今日の秋櫻写

こちら新宿都庁前 秋櫻舎

二の酉で見世物小屋

2012年11月26日 21時37分09秒 | きもの

11月20日(火)ついに二の酉に行ってきた。
目下大掃除中の秋櫻舎でバタバタとやっていたら
大人ダチからお誘いメールが。

これはチャンスと飛び乗った。

花園神社に着いたのは19時を少し
まわった頃だろうか。

実は初めてのお酉さまだったのだけれど、
地下通路から地上にあがってみてびっくり。

えええーーっ
こんなに混んでるものなのーー!

もう人で人で大変な騒ぎになっていた。
参拝希望者用の列は入口からものすごい長さをなしている。
「最後尾」の立て看板をもったおじさんが、
大声でほとんど怒鳴りながら整備している。

ケータイで電話して、集合場所を確認しようと思っても
喧騒のあまり相手の声が聞こえない!
だから相手もこっちもやっぱり怒鳴るように話す。

あげくこんな人々があっちにもこっちにも
たーくさんいるから、さらに喧騒はヒートアップ。




なんとかみんなと合流し、向かうは本殿。
ではなく、ワタシたちの目的地は
入ってすぐ左手にある見世物小屋だった・・・!




現在、都内ではもう一つしかなく、
しかも花園神社でしか見られないという見世物小屋。
演芸好きなら外せない。
風俗文化研究だー。

見世物小屋に関しては、落語ではよく小三治師匠が
「一眼国」というネタの前にふるマクラで話すので、
イメージだけはあった。

昭和30年代頃に自分が体験した浅草界隈や
新宿3丁目の花園神社に出ていた見世物小屋の情景を
描写するのだけど、独特のいかがわしい妖しさが、
いかにも、なのだ。

例えば。
ダミ声で「世にも奇妙なべナ、べナだよ」と
客引きのおじさんが云うので、中に入ると
引っくり返した「鍋(なべ)」があるだけだったとか、
「大ザル、小ザルだよ」の場合はザルが大中小と3つ
置いてあったとかというペテン的なものから、
「ホンモノの河童」を見せるというまやかし気分満点のものまで
じつに様々。




これが見世物小屋の入り口付近。
くーっっ、胡散臭い!

小屋の前では
ねじり鉢巻きのおねーさん(やっぱりダミ声)が
マイク片手に客引きの啖呵を切っている。
外にいる人が小屋の中の様子が見えるように、
一部くり抜いた造りになっているのもうまい。

そう、見えるのは観客の「うひゃあ」と歓声寄声を上げている顔だけで
見世物自体は見えない仕組みになっているのだ。

ふと小さいときの神社のお祭りの匂いを思い出した。
田舎だったこともあるのだろう、ワタシが小さいときは
まだお祭りには妖しいような怖いようなムードがうっすら漂っていた。


入場料は800円で後払い方式。

雪崩れるように中に入ると、150人くらいの
ぎゅうぎゅう詰め状態で立ち見である。

メインはヘビ女の小雪太夫。
きけば、大変人気のある人らしく、
ファンがついているようで花束なんかももらっていたな。

目の周りを真っ黒に囲んで、長い黒髪を垂らし、
緋色の長じゅばんをまとっているというアングラ衣装の
小雪太夫はなんとヘビをたべるのだ。

最初はぬらぬらと舌で少しヘビを弄び、いきなりアクセルを
踏んだかと思うと一気にそのヘビを食いちぎる。
生きヘビを、目の前で。

みんなきゃあきゃあ云って見ていたけど、
ワタシはもう全くダメだった(そういう人も当然いた)。

次は初代ヘビ女も出てきて(もう相当お年であるが、
それが余計に怖かった)、こちらは白いきものにやっぱり
アングラメークで束にした蝋燭のロウを口の中に
垂らしこんではゴクゴク飲みほし、
さいごは口から火炎をブオオオーっと派手に吐いた。
1mくらいのながーい火を。

ぴょんこちゃんという山姥ギャル(なつかしい)のヘアメイクに
女ターザンみたいな恰好で現れたガングロの女の人は、
毛がついたままの首と胴体が切断された鳥を両手にもって
やっぱりむしゃむしゃと食いちぎっては食べた。

ここで本格的に気分が悪くなって、
帰りたいと本気で思った。

あとはマジックと本物の大蛇(ニシキヘビの花子ちゃん)の登場で、
終わったら800円を払って小屋を出る仕組み。

外にでたら心身ともにへとへとだった。

ひとつ気になったのは、この小屋の人たちは
呼び込み、司会進行、演者、もぎりとみんな女性だったのだけど、
全員お肌がつるつるのぴかぴかだったこと。老若とも。

でもそれって、やっぱり・・・
終わったあとのヘビをたべてるってことなのかな・・・。


気分を変えて、縁起熊手売りを見物に。
こちらは活気があって明るい。



お店ごとに熊手の種類がちがうんだ!
同じのを売っているのかと思ってた(笑)



どの熊手も縁起ものの嵐。
小判に七福神、升に松竹梅、それから鯛に鶴亀などなど。



熊手を買った人や会社の札。



この紅梅の赤い熊手はとっても目立ってた。



手締めも見られて大満足。
大きいのを持って歩いていた人もいたなあ。


帰りはみんなで色々と感想を云い合い、盛り上がる。
なんやかんや云って、行ってよかったと思う。
見世物小屋も。
でもしばらく鰻はたべられなくなったけど!






ハッピバースデー

2012年11月25日 23時08分05秒 | きもの

3連休のラスト。
ゑり華さんでのレクチャーイベント終了~!

いつものように気もちのいい
明るいお客さまにご参加いただき、
ほんとうにうれしい。

ゑり華さんは社長はじめ、働いているみなさんも
素敵な方々ばかりで、いつも流れるように時が過ぎていくのは
みなさんが作り出す気のよさだと思う。
いいお店だなーってまた思った。


さて、本日は田中さんのお誕生日会の写真を。

会場は赤坂にある「ラ・スコリエーラ」。
南イタリアの魚介料理。

http://www.la-scogliera.com/

八丈島の新鮮なお魚が特に充実してるのだ。




新調したての、やびやさんの訪問着。
柿色がきれい。
ぼかしがきれい。
ワタシもほしい。
ワタシだったら何色に染めるかなあ。




八丈島の金目鯛。
調理のbefore and after。

とりわけ目がちがいますな(笑)

ここのお料理はフレッシュトマトがよくいっしょに
使われるのが特長なのだけど、その酸味の効き具合が絶妙で。
出てくるお皿、出てくるお皿、ぜんぶおいしかった。

ちなみにボラのカラスミのパスタが
ワタシの一番だったな。
比佐子さんはマテ貝だと具材指定で云っていたが
(トマトソースの魚介パスタに入っていた)。




照明が落とされたかと思うと、
サプライズでバースデーソングが店内に。
生のアコーディオンの伴奏で!

満面の笑みの田中さん♪




バースデープレート。
イタリア語で「お誕生日おめでとう」。
よめない。




ワタシたちからのプレゼント。

比佐子さんからはピンクの花束と目録(笑)

ちなみに右のほうに写ってる色っぽいカードは
明治30年代後半のサッポロビールの広告。

日露戦争に勝利したときだったので
こんな広告が出たのだろう。

たぶん元ネタはこの絵。



ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」(1830年)
フランス7月革命に因んだ絵。


で、なんでこんなカードを贈ったかというと、
田中さんは無類のビール好きで、
なかでもサッポロビール贔屓だからー!




すみません。
わけあってワタシだけお洋服。




ラストは先日訪れた千葉での写真。

90歳の超チャーミングなお父さんが
手作り料理でおもてなししてくださったのだけど、
そのときに出た一品、茹で落花生。

おっきーの。
で、とってもおいしーの。

裏の土地には水仙を植えていらして。
この水仙が咲く頃までにまたうかがえたらと
思っています。


それではまた。










11月号「比佐子流 粋モダン・スタイル」

2012年11月24日 23時02分21秒 | きもの

今日は3連休の中日だったので、
あまりお客さまが来ないかもと思っていたのに、
いつものようにたくさんの方が来てくださった。

うれしい!
感謝。

このときの写真はまた後ほど。

今日は「KOSMOS」にちなんで。



表紙を飾った比佐子さんの染め帯。







これ、じつは裏側がおしゃれなのだ。
紫の生地をつけてあるの。


お次は「比佐子流 粋モダン・スタイル」に
ご登場いただいた環さん。

※記事を加筆修正しています。




幼少時より海外と日本を行ったり来たりだった環さんは
正真正銘のバイリンガル。
よく姐さんと英語混じりで話してます(笑)

アメリカで就職し、6年前に帰国。
そしてその2年後に見事にきものにハマった環さんは
「毎週着ています」。





「竺仙」の江戸小紋は木賊(とくさ)縞の爽やかな緑。


ちなみに木賊といえば「兎」。

江戸時代の絵画や絵皿や箱、茶わんなどには、
この木賊×兎の組み合わせが多くみられるのだけど、
これは木賊の茎が昔から研磨剤として持ちいられていた
ということがまずひとつ。

で、源仲政の和歌に

「木賊刈る 園原山の木の間より みがきいでぬる 秋の夜の月」

というのがある。
つまり輝くばかりの秋の月を、木賊でみがいたようだと
歌ったわけで、そこからさらにもうワンクッション、
月といえば兎なので、木賊と兎が結びついているのだ。

なお、京都の祇園祭の山車のひとつ「木賊山町」。
この山の名前は、世阿弥の作とされる謡曲「木賊」に由来するそうで、
この謡曲もまた前出の和歌にちなんで作られたものだと云われている。

まとめると、

昔の人はだから、木賊と兎をみれば、
和歌を下敷きに、輝くばかりの秋の月をそこにみていたのだ、
ということをワタシは学生のときに授業で習って
とっても感動したのだった。
ワンクッション置くところなんてもう。


余談でした。

閑話休題。


比佐子さんに勧められた反物が、
自分の大すきな色で驚いたとか。

でも環さんもまた
「こんな明るい色を自分が着るなんて」という口。

では決め手は?

「反物を当てたときに顔色が全然ちがったから」



今ではお洋服も明るい色を着るようになったという。
すてきな相乗効果だなー。






黒繻子の帯は明治生まれのひいおばあ様のもの。
刺繍がほどけていたのは、こちらでお直し。

時代ものの黒繻子の刺繍帯は
梅、竹、亀甲を意匠化した吉祥柄。

丸ぐけの帯〆が、時代的にもぴったり。
すてきー!




江戸小紋は一つ紋を入れることで
着る場が広がって便利。




深呼吸してるかわいすぎる環ちゃん。







「You OK ?」とか絶対云ってる。



ジャーマネみたいな姐さんと環ちゃん。


この日は曇り空だったのだけど、
Tamaki is so brilliant, so sweetでしたー!



さいごに。

「KOSMOS」で12月の「ナイト・コスモス」の日程が
11月のままになっておりました。
大変失礼いたしました。

12月7日(金)18:30開始 会費3150円

通常通り12月も「ナイト・コスモス」を開催いたしますので
どうぞいらしてくださいね。


さ、明日はイベント。
がんばるぞー!











宝塚スターと繻子の袴

2012年11月19日 22時07分20秒 | きもの
今日はまた急に寒さが増した。
増さなくていいよ。


さて気を取り直して。
本日はこれから。



平尾夫人。
セリシン石けんの生みの親、
平尾博士の奥さまである。

この日は平尾先生の貞明皇后記念蚕糸科学賞の
授賞式だった。
ちなみに貞明皇后とは、大正天皇の皇后であらせられる。

平尾先生がその研究に深く携わった
玉小石の訪問着を着ての授賞式である。




着つけとヘア・メイクを秋櫻舎で。




かっこいいでしょ?

「宝塚の男役のスターさんみたい・・・!」

と云ったら、なんと奥さまは宝塚のファンでいらした。





比佐子さんもこの授賞式に出席。





出掛けのところ。
黒いショールがいいですね。


それからダライ・ラマ法王の講演会にも。
会場はホテル・オークラ。






ダライ・ラマ法王のかわいくてお元気な姿を
見るだけで心の中がお洗濯されるようだった。

この日は雨。
ああ、感慨深い。

お話が止まらなくなったり、
英語でのスピーチなのだけど、途中チベット語になると、
ますます止まらなくなったり。
いいお話をしていますよーという空気がまったくないレベルで
心に沁み渡ってくるいーいお話をなさるのだ。
話すことへの慣れみたいなものもないし、
慣れ合いのきっかけも作らない。
なんといっても心も体もほだされてゆく。

すごいな。
自立している人の魅力を存分に感じた時間だった。



もちろんワタシたちはきもので参加。
他にもきもの姿の女性はちらちら見たかな。
かたや男性のほうは、法衣の方以外ゼロ。

もうひとつ。
松宮夫妻を向島の「めうがや」さんに
お連れしたときのも。

ふたりの車でドライブ。
新宿から向島まで。
たのしかったなー。



新宿駅の西口で松宮さんを待つ弘美夫人。

比佐子さんとワタシは車の中で
その様子を観察していたのだけど、
みんな弘美さんを見る見る(笑)



羽織&袴姿で走ってくる松宮さん。
目立つぜ。
でもとってもいいぜ!



袴をつくった生地が余ったので、
それを使ってオリジナルの足袋をつくることに。

もうお店に入ったときから
松宮さんはご機嫌。
その店の佇まいやご主人の石井さんの
職人ぶりに感動しきりである。




弘美さんのほうは夏に採寸した足袋の
一足目(試作品)をみてもらっている。
色々と質問をする弘美さんにひとつひとつ
丁寧に答える石井さん。

いいなあ、この光景。
この日はさすがに落語の話はできなかった(笑)




松宮さん。
なんとこのねずの袴、繻子で作ったのだ!

光沢があって、滑らかで、
この袴のドレッシーさは新しいと思う。

さすがに日々農業をして健やかな土を触り、
体もがっちりとできている松宮さんだけに
腰が決まってますね。




比佐子さんと。



さいごは可憐な弘美さんと。
写真が暗くなっちゃってごめんなさい。

そう、弘美さんはきものが大すきで、
機会さえあれば着るようになっている。
だからか、きものにもどんどん慣れてきている。
現にワタシたちはこの弘美さんの運転で
ここまでやってきたのだ。

きもので運転も初めてじゃないみたいで、
草履だけ別のものに履き替えてらしたな。

車線変更を間違えて、途中で入れてもらおうとしたときも、
きもの姿だとすんなりだったよーな(笑)


そんなこんなで。
ではまた。












傾城みたいな糸

2012年11月14日 22時49分53秒 | きもの

本日は志村明さんの工房にいったときの写真を。
10月のまだ新そばの前のシーズン。

いつも比佐子さんと新宿から
高速バスに乗っていくのだけど、
「飯島」の停留所で降り、
トントンと階段をのぼって、志村さんの
お迎えの車を待っていると、

うわ!

すわ!




一面のコスモス畑が。







ワタシ、コスモスの群生は生まれて初めて。
言葉にならないのだけど、体じゅうが歓喜の嵐。




お天気が殊のほかよかったのも手伝って、
びっくりするやら、圧倒されるやら。
しばらく撮影会になってしまった。



ランチの蕎麦やで見掛けた猫。
ぜんぜん動かないからはじめは猫のオブジェだと
思っていたら、生きてたという(笑)

日だまりの猫。
この子、すごくかわいい子だった。
どしーんとしていて、ふてぶてしくて、
でも何とも云えない愛嬌がある。
サチコ先生のところにいたタンちゃんを思い出した。


お腹を満たしたところで工房へ。

志村さんが車を運転してくれるのだけど、
ここ信州は飯島の秋は空が高く、山が近く、
草花が咲き、リンゴの実がなり、蕎麦の実も収穫間近で
道を走っているだけできもちいい。




左が単繭、右が玉繭(二頭の蚕で作った繭)。
こんなに大きさがちがうのだ。
もちろん、どちらも塩漬け繭である。




これは塩漬けの天蚕の繭と家蚕の繭。
云いかえれば、野性の繭と家飼いの繭。

志村さんは天蚕も育て始めた。
イエローで細長いほうが天蚕の繭。




面白かったのは、交尾の話。

天蚕の場合は、メスを外に放置しておくと、
オスの天蚕がどこからともなくやってきて、
交尾を始めるのだそうだが、その際、
オスの射精は一回。
オンリーワンスなのだという。

かたや、家蚕のオスは幾度となく射精する。
これはワタシも何度も見たことがあるけれど、
一頭のメスと受精したら、また別のメスに、
それが終わったらまた別のメスにと
文字どおり、精魂つき果てるまで、
メスに射精しつづけるのだ。

こうしてみると、
蚕の本性のようなものが
浮かび上がってくるかのようだ。

家蚕はどんな品種でも、
少しでもたくさん子孫を残すように、
すなわち糸の大量生産に少しでも高い可能性でつながるように、
遺伝子操作で作り出されたものだから、
とにかく射精し続けるのだろうが、
本来の野性は一回だけで済ますものなのか・・・。
裏を返せば、それだけ野性の蚕は精子のパワーが強い、
ということでもある。

蚕の話ではあるが、
いろいろと考えさせられる。
興味深い。




こんなふうに、蚕の種類別に
塩漬けし終わった繭を箱に入れて自然乾燥させる。




これは志村さんのところにあった
この世のものとは思えないほど美しい糸の束。




同じ蚕種の塩漬け繭なのだが、
それぞれ束ごとに、引き方を微妙に
違わせて繰った糸、3種。

写真では分かりづらいけれど、肉眼だと
その微妙な違いが見て取れるからすごい。

フィットチーネ(平べったいパスタ)みたいだったり、
円筒状だったり、その形状に伴って
光沢や強度も異なってくるそうだ。

そして透明感。

半端ないんだ、これが!

志村さんはやっぱり
正真正銘の糸オタクである。




しかし、とにかくである、
この美しい糸を前にすると、声を失う。
ワタシも比佐子さんもほんとうにしばらく茫然として
見つめていたっけ。

「これを作ったとき、しめしめって感じだったでしょう!」

思わず云ったら、ものすごくうれしそうな笑顔を
返してくださった志村さん。

そりゃあね。
こんなの、ちょっとないもん。
会心の出来である。

ああ、みちゃったよ。
そして糸ってあそこまでいけるんだと思いました。


ちなみに、この糸は我々の研究用ではなく、
別のプロジェクト用につくったもの。
反物用ではなく、絵画用。

昔の中国の水墨画は絹布に描かれているのだけど、
そのいわば「絹布のキャンバス」は現代の絹布とは
クオリティの高さがまるで違うんだそうだ。
で、そのプロジェクトでは昔の高品質の絹布を
再現しようという試みらしい。

すごいなあ。


こちらは我々の研究用。



すごいでしょ。
この透明感。
しかも細いのに強い。

が、これでもまだ
一番すごいのじゃないんですよ?



織機にかけられた糸。
筬(おさ)の間を糸が通っている様子を接写。

織りとは構造だ。
くらくらする。




助手のしげこさん。
織り姫である。

比佐子さん「塩漬けの糸だと機の音がちがうわ。
なんて軽くていい音。ね、ちがうと思わない?」

しげこさん「そうなんです。実際、抵抗も軽いんですよ」

へえー。



ただこの糸、細いゆえになかなか長さが
蓄積されていかない。
地道に丹念にコツコツと織りあげていくのみ。
当然、量産はできない。

ちなみにしげこさんは猫を飼っているんだけど、
その猫の寝床には、塩漬け繭の糸で織ったミニおざぶが
敷いてあるんだそうな。

まちがいなく、日本一贅沢な寝床をもつ猫だと思う。

「匂いがつかないし、猫も変にいたずらしないで
 その座布団の上だとおとなしーくしてるんで助かってます」

いいなーーー!!


さいごはこの筬について。
今は金属製だけど、昔は竹でできていた。



下の飴色のほうがアンティーク。
上のほうは現代の再現もの。



筬(おさ)とは織物を織るときに
経糸(たていと)を通す櫛状の道具である。

糸に負担をかけない、静電気を起こさない、
という点でみると、竹筬のほうがやはり優れているのだが、
昔の高品質の竹筬を作る職人がもういないのだそうだ。

現代の竹筬を取り寄せて、試してはみたけれど・・・
というところらしい。


しかしながら
「美しい糸」と「美しい織物」と「美しいきもの」の
三者の間には、簡単にイコールで結べないものがある。

そこを「着て美しい」というところまでもっていきたい、
なぜなら着るものだから、というのが志村さんなんだと思う。


年内最後の飯島詣では12月上旬予定。
さむいけど、興味のほうが勝つ。

というわけで。
それではまた。