今日の秋櫻写

こちら新宿都庁前 秋櫻舎

9月の着回し

2012年09月29日 14時42分29秒 | きもの
これはちょっとお出掛けの日。
場所は両国。



9月とはいえ、あっつい日だったので、
左は流水柄の墨流しの絽に、秋草の友禅帯、
右は竹柄の夏結城に、秋虫の帯。
帯は素材はちがうけれど、どちらも絽。




甘味処の店の前で、火打石が売られていた。
すこし驚いた(両国すごいと思った)。


お次は9月7日(金)の「ナイト・コスモス」。

9月のナイトは、この日の夕ご飯にちなんで
韓国の歴史とチョゴリについて。

チョゴリ、一度着てみたいのだけど、
まだチャンスがない!

お待ちかねのご飯は、武田茂子さん調理&監修で、
韓国おむすびとわかめスープ、副菜に小松菜、
つるむらさき、胡瓜の3種のナムル、キムチ。



もう食べ終える寸前。
・・・すみません。

デザートは韓国の伝統菓子「松餅(ソンピョン)」。



日本のあんこのようにねっちりしていなくて、
さらっとドライな感じなのだ。
皮はもちっとしてるんだけどね。
だからかな、何個たべても胃もたれしないの。

韓国料理はとにかく胡麻油がベースで、
ご飯やスープにも入れるし、松餅の皮に塗ったりもする。

マッコリで乾杯し、後半は出雲の清酒に切替え、
武田さんによる韓国ご飯のレクチャーもあり♪

しかし、酒が入ると陽気に盛り上がるなあ。

面白かったのは、
韓国ではご飯と汁物は「スッカラ(さじ)」で
食べるのが基本だということ。

うーん、似てるようで明らかにちがうなー。
ご飯やお味噌汁を箸以外のものでたべるって
ちょっと考えられないもの。

文化をみていくと中国や韓国は、欧米諸国のように
いきなりは違わない。
だけど、逆に日本とのこういう「微妙な差異」のほうが
それぞれの独自性を浮き上がらせるように思う。

むかし韓国に行ったとき、国立博物館で
たくさんの仏像を見たのだけど、顔が日本のそれと
違っていて、エラが張っていて四角かったり、
陶器や絵画に描かれる吉祥文様にしても、
松竹梅や鶴亀など、モティーフはほとんど共通しているのに、
描かれ方や構図のとり方、色使いがビミョーに違っていたり、
ほんとうに興味深かった。


さいごは着回しレポート。

手持ちの限られたきものと帯で、
この9月をどう楽しみつつも、しのいだか。



この日は韓国がテーマだったので、
帯に赤、帯あげに濃パープルをもってきて
ぱきっと原色コーデにしてみた。
きものは大小あられの絽の江戸小紋。

この赤い紅葉の帯は
9月の間はヘビーローテンション。
この時期にしか締められないし!
麻地なので、体感的に涼しいのもナイス。



きものは白大島で、帯あげは秋草友禅の絽ちりにすると、
また少し印象が変わる。
ちょっとかわいい感じになるかな。



こちらはきものは大小あられの江戸小紋で
帯を絽つづれの桔梗にしている。
帯揚げは上の写真と同じ。
帯を白系にすると、これまた少し違う印象。

半衿は絽塩瀬と楊柳、すこし涼しい日は絽ちりめんにして。


こんな感じで、9月を過ごしておりました。
しかし9月はきもの偏差値が高い月だわ。

さ、明日から10月。
でも今年は単を着る時期が短そうだな。

今夜は満月。
東京は夜、晴れるのかしら。








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9月の「比佐子つれづれ」 など

2012年09月29日 13時02分07秒 | きもの

またまた30度超えの東京。
しかし朝から洗濯三昧できてうれしい限り。

さてまずはこれから。
足袋を誂えにこの夏何度目かの向島へ。
9月中旬かな。

三浦さんとノゾミちゃんと3人で。



三浦さんは濃紺の夏結城。
柄は雪輪。
帯は能州紬のすだれ帯。
これ、地色が白じゃなくて
淡ピンクなところがミソ。
白だといわゆるシャープなありきたりの
コーデになるので、敢えて甘い色を
入れているのです。

近くの牛嶋神社で今年は5年に一回の大祭があるとかで、
写真をみれば一目瞭然だと思うのだけど(笑)
ご主人の石井さんはお祭りモードだった。



江戸切子で冷たい麦茶。

店内はこんな感じ。







3人とも足の採寸中はどきどきしっぱなし。
だって仁王立ちでいるところへ、男の人がひざまずき(笑)
丁寧に細かく、ジェントルに足を扱ってくれるのだから。

でも今でもちょっと信じられない。
自分の足にぴったりあった足袋ができるなんて。
うれしいのは確かなんだけれど、
じゃあこの高揚感は何なんだろう。

云えることは・・・
きものを着る者にとって価値ある贅沢、
だということかな。

きっと足元に少し
自信がもてるようになる気がするんです。




ワタシは絽の撫子小紋を着ているのだけど、
例の如くまっちろけ。
写真映えしないきものだ・・・。


お次は9月下旬の「比佐子つれづれ」。



この日のおやつを作ってるところ。

じゃーん。



おはぎ。
お彼岸だったので。
比佐子さんのお母さん直伝のおはぎ。

5年ぶりくらいかな。
「つれづれ」でこのおはぎを出すのは。
ゲンコツくらいある特大おはぎ。
他にも胡麻、きなこと3種類作った。

で、9月下旬の皆さまの装いを。
この日は気温20度~24度くらいで、
穏やかに晴れた日。

大島、塩沢と単の紬が断トツで。
なかは夏物の長じゅばんという方がほとんどだった。
半衿は楊柳、あと絽の方も多かった。



環さん。
久留米絣はおばあさまのものだそう。
柄がのびのびしていて、かわいいな。
秋草の麻帯で秋の風情。



水島さん。スタイル抜群。
この日は珍しくお太鼓。
トンボの帯留はアメリカのお土産だとか。



岡田さん。
光沢のある大島に光琳菊の帯。
オータム~ン♪



加藤さん。
秋のイエローの紬に、
これ草木染めだと思うのですが、帯が素敵だったー。



後藤さん。江戸小紋は筋もの。
帯×帯〆と江戸小紋ってほんとこういう配色が
似合うきものだ。
後藤さんの着姿と相まって美しいです。



清見さん。
松柄の大島。帯はバティックを帯に仕立てたもの。
コーデの楽しさが伝わってくるなー。
半月の帯留はもちろん、この頃のお月が半分だから。
にくいね、もうー。



浅草の芸者さんに教えてもらったという後ろ姿の作り方。
なんでも知ってて何でも教えてくれるという。
芸惜しみしないのです(笑)



畔高さんは戦前の塩沢お召を。
いつも珍しいものを見せてくださって本当に勉強になるなあ。
お、ここにもトンボが。
この髪飾りはブローチをアレンジしたものだそうで、
アール・ヌーヴォなトンボ。



田村さん。
写真ではこのきものと帯の微妙な色味は出せない。
きものらしい、きもののおしゃれ。
伝わりにくいかも知れないけれど、
田村さんの趣味は「モダン」です。



結城さんと上杉さん。
結城さんのこの博多帯使いは真似したいといつも思う。
上杉さんは立涌柄の塩沢。
白ベージュのような、ピンクのような、
秋晴れの光線と相性抜群の色味。帯〆が秋コーデ。



山岸さん。
こちらはアール・デコ調のコーデ。かわいい♪
帯のデザインも凝っていて、
三角形は蝶々を意匠化しているのだ。
この帯、いいなー。



陽子さん。
濃紺の大島に変わり織の帯。
濃紺が似合う人っていいなと思う。
着てしっとりとかしっくりくる人。



三人で。
比佐子さんは萩の刺繍紋が入った絹縮。
小千谷縮の絹バージョン。



帯は楊柳地に秋草の刺繍。
この時期の定番コーデ。


「つれづれ」の後は長谷川 靖さんの
初監督・脚本・撮影のショートムービー「tree reader」観賞会へ。
半蔵門。

http://treereader.tumblr.com/

この女のこ、よかったな。

この夜、出迎える長谷川さんはざっくりと
きものを着て下駄を履いていた。

いいね、いいね。
どんどん似合ってくる。



かっこいいと評判だったちらし。
ワタシもこのちらし、いいと思った!


そんなわけで。
ではまた。







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寺子屋2 「ブラジャーはしません」

2012年09月27日 21時08分34秒 | きもの

まずはお知らせです。

「KOSMOS屋」のサイトが復旧しました。
よ、よかった・・・。
ここ数日このサイトがご覧いただけない状態になっており、
みなさまには大変ご迷惑をおかけしておりました。
この場を借りてお詫びいたします。


さて9月も「青山ゑり華」さんで
比佐子さんの「寺子屋」シリーズをさせていただきましたー!

今回のテーマは「湯文字」と「美しい胸元づくり」の二本立て。
後者は、バストの大きい方のお悩みに応えるものでもあり♪

どちらの寺子屋も予約はあっという間に
埋まってしまったそうで。ほんとうれしいですー。




「骨盤を正しい位置に」

とたぶん云っているところ。
比佐子さんの装いは、黒の夏結城に
絽塩瀬の秋虫が描かれた友禅の帯。

ワタシ、この帯大すき。




湯文字の着け方レクチャーは
まずおひとりモデルになっていただいて、
湯文字の効能だとか、着け方、
そして着ける前とまさに着けた後の変化をお見せします。

湯文字を着けたところで、必ず「わーっ」と客席から大歓声が
あがるのですが、ワタシはこれを聴くのがかなりすきです(笑)



この日もまたどちらも「男子禁制」の会に。

そして会は大盛況でした!

ワタシたちも元気もりもりで、湯文字に衿つけにと
走り回っていましたが、みなさんがとても熱心なのと
本当に「うそーっ。楽~~~!」と驚いてくださるので
やっていても楽しいのです。

そんなに喜んでくださるのなら、と
もっともっととノッちゃう感じです。

今回もみなさんから感想をいただきました。
そのうち、胸元づくりの感想から何通か
ご紹介させていただきますね。





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★新発見


▲楽しかった!!新発見いっぱいでした。
 半衿つけも思ったよりも、ずっと楽で、身につけると、
 フワッととても気持ち良かったです。
 半衿つけを忘れないように、また湯文字ももう少し練習して
 マスターしたいと思います。
 ありがとうございました。本当に楽しかったです。



★補正なしで着られるなんて


▲またまた大発見!!? いろんな補正下着をつけていたけど、全て、不要。
 つければつけるだけ暑くなり、苦しくなり、だったのが、
 すっきりしたあげく、体のラインもすっきりして、
 この上ない喜びです。 
 もっと着付けの練習をして、きれいに着こなして、街を闊歩したいです。
 今回も参加してよかった。ありがとうございました。


▲今迄、補正道具を使用していましたが、使用せず着られて
 すごく楽になりました。
 きっと来年の夏はより涼しく過ごせると思います。
 帯結びも今迄習得したものとは違い、ビックリ致しました。


▲衿芯が要らない、和装ブラジャーがいらない、
 本当に今日は驚きの連続です。
 中谷先生に、着付けていただき、
 今までの着付けの常識がくつがえされました。


▲たのしい会でした。久しぶりにチクチクして、
 すっきりした胸元で帰ります。
 こんなんにかんたんだったとはーーー
(着物用ブラジャーが不要になり、涼しいです。)


▲着付教室 修了後に、自分で着つけた際に、
 課題となっていた問題がいろいろ解決しました。
 教わった事を習得するまで、復習出来る機会があれば・・・
 と思います(自習もしますが・・・)。
 中谷先生、ていねいなご指導ありがとうございました。


▲何もわからず参加させて頂きました。湯文字ってなあに?
 着付けの時の補正具の一つくらいに思っていました。
 目からうろこでした。
 暑い中、お腹に2本もタオルを巻いて、がんじがらめで
 やっと着物を着てきました。
 ヒモもなくて、しっかり締まり、おしりもキュンと上がり、
 お腹の肉もどこへやら。
 魔法の下着で、着物ももっと着やすくなり、着る機会が増えそうです。
 ありがとうございました。


▲補正をしないできものを着たのは初めてでした。
 腰パット、胸のわた etc 今日は何もつけないのに、
 いつもより自然できれいに着られました。
 自然に着られると、肩も楽です。
 これからはず~~~っと今日の着方で着付けをします。
 ありがとうございました。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

当日現場にいて、また改めてこの感想をよんで
みなさんが「補正なしでも、きものが着られること」に
とにかく、とにかく、驚いていらしたことに
ワタシたちは逆にものすごーくびっくりしました。

そして補正で「がんじがらめ」になっても、肩が凝っても
それでもきものを着たいと思うそのお心に
キューンとくるのです。


そうはいっても最初に補正をする着方を習えば、
それがスタンダードになるので、よほどの不都合がない限り、
他の着方をしようとは思わないですよね?
毎日着るわけでもないし。

そういうものだと思えば、そのように着続けるものです。
そして自分が習った着方の中で、より上達しようとする。


着付けというのは、結局「自分の着方」に
たどり着くためのツールだと思うので
自分に合うやり方をどんどん取り入れていけばいいと思います。

ただ。

じゃあ「自分の着方」ってなんだろう?と考えたときに、
自分の体を無視することはできないと思います。


ウェストにタオルを巻いたり、お尻の凹んだところに
クッションパットを着けたりすれば、
帯はシワになりにくく、締めやすくなるかもしれないけれど、
その分ふくらんでしまった胴周りはどうなるんだろ?

胸元にタオルなどを入れて膨らませれば、
確かにきもののシワは伸びるけれど、
上半身の動きはその分制約され、そしたら
体は強張って肩コリにつながってくる・・・

つまり、どれもきものや帯には優しいけれど、
当の体には優しくないのでは??


身体の気もちよさ、自分の体が感じる心地よさは、
必ず見る人の緊張感を解いて、
何かほっとさせる、そんな気配を送ります。

思い当たる経験ありませんか?


秋櫻舎が提案するのは「体が喜ぶ着方」です。

体が楽ちんで、見た目も安らぎを与えるような着方。
その人の体を認めて、その上で成り立つ美しさ。

だからじつは補正もするんです。
ただ他のものをくっつけるのではなくて、秋櫻流は
自分の体に「もともとあるもの」を移動させて補正に使うのです。

自分のお肉だったり、胸だったりを!

秋櫻舎のオリジナルの下着や着つけ道具は
そのためのものなのです。
そのための湯文字であり、肌襦袢なのです。


足し算の補正をしない着つけ、
自分の体を整えて補正に利用する着つけ、
一度体で感じてみてほしいなーと思います。

「秋櫻流 着つけレッスン」 
http://www.kos-mos.com/schedule/schedule.html


ちなみに。
この日は別に着つけレッスンではなくて、
半衿つけをレッスンしたんですよね。
だけど、さいごにご自分で半衿をつけた長じゅばんを着て
きものを着つけるまででフィニッシュだったので、
途中、着つけのお手伝いをするときに秋櫻流で着つけたら、
こんなうれしい感想をいただくことになったわけです





さいごはゑり華のみなさんと。
黒一点であります(笑)






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お直しサーモンピンク

2012年09月24日 18時17分49秒 | きもの

今日だけ30度だって。
外は雨がぱらついて来たな。

そうそう、今朝は昨晩の大相撲秋場所、千秋楽の
あの大一番の話で盛り上がる比佐子さんとワタシであった。

白鵬と日馬富士の勝負はまったくもう!
ただもうすばらしかった。

「ああいう一番を見たら、下の子たちは
 本当に強くなりたいと思うわね」

深くうなづくワタシ。
人の心を動かす原動力ってやっぱり
ひたむきな姿しかないんじゃないかと思う。


さて。
今日は今月号の「KOSMOS」の
「比佐子流 粋モダン・スタイル」で
ご紹介した希(のぞみ)嬢を。





「日本人なので、きものが着られるようになりたい」

とドキっとするような動機で
着つけレッスンにいらしたのぞみ嬢。





真面目に着つけのおさらいレッスンにも
通うのぞみ嬢。


で、初夏あたりだろうか、
持っていらしたのはサーモンピンクの絽の訪問着。





「祖母のものなんですが、私には小さいんです。
 でも着たいんです。直したら着られるでしょうか」


お任せあれ。

でも、まずは見せて頂戴

寸法が出るかどうかで、もしかしたら
きものじゃなくて、帯に変更になるかもしれないから。

確認したら、寸法は出せそう。

よし。

次は高橋さんのところできれいに洗い張りをしてもらう。
長期にわたり、箪笥の奥に締まってあったきものや帯は
見た目がきれいでも、カビやシミに侵されているものも多い。
そこもくまなく高橋さんはチェックしてくれる。

日本の湿気をナメちゃいけないのだ。
誰もナメてないか。

生地のお洗濯が終わったら、お仕立てへ。

裄と幅を出し、丈は足りない分を、帯で隠れる胴の辺りに
別布で「接ぎ」を入れて、完成。
この訪問着は希ちゃんの寸法になりました。




このきものに合う帯がないということで、
帯は比佐子さんデザインで麻の夏帯を新調。



お太鼓には、比佐子さんの空飛ぶアイデアで、
7月に参加した徳島旅行にちなみ、
当初のデザインになんとさり気な~く鳴門の渦をプラス。

これを見た瞬間、

「うわあ!」

徳島の旅は思い出深く、とても満喫していたので
のぞみちゃん、大感激だったなあ。

渦はもちろん左巻きです。




帯揚げはきもののテイストに合わせて
藤紫に黄色の飛びシボ、帯〆はぐっと締めて濃紺。

それにしても、
前出の全体写真を見ていただくと分かるけれど、
帯揚げも帯〆もほっそい面積なのに、ほんとよく目立つ。
この働き者!









サーモンピンクの絽の訪問着は昭和20~30代のもので、
おばあさまが20代後半にお召しになっていたそう。
きれい色がふんだんに使われているあたり、
やはり昔のきものは楽しいですね。




撮影しているというコトにいきなり照れてしまい(いきなり来た)、
木のまわりをものすごい速度でパタパタと歩きだす希嬢。

どうしようかと思うほど、かわいかった・・・。




なぜか自然とナンバ歩き。




胸元がふーーっくら。とってもきれい。
ちなみに補正は一切しておりませんよ。





姐さんとー。


そんなわけで。
お家にあるきものや帯は甦りますし、
コーディネイトでどんな風にも着こなせるのです。
この2012年の街中で。

秋櫻舎は誠心誠意、お手伝いいたしますので
どうぞお持ち下さいな。



ではまた明日

団七!

2012年09月20日 20時51分00秒 | きもの
3連休中はにわか雷雨がたびたびあった東京。
ワタシはうまい具合にすり抜けていたのだけど、
みなさまはどうでしたか。

「KOSMOS」がそろそろお手元に届いた頃かと思いますが。
発送後に受け取ったアンケート葉書で
今後の講読を希望しないと書かれた方に関しては
次号から対応させていただきますのでご了承くださいませ。

さて今日はまず文楽を



この胸元、たまらない。


我々が行ったのは
9月10日(月)の第一部。

伝統芸能を愛するワタシには
それぞれヒーローがおりまして。

歌舞伎のヒーローは助六、
落語のヒーローは佐平次(居残り佐平次)、
そして文楽のヒーローは団七なのでございます!


よって。
今回のお目当ては
この団七が主役の「夏祭浪花鑑」。

いえーい!


数年前に一度上演されているので鑑賞は二度目。
歌舞伎でも人気の演目ではあるけれど、
やはり上方を舞台とする「夏祭浪花鑑」は
上方発祥の文楽で演じるほうがはるかに雰囲気がでる。

どういうわけか
今回は席が前から二列目のセンター。
ほとんどかぶりつき・・・。

「両脇の字幕が見えないよ!」

と戸惑ったのは最初だけで。
舞台がすすむにつれ、そんなことはどうでもよくなっていた。
いんや、見えなくったって全然平気だった。
なぜなら、とにかく熱い舞台だったから。
あの「気」を感じればそんなのは要らなかったよ。

今回の「夏祭」は間違いなく大当たりの舞台だったと思う!

演者の気迫と技量のバランスがすばらしく
(熱いだけでもダメで、空周り風のヘンな舞台になるから難しい)、
観客を呑み込んで物語の世界にひきこんで
放さなくなってしまうそれだった。

実際みんな終わったあと
「ぷはーっ」って感じになっちゃったもの。
ワタシなんかも手にしてた扇子を握りつぶしそうになって、
途中で帯にしまったくらいだ。
演者の熱気ってうつるから。


「夏祭」は猛々しい若き侠客、団七九郎兵衛が、
夏祭りの晩に舅を殺す、親殺しの物語である。

もうね、団七がかっこよすぎだ!
衣装すべてがかっこよかった!
もちろん芸もすばらしかった!

ところで。
以前に見たのは勘十郎さんが団七を遣ったが、
今芝居では玉女さんだった。

本来ならば若頭のツインタワーとして
勘十郎さんと玉女さんが今の文楽界をリードしていく
ポジションにあるのだけど、
この数年はどうも勘十郎さんのほうが随分先に
いってしまっている感が否めず、
例えばふたりが舞台に立っていても、
目が勘十郎さんのほうにばかりいくのは止められなかった。
しかし。

感激。
今回の玉女さんの団七のすばらしいこと。

大らかで、華があり、そして少し不器用な団七は
じつに魅力だったし、動きもよく決まっていた。
後半の韋駄天走りなんて躍動感にあふれていてぞくぞくだった。

やはり勘十郎さんと拮抗しまくる舞台のほうが
見る側はどれほど楽しいか。
山場の団七(玉女)と舅の義平次(勘十郎)との絡みなんかは
まさに息をもつかせぬ芸のせめぎ合いだ。
勘十郎さんもイヤーーな義父のイヤらしさを存分に出していて、
お互いが芸の領域で楽しんでいるのがまた快感だった。


そう、そして衣装。

団七の衣装は3種類あったのだけど、
どれもこれもイカしてるのだ。

ざっくりと大柄な浴衣を着崩して、
袖口やからげた裾からは雲流の刺青で
あざやかに彩られた腕と脚がにょきっと出ており、
さらに赤いふんどしのかっこよさといったら・・・!

ああ、姐さんに見せたい、とすぐに思った。








有名な「団七格子」などあんなに
洗練されたものだったかと改めて見入る。

ネイビー×白のふとーい縞の浴衣も
すごーくすきだったなあ。


で、簑助師匠。

師匠は怪物でした。
ひとりだけ異次元だった。

出から空間を支配していた。

浅葱色の傘をさして下手から現れるのだけど、
その形のすばらしさ。
本当にこの方は何なんだろう?と思った。


簔助師匠は「色気のありすぎる」侠気な人妻の役を遣った。

旦那の親友に

「かくまってほしい男がいるのだが、あなたは色気がありすぎるから、
 何かあったらあなたの亭主に申し訳ない」

といわれるほどの人妻である。

そしたら

「預けてくれなければ、私の顔も亭主の顔も立たない。
 私に色気がありすぎるというのなら・・・」

と火鉢に刺さっていた焼き箸を抜き取り、
その美しい顔に当てて、焼き痕をつけるほどの人妻である。

くねくねしたり、しなを作ったりしていないのに、色気全開の女。
ちょっとした首のしぐさとか目線、間で現出させていく。

黒っぽい夏絣の地味な拵えに、
ブルーの玉かんざしが美しいお辰。

酔いしれた。


そしてそして。
仲入りで楽屋お見舞にうかがった!!



これから遣うお辰を目の前で。

ちなみに簑助師匠のこの楽屋着は
比佐子さんからの贈りもの。
師匠はこれを着ているところを見せたくって
比佐子さんを楽屋に呼ばれたそうだ。

いつものように簑助師匠はかわいらしくて、
ほんわかした空気でいっぱいだった。




全員で。




9月上旬なので、3人ともまだ夏の素材。
高橋さんは縞の紋紗というような凝った織りのきものに、
紗のトンボ柄の帯。
比佐子さんは夏白鷹お召に、金糸銀糸で月と雲を
刺繍した麻の帯。
ワタシは大小あられの絽のきものに、桔梗の絽綴れ。

共通点は透けない素材のきものであることと、
秋のモティーフを取り入れているところ、かな。


そんなこんなで
大当たり&大感激の9月文楽東京公演でありました。


さいごに。

あさって9月22日(土)は「比佐子つれづれ」です。

「比佐子つれづれ」13:30~16:00

 会場:秋櫻舎
 会費:3150円

一か月って早いですね(笑)

皆さまのお越しをお待ちしておりまーす。







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