12月に入ったー。
ここからは時間の加速度が増してゆく。
ぐんぐん増してゆく。
駆け抜けるぜ。
さて。
今日は着つけレッスン。
最近の秋櫻舎にはうら若き女子の生徒さんが
多くなってきて何だかうれしい。
おばあさまのおきものでレッスンなさっているノゾミ嬢。
最初持ってきてくださったときは寸法が合わなかったので、
より美しく、そして快適に着るためにと、
秋櫻舎でちゃんとマイ寸法にお仕立て直ししたのだった。
よく「きものにはサイズは必要ない」とか
云っちゃっているのを聞くけれど、見るけれど、
はっきりいって、それは云い過ぎだ。
んなわけない。
合わない寸法のきものは、余計なシワが出やすく、
きつきつでもダボダボでも、明らかに着姿に反映される。
要するに美しくならない。大体とても着にくいしね。
素敵に着たいのであれば、寸法こそ
無視してはならないものだと思う。
たぶん「洋服 VS きもの」みたいな構図で
分かりやすくキャッチーにきものの長所を
云いたいがためのことなのだろうけれど、
ワタシはこれ、かなりズルをしていると思うな!
ノゾミ嬢もマイ寸法に仕立て直してからは
格段に着やすくなったみたいで、
完成後の見栄えも全然違っていた。
姐さんと。
ノゾミ嬢、立ち姿がまだ慣れない感じでかわいい。
ちなみに・・・思いっきり余談なのだけど、
ノゾミという名の女性はかわいく色っぽいのだろうか。
というのも、ワタシのまわりの「ノゾミ」はみんなそうなので
(本当に個人的な余談だ)。
後学のため、江戸小紋などを見せながら解説する姐さん。
ノゾミ嬢は興味津津だった。
興味津津といえば、ノゾミ嬢がお友だちに着つけを
習い始めたことを話したら
「なんできものなの?」
云われたそうだ。
お友だちのそのひと言もよーく分かるし、
なぜきもの?と問われて答えられなかったという
ノゾミ嬢の状態もよく分かる。
そう、なんできものなんだろう?
今の世の中にはこーんなにたくさんの娯楽があるというのに。
なんできものを急に着たくなるんだろう?
別にお茶やお花を習い始めたわけでもないのに。
分からない。
でもきものってそんな感じで
はじまることが多いような気がする。
雑誌『七緒』の爆発的なヒットも、そういう水面下の
潜在意識が顔を出したようなものだと個人的には思っている。
相手を説得できる理由はないけれど、
着たい、着てみたくなった、
でも着られない、着つけを習おう。
これって理性の所作じゃないよね?
で、着つけを習い始めたら、
今まで分からなかったモヤモヤとしていた
きものの世界が急に引き寄せられて、
少しびっくりしたり。
自分にとって何というか、きものの世界が
おっかないものじゃなくなってしまった、
暗い世界が明るくなった!と感動もしたり。
その軽快なキブンとでもいうようなものは
軽快さとは裏腹に、かなりの達成感も伴うので、
着つけレッスンの前と後とでは、
みなさんずいぶんと顔が変わるのも共通項。
どうしてきものなのかは分からないままだけど、
分からなくても、はじまってしまうのだ。
そしてはじまってしまえば、
色んな変化が起こる。
一番大きいのはこれかも。
着るものの選択肢に「きもの」というオプションが加わると、
自分の日々の生活にいきなりものすごい厚みが出てしまうということ。
なぜならきものは文化だから。
きものを着るということは、
日本の文化に接触するということだと思う。
「文化する」と云ったっていい。
そう、きものを着ると、
もれなく文化がついてくる。
文様の意味や、風雅な色の名前を知ることもそうだし、
季節を感じること、観ること、表現すること、
きものという自然を肌で知覚すること。
ほかにも、しぐさを洗練させたくて日本画や伝統芸能に
興味をもつようになったりするのもそう。
ワタシはこんな素敵な日本文化の
勉強&実践メソッドはないと思うな。
おまけに女力が上がるしね。
みんなおんなじ顔に見える昨今の美人観なんて
ほーーーんとつまんないもん。
と収集がつかなくなったところで(笑)
次は出来たてほやほや。
仕立て上がりの帯をご紹介。
えへへ。
素敵でしょ?
ペンギンの帯なんて見たことありますか?
ペンギンが漫画になっていないのは
皇室のおきものも作られている小倉貞右先生の
筆力とセンスがゆえに。
隣の紅白南天の帯は比佐子さんのデザイン。
南天を刺繍にしてあるのがポイント。
お客さまと相談しながら地色から決めていくのだけど、
このやり取りの楽しさは、きもの作りならではだろう。
出来上がりに慣れた現代人にとって、あつらえモノは
目ん玉が飛び出るお値段なのでは?と思いがちだが、
実際はさにあらず。
結局は出来上がりの品だって、地色から
染めていくのだから、かかる手間暇は同じなんである。
それならば、自分のすきな色、すきなモティーフにしたら、
どれほどいいかっていう話。
そう、紫は少し間違うと、下品になったり、
ダサくなったりする難しい色のひとつなのだけど、
これは洋服のファッション雑誌からとってきたという。
実物は、写真よりずっといい色です。
これまたどちらも小倉先生の作品。
武田さんだから竹のモティーフをおすすめした。
スタイリッシュなのに、冷たくなく、
繊細でフェミニンなのはデザインと色の妙味による。
金糸の刺繍が入っているのもミソだろう。
すてきだ。
右は桜の帯。
桜が欲しいと仰っていたのでお見せした。
これ、帯の生地が凝っていて。
金が入っているので光沢があり、
締めると分かるマジック。
じつに華やかになる。
写真ではよく分からないのだけれど、
桜の花びらにピンクがうっすら差してあって、
そのピンクがあることで、
ぽーっとあえかな春の陽気が女らしさと
相まって漂うのもふしぎ。
ああ、早く見たいよ!
この帯たちを締めていらっしゃる姿を。
というわけで。
秋櫻舎は、こんなふうにスタイリングなんかも含む
きもの&帯のご紹介もしているのであった。
ほとんど口コミ状態なので、たまにはちゃんと
お伝えしておかないとね。
それではまた。