのだけど、
ますます八丈島へ行くのがたのしみになった。

由美さんのおすすめはたくさん、たくさんあった。
旬の飛び魚にフリージア、島独特の亜熱帯植物、
八丈太鼓、焼酎に島寿司、黄八丈・・・
でもいち推しは「大島桜」だという。

緋寒桜とこの大島桜をかけたのが
かの染井吉野だそうだ。

そして大島桜は、いっせいに花ひらく染井吉野とちがって
ばらばらと時間差で咲いていくという。
由美さん曰く、この大島桜が咲く頃になると、
八丈島全体が春の訪れを表現しているかのように、
なんとはなしにぽーっとしてくるんだそうだ。
島の奥底から、けだるいような、甘いような、
春のムードが漂ってくるんだそうだ。

「鳥が鳴いてるの」

由美さんがとってもすきな八丈島の季節だという。
ああ、体感したい!とすぐさま思った。

というわけで。
八丈島にちなんで黄八丈ものを。

意外とある。




「名所江戸百景」

芸者が着る黄八丈は地味派手。
赤い長襦袢が映えるなあ。




「心中宵庚申」近松門左衛門

有名な近松の半兵衛とお千代の心中物語だが、
ふたりとも黄八丈を着ている。
この衣装、いいんだよね。




お千代。
これは簑助師匠が遣っている写真だろう。
衿元のふくらみ方がそうだもの。

うーん、唸るのみ。言葉にならぬ。


ラストはとっても有名なこの絵。



竹久夢二「黒船屋」大正8年

黄八丈らしいコーデ。
黒猫も合わせて。
ただエメラルド・グリーンの帯というのは
けっこう斬新!

それにしても夢二の描く女は手足がデカイ。
正確にはデッサンが狂ってるのだけど、
この相対的にちぐはぐな大きさが、夢二の描く女の
非理知的さ、捉えどころのなさ感、
ある種のにぶさのようなものを表現しているように思う。
「女」に何かが詰まってそーな印象をまるで与えないというか。
儚げでアンニュイで詩情をそそる佇まいのまま、
描き手はその先にはコマを進めないで、冷凍保存してあるみたい。
いずれにしても、夢二の女性観がうかがえておもしろい。


そんなこんなで、八丈島。
定員には達したのですが、まだ航空券がとれますので、
引きつづき参加者を募集しています!


明日は天気予報によると14度まで気温が
上がるそうだけど、そうなってくれるとうれしいなあ。

久しぶりの更新で失礼しました。









簑助おとわ

2013年02月21日 23時23分06秒 | きもの

さぶすぎる・・・!
やっぱり2月は寒い。

とはいいながら。
今はちょっといい気もちで。

というのも。
今夜は高輪台でアイウィルビーの会があったのだけど、
レクチャーの後の親睦会で「獺祭(だっさい)」が
振舞われたから。おいしかったー。

でもまさかここで飲めるとは。

あ、これは日本酒です。
山口県の銘酒です。
獺(カワウソ)の祭りと書いて「だっさい」と読む。


さて遅ればせながら文楽第二部へ。
演目は3つ。

そのうち簑助師匠が出るラストの演目が
なんと「関取千両幟」。

そう、相撲取りの物語。
ワタシ的に超タイムリーでめちゃくちゃよろこぶ。

今回の簑助師匠は力士の女房「おとわ」役。
圧巻であった。
もう何なんだろう。
強いていうならば、空間を制するのだ。

暖簾とのからみなんてすばらしかった。
からみというか、舞台中央奥にある暖簾をくぐって
退場するシーンなのだけど、後ろ姿だけで見事にみせるのだ。

そしてそして、のれんをくぐるとき。
そのときに、ほんのちょっと簑助おとわは
小首をかしげるのだけど、凄まじい吸引力で。
なんと美しい。

「ああして暖簾をくぐるのね」

「ねえ・・・・」

ため息まじりに感想を云い合ったのだが、
同行したみなさんが同じところを見ていたという。

それと面白かったのは、
後半に三味線による櫓太鼓の曲弾きという
かなり珍しいご趣向があったこと。

三味線弾きがふたりだけで演奏し、その間
ばちを投げたり、三味線の上を転がしたりと
アクロバティックな要素をふんだんに入れて魅せていくのだ。

少しばかり我の強さを感じる演奏ではあったにせよ、
その取組みへのふたりの情熱と息遣いは
お客の心に十分に訴えてくるものだった。

終演後は楽屋見舞へ。



おとわを遣ってくださった。

壁際に立てかけられているときは人形なのに
簑助師匠の手が入ると、おとわに生気が入る。

見た目は人形なのだけど、存在が物じゃないというか。
唐桟縞の衣装が非常におしゃれだった。


告知も。



やびや童庵 米原新三さんを囲む会

2月22日(金)14時~ お茶・お菓子、お土産つき♪

会場:秋櫻舎  参加費:3150円

会の詳細はこちら

まだ大丈夫です。
お時間の都合のつく方は遊びにいらしてください。
お八つはパークハイアットのシュークリーム
朝に買いに行かないと売り切れちゃうという
大人気のケーキです。

参加ご希望の方は
お電話かメールをお願いいたします。











梅と赤

2013年02月14日 23時05分47秒 | きもの



「浮気うぐいす梅をばじらし わざと隣の桃に鳴く」

季節なので梅にちなんだ都々逸なんぞを。



春霞のきものに梅の帯。





長襦袢と帯あげに赤を入れて
ちょっと締めてる。

背紋がオリジナル。
比佐子の「比」の字を縫いで。



そして八掛はひそかにコスモスの花。
秋櫻舎だからね。



春よ、こーい。



ワタシはまだ寒いし、淡い色の紬がないので
黒の結城にピンクの帯を。柄はどちらも椿。

春よ、こーい。
というか、はやくあったかくなってーー!

コートもまだ手放せない。



姉妹競演その2。
熊野さんでお参りしてるところ。



アヤコさんのコートは秋櫻舎のオリジナル。

http://www.kos-mos.com/kimono/coat.html

これ、さむいときは衿が立てられるデザインで。
この生地は無地の輪奈ビロード。絹100%です。

写真は少し赤く出たけれど、実際はもう少し落ち着いた赤。
お好きな色にお染めします。

赤つながりで。



団十郎さんを偲んで助六。
逝ってしまって本当にさみしい。



赤のきものに、なぜか緋毛氈。
かぶりまくりなんだが。

まあ、こんなこともあるさ。


それから明日2月15日(金)の
「コスモスれしぴ」は申し訳ありません!
材料の関係もあり、〆切らせていただきました。


3月も開催しますので、
またよろしくお願いいたします。
3月のメニューはキンキンにお知らせいたします。

「KOSMOS」2月号は明日発送します。
さあ、もうひと踏ん張り。







新登場 かわいい股われ

2013年02月12日 21時53分31秒 | きもの

今日は冷え込んだなあ。
東京は深夜から雪がふるという予報だけど、
当たるかも。
明日は文楽なのに・・・。
ま、いっか。

さて今日はまず「最後の浮世絵師」ともいわれた月岡芳年の絵を。
ワタシにとってはアバンギャルド浮世絵師だ。
躍動的で、幕末から明治にかけての隠微な感じも匂い、
なんといっても絵から放たれるエネルギーがすごい。



月岡芳年「あつたかさう」明治21年

そんな芳年のこれは様々な身分・職業の女たちを描いた
美人画シリーズ「風俗三十二相」の中の一枚。

全部で32枚あるのだけど、
たーのしいんだ、これが!

ちなみにこの絵に描かれている女は
寛政年間の町家の後家の女である。

おこたに入って飼い猫ともども丸くなって、本をよんでいる。
きものを何枚も何枚も重ねて。
紅絹の袖に入れたままの手がかわいい。
「あったかそう」というタイトルもかわいい。

「後家」とわざわざ書いているのをみると、
寒い夜は人肌恋しいが、もう亭主はおらぬので
猫と炬燵で暖をとる、というところか。

昭和の名人、古今亭志ん生のフレーズを思い出す。

「なんであんな奴と一緒ンなったんだい?」 

「だって、さぶいんだもん」 

いいねえ~。


さいごはこれ。
ナゾの紅絹のつづきです。




新商品!
股割れを作ったのだった。

色違いで紅絹とピンクの2カラー。
もちろん100%シルク。
フリーサイズ。
お値段は15,000円也。

ボディに着せようかと思ったのだけど、
せっかくだから姐さんに持ってもらった。

とりあえず、まずはお知らせ!
詳細は追い追い。

しかし、さぶいなあ。